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異世界最弱だけど最強のヒーラー  作者: 波崎コウ
第二十二章 一夜の出来事
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(14)



「ああっ……!」


 アリスの裸の体に目が釘付けになった僕は、言葉を失い、ただ息を飲んだ。


 月光を受けて銀色に輝く髪。

 どこかあどけなさを残す、神秘的な青い宝玉のような碧眼。

 白く光沢のあるなめらかな肌。

 さほど大きくはないけれど、形良く膨らんだ張りのある胸に、ツンとした上向きの薄紅色の乳首。 

 ほっそりとした腰に微妙にカーブを描いたお腹。

 そして――ツルすべな下半身の特定の部分。


 どのパーツもそれぞれ美しくバランスも完ぺき。だからといって性的ないやらしさは微塵(みじん)も感じさせない。

 そうれはまるで、世界的名画から飛び出した一個の芸術作品を鑑賞しているようで、僕なんか恐れ多くて指一本触れることはできない。

 “神聖ニシテ侵スベカラズ”なんて言葉すら、頭に浮かぶ。

 

 が、しかし、アリス本人は、裸になっても特段変わってはいない。

 特に恥ずかしがるわけでも、また見せびらかすわけでもなく、ごく素のままな感じでそこに立っている。


「どうしたユウト?」

 と、アリスは微笑んだ。

「なんだか顔がこわばってるぞ」


「いえ、そ、それはその、あの……」


「フフフ、本当にお前は時々おかしくなるな。――さて、体も楽になってことだし、そろそろ休ましてもらうか。さすがの私も疲れた」


「え、ええ。はい、それがよろしいかと」


 我に返った僕は、しどろもどろに答えた。

 そうだった。

 この部屋に戻ったのはゆっくり休むことが目的。

 自分はいったい何を期待していたのだろう?

 

「風呂に入ろうとも思ったが今はそれさえ億劫だ。お前が臭わないと言ってくれたからこのまま寝るとしよう」


「し、しかしそのお姿では。寝巻か何か着ないと――」


「必要ない。私はベッドに入るときは何も身に付けん。普段からな」


 アリスはそう言って、裸のまま大きなベッドの方へ歩いて行き、さっと中に潜り込んでしまった。

 そして、そこから顔だけ出して僕を上目遣いで見た。


「なあユウト、お前も少しここで休んでいったらどうだ? 部屋の外は兵士一杯で、もうロクに寝る場所も残ってなさそうだったではないか」


「は、はあ――」

 確かに相当疲れていることは事実。なので、僕は部屋の中を見回して言った。

「では、あちらの椅子でしばらく――」


「待て待て。私が王女だからといって遠慮することはない。このベッドで一緒に休め。二人寝ても十分な大きさだし、お前なら横にいても別に気にならないからな」


「ええっ! いや、いくらなんでもそれは……」


 いきなりのアリスの提案にビビッて、僕はその場に固まってしまった。

 それにしても、果たしてアリスの真意は――?


 ①本当にただの好意で、言葉通り、ベッドでしばらく寝て休めということ。

 ②そうではなくて、男と女としてベッドの中で一夜を共にするということ。


 そのどちらかのわけだが、まあ、アリスの性格からして圧倒的に①で90%の確率。②はせいぜい10%だ。


 ところが――


「ただしユウト」

 と、アリスが目をつぶってから言った。

「お前も服は脱いでから寝ろよ。見たところかなり汚れているようだからな。すまないがベッドは綺麗にしておきたいのだ」


「へ……!?」


 おおいっ!

 それってアリスと同じく裸で寝ろってことか。

 これで②の確率が一気に50%まで上昇した感じ。というか、古典的に表現すればほとんど“据え膳食わぬはなんとやら”状態ではないか。

 

 でも……。

 眠りに入ろうとしているアリスの顔を見ながら、僕は、その先の行為を頭の中で妄想し始めてしまった。

 今の自分に『それ』ができるのか……?

 

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