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異世界最弱だけど最強のヒーラー  作者: 波崎コウ
第十五章 再び戦場へ
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(9)

 でもまあ、これまでだって絶体絶命のピンチを何度も切り抜けて来たんだ。そのうち何か良い策がひらめくだろう――


 そう思って悩むのは止め、石ころだらけの道を駆け足で進む。


 城の周囲には本当に何もなかった。

 ところどころに泥水がぬかるんだような湿地帯が点在する以外、ただ荒れ果てた野原が広がっているだけだ。


 昨日の夜中にグリモ男爵が大騒ぎした際、いくらなんでも近所迷惑ではないかといらぬ心配をしたが、初めから付近に人など住んでいなかったなかったのだ。


 そんな荒涼とした大地を走りながらも、僕は戦場に戻るまでどれくらい時間がかかるか頭の中で計算した。


 馬が全速力で走って2~3時間かかった距離を徒歩で行くとなると――? 

 どんなに急いでも半日以上は必要か。


 ……まいった。


 僕が馬にさえ乗れればよかったのだが、しょせんは歩兵としてこの異世界に転移した身。

 乗馬はまったくの不得手なのだ。


 かといって白魔法を使って速力を上げても無駄。

 なぜなら魔法によるドーピングの効果はごく短時間で切れてしまい、長距離を移動する時に使うようなものではないからだ。


 どうしたものか? と、一瞬思案して立ち止まる。

 そして、腰の皮袋からスマートホンを取り出し、魔法を唱えた。


『マップ』


 するとスマホのディスプレイにこの付近一帯の地図が表示された。

 これもオンラインRPGとまったく同じ感覚だ。


 ――ええっと、どこかショートカットできるような近道はないものか?


 僕は戦場までの最短距離を探すため、ディスプレイの地図を拡大した。


 この山と山の間を抜けて岩場に出て……ああ、ここがヒルダ・シャノンと戦った黒い森だ。 

 そしてその先にある草原を突っ切った先があの地獄の戦場……。


 ダメだ。

 そんな都合のいい道、簡単に見つかるわけない。

 やっぱり頑張って走り続けるしかなさそうだ。


 諦めてスマホをしまおうとしたその時――


 地面を蹴る軽快な馬の蹄の音が、背後から聞こえてきた。


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