表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界最弱だけど最強のヒーラー  作者: 波崎コウ
第十二章 魔女の正体
130/317

(10)

 アリスはすでに馬から降ろされ、地面に寝かされていた。

 全身鎧姿なので体のどこに異変があるかはわからないが、意識を失っているようだ。


「お前はいったい何をしていたのか!」

 マティアスが、アリスに付いていた竜騎士を詰問する。


「そ、それが……」

 竜騎士が戸惑いながら答えた。 

「アリス様は戦いが始まってしばらくは『離せ離せ』と暴れられていたのですが、アンデッドが現れた時から急に静かになられて――」


「なに!? よもやアンデッドに!?」


「いいえ、誓って申しあげますが、アリス様には敵の指一本触れさせておりません」


「では、なぜ意識がない!」


 確かにおかしい。

 竜騎士の言う通りだったらアリスが気絶する理由がない。

 これが単純な負傷なら、魔法で回復してあげればいいだけのことなのだけれど……。


「あの……」

 僕はマティアスに声をかけた。

「よければ僕がアリス様を診てみます」


「おお、ユウト!」

 マティアスがようやく僕に気付いた。

「見ての通りアリス様のご様子がおかしい。頼む!」


 僕はアリスの横にしゃがみ、兜の中を覗き込んだ。

 するとアリスは目をくるくる回し、口からは泡を吹いていた。

 が、顔色は悪くないし、特に重篤な感じはしない。


「あの、体の状態を確かめるため、アリス様の鎧を脱がしたいのですが――」


 マティアスの許可が出たので、みんなでアリスの鎧を脱がしにかかる。


 すぐにアリスは中世風の薄手のブラウスとズボン姿になった。

 が、かすり傷一つ見つからない。

 もちろんアンデッドに噛まれた様子もなかった。


 だめだ、どうも原因がわからない。

 戦闘が始まって以来ずっと気丈だったアリスが、精神的なショックでこんな風になるとも思えないし――


 その時アリスの唇がかすかに動いた。


「……う、ううう」

 と、何か言いたそうだ。


 僕はかがんでアリスの口元に耳を近づけてみた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ