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異世界最弱だけど最強のヒーラー  作者: 波崎コウ
第二十三章 王女殿下がXXXの丸焼きをお召し上がりなるまで
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(24)

 それから十数分ほど時間が経った時。

 突如、僕たちが初めてこのデュロワ城をに来たときに聞いたような、けたたましいファンファーレが鳴り響いた。

 続いて陽気なラテンのような音楽が大音量で中庭に流れ出し、金ぴかのラメ入りの衣装に身を包んだ男爵が現れたかと思うと、千人以上集まった兵士と竜騎士の前で、派手に歌って踊り始めた。

 みんなもそれをヤンヤヤンヤと大歓声で迎え入れ、アリスまでも立ち上がって手を叩いて喝采して叫んだ。


「いいぞグリモ! さあみんなも歌って踊り狂うがいい! 今宵は無礼講だ!」


 敵に包囲されたデュロワ城の、そのど真ん中で開催された薄めた酒にネズミの丸焼きパーティーは、今、最高潮に盛り上がっている。

 こうなることもすべてアリスの狙い通りだったのかもしれない。

 アリスは愉快げに笑って、再び王座に座って言った。


「さて、私はもう少しこの肉を食べさせてもらおうか」


「あの、アリス様。どうか無理なさらないでください」


「いやユウト、私は無理などしていない。単純にまだ腹が空いているのだ」


 アリスはナイフとフォークを手に取り、皿に盛られた肉を今度は上品に食べ始めた。


「しかしこのネズミの肉、本当にうまいぞ。これもお前の魔法の力なのだろうな」


「ありがとうございます」


「そうだ、うまいと言えば――」

 アリスはふと何かを思い出したように、僕を見て言った。

「昨晩のお前のキス、あれも中々うまかったぞ」


「え!?」


「あの時の感触、まだ私の唇に残っているようだ。ちなみに私にとって、あれは初めての経験だった」


「そ、それは……あの……その……」


 バレていた。

 全部バレていた。

 アリスはすべてお見通しだったのだ。


 あまりに突然に虚を突かれ、顔にたちまち血がのぼった。

 そしてさらに、昼間のミュゼットとした男の娘との禁断のキスを思い出してしまい、僕の頭はまるで火山の噴火のように、いきなり爆発した気がしたのだった。


これでこの章を終わります。読んで下さってありがとうございました。

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