表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界最弱だけど最強のヒーラー  作者: 波崎コウ
第十五章 再び戦場へ
164/317

(12)

「何だかすごい! あ、この道具……光る鏡みたいなところが動くんですね」

 リナは目を輝かせながら、スマホの画面に触れた。

「これ、私の知らない難しい文字が一杯書いてありますね。いったいなんて読むんですか?」


 現実世界の記憶がないリナは、スマホを見たこともなければ、もちろん日本語だって読めないのだ。


「えー簡単に説明しますと、これはリナ様の現在の能力を数値で表してるんです」


「そんなことが魔法でわかるんですか!」


「はい。それでですね、少し申し上げにくいんですか……リナ様の今現在の能力は総合的に見て、だいたいアリス様の半分をちょっと超える程度なんです」


「え!?」


「えっと、リナ様は黒魔法白魔法は使えませんね? それに得意なことは馬術に弓――弱点はネズミ、なんですね」


「当たり! その通りです。私はネズミが本当に嫌いで、どんなモンスターよりも苦手なんです。たぶん見ただけで卒倒しちゃいます」


「とにかく失礼を承知で言いますが、この程度のステータスであの戦場に戻るのは危険極まりないと断言できます。むしろここまで無事で来れたのが奇跡なんですよ」


 リナに嫌われるのを覚悟で、僕はあえてきつい言葉を選んだ。

 彼女に自信を失わせて、同行するのを諦めてもらうためだ。


 しかし――

 

「とんでもないユウトさん、なに言っているんですか!」

 リナは元気よく叫んだ。

「私ごときが、王の中の王になられるアリス様の能力の半分を持っているなんて――信じられません!」


「はあ!?」


「おかげさまで自信が湧いてきました。ここまで来れたんですからこれからも行けます。さあユウトさん、先を急ぎましょう。きっとまだみんな無事でいてくれてますよ」


 とほほ。

 スマホを見せたことが逆効果になってしまったようだ。

 僕は焦って止めた。


「ダメダメ、ダメです。絶対一緒には行けません!」


「ユウトさん――」

 リナがちょっとだけ鋭い目つきをして僕をにらむ。 

「それでも帰れというなら、ユウトさんがお城を抜け出したことをアリス様やマティアスさんにばらしちゃいますよ。きっと大騒ぎになりますね」


「リナ様、僕を脅すんですか……」


「今は止むを得ません」

 リナはにっこり笑った

「それにユウトさん、まさか戦場まで徒歩で戻るつもりだったんですか? 馬でもかなりの時間がかかったというのに、どうかしてますよ」


 ……いきなり痛いところを突かれてしまった。

 リナは現実世界と同じく、けっこう頭の回転が速い。

 こうなるともう、一緒に馬に乗せてもらうしかないだろう。


「わかりました」


 僕はため息をついてうなずいた。

 現実世界でも異世界でも、いつだって彼女にはかなわないのだ。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ