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異世界最弱だけど最強のヒーラー  作者: 波崎コウ
第十六章 最強の竜騎士 その名は……
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(9)

 けれどこの手が……。

 僕の知らないところで、この手がリナを抱きしめているのか……。


 二人の強くあるいはやさしく抱き合う姿が脳裏に浮かび、僕は思わず身震いしそうになった。

 もちろんリューゴと握手などしたくなかった。

 が、ここで差し出された手を握らないのはあまりに不自然だ。 


 僕は諦めの境地に達し、嫌がっているのを悟られないよう、ごく自然な感じでリューゴと握手した。


 しかし――

 

 僕はリューゴを間近で見て思った。 

 

 ――コイツ、やっぱりすごく格好いい。


 第1に、同性の僕が一瞬見惚れてしまうほど目が綺麗だ。

 第2に、きりっとしているが決して濃くない顔立ちが素敵。笑うと歯並びのいい白い歯がこぼれるのもポイントが高い。

 最後に、いかにも騎士らしい堂々と威風あふれる雰囲気――


 欠点らしい欠点は見当たらないし、仮に自分が女だったら、リナと同じくこの最強の竜騎士リューゴに一目で惚れていたかもしれない。

 言い換えれば、恋のライバルとしてこちらの分は限りなく悪いということだ。


「あらぁ~、男と男の友情の始まりねぇ。いいわぁ」

 グリモ男爵は、握手を交わす僕たちを見てうっとりとした声を出した。 


 おいおい!

 リナという一人の女の子が好きである以上、僕とリューゴの間に友情なんて成立するわけないのに……。

 

 僕は我慢し続ける自分がいい加減いやになって、リューゴと握手をするのを止め、男爵に言った。


「さあ、もうグズグズしてはいられません、早く作戦を実行に移しましょう」


「ヤダぁごめんなさい。アタシったらつい見とれちゃって……悪いクセね。でも男×男の立ち姿ってなんでこんなに絵になるんでしょう!」


 男爵が口に手を当ててオホホと笑い、軽く咳払いをした後、あらためて周囲を見回して言った。


「じゃあみなさん、準備はいいわね?」


 やや緊張した面持ちのリナと、普段通り無表情のマティアスがうなずく。

 少し離れた場所で待機している王の騎士団(キングスナイツ)からも、特に異論は出ない。


 ところがリューゴだけが一人で思案顔をしている。

 しばし考え、首をひねり、そらから男爵に声をかけた。


「男爵、少々お待ちください。一つ提案があるのですが」


「あらなあに、リューゴ君?」


「さっきも申し上げたとおり、作戦自体は問題ないと思います。ですが後に残るのがあなた方四人だけという点に、私としてはどうしても不安を感じてしまうのです」


「んーそうかしら? アタシは大丈夫だと思うけど」


「しかし万が一ということもあります。負傷者もかなりの数に上るでしょうし、兵士たちをうまくデュロワ城まで誘導するのは大変な作業ですよ。ですから是非、我々からも人員を割かせてください」


「それは助かるけど、貴重な人材を借りちゃって本当にいいのかしら?」


「もちろんです。この際、王の騎士団(キングスナイツ)の中でも特に優秀な者を選んでおきましょう。――おい、クロード! ミュゼット! ちょっと出て来てくれ」


 リューゴが三十余名の騎士団員に向かって呼びかける。 

 するとすぐに、二人の竜騎士が馬を降り僕たちに方へ歩いてきた。


 

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