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異世界最弱だけど最強のヒーラー  作者: 波崎コウ
第十章 恐怖の森
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(8)

ひるむな!」

 マティアスがシャノンと切り合いを続けながら、横目で見て叫んだ。

「そいつらはただの肉塊、抜け殻だ! 迷わず切って切って切りまくれ」


「し、しかし……」


 困惑する竜騎士たち。

 戦いの間は冷酷な戦闘マシーンと化する彼らとはいえ、やはりそこは血の通った人間だ。

 かつて共に戦った仲間に剣を振るうのは、どうしてもためらわれるのだろう。


 だがアンデッドはそんなこと気にはしない。

 群れを成して、竜騎士たちにワッと跳びかかってきた。


 竜騎士たちは仕方なく馬上から剣や槍で応戦するが、相手は生けるしかばね

 振り払っても馬で踏みつぶしても簡単にはやられない。

 倒れてもすぐに起き上って再び突っかかってくる。


 そのうち、一体のアンデッドが竜騎士の馬に噛みついた。

 馬はいななき、アンデッドをなんとか振り払おうと暴れ出す。


「うわっ!」


 竜騎士は馬を制御しきれず、冷たい地面に投げ出された。

 そこへ次から次へとアンデッドが覆いかぶさっていく。


 まるでゾンビ映画でも見ているような凄惨な光景――

 竜騎士の悲鳴がこだまする中、マティアスが叫んだ。


「みんな何をしている! 仲間を助けろ!」


 その言葉で竜騎士たちは我に返った。

 本気になってアンデッドたちに攻撃を開始したのだ。


「戦え戦え!」

 魔女の高笑いが聞こえる。

「味方同士で殺し合うのだ」


 ローブの魔女の思惑通り、そこからは竜騎士と元竜騎士(アンデッド)との乱戦、血みどろの戦いとなった。


 アンデッドは実際どのくらい強いのか――

 と、思って見ていると、どうやら戦闘力はまちまちのようだった。

 すぐさま首を切り落とされ動かなくなる個体もいれば、巧みに剣を操って竜騎士を圧倒する個体もいる。

 たぶんアンデッドの生前のレベル、強さ弱さをそのまま反映しているのだろう。


 しかし、どんなに強かろうがしょせんはアンデッド――白魔法使いがもっとも得意とする相手。

 恐怖心さえ振り払えば、たぶん僕はここにいる竜騎士よりもずっとうまく戦える。


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