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異世界最弱だけど最強のヒーラー  作者: 波崎コウ
第十章 恐怖の森
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(4)

「うっ」


 先頭に立つ竜騎士がくぐもった声を上げ、ドサリと馬から落ちた。

 シャノンが空中から黒光りする刀を一突し、その喉元を貫いたのだ。


 そのままストンと地面に着地するシャノン。

 何事もなかったように、ひゅんと剣を振って刃に(したた)る血を払う。


 そこへマティアスたちが突進する。

 ――が、それはまさに最悪のタイミングだった。


 シャノンに殺された竜騎士の死体とその馬が、ちょうど進路をふさぐような形に転がっていたからだ。

 おそらくシャノンはそうなることまで計算して、先頭の一騎を殺したのだろう。

 

「避けろ!」


 マティアスが手綱を引き叫ぶ。

 マティアス自身はかろうじて馬の進路を変え、これをかわした。


 だが後から来る二騎の竜騎士は間に合わない。

 馬は勢い余って死体に大きく蹴躓けつまずき、竜騎士ごと前のめりになって地面に転倒してしまった。


 間髪入れず、そこにシャノンが飛び込む。

 そして目にも止まらぬ速さでピュッピュッと軽く刀をなぎ払った。


 一切の容赦がない非情の剣。

 シャノンは倒れて動けない竜騎士二人にとどめをさしたのだ。


「貴様! よくも!」


 が、その隙に、別の竜騎士がシャノンの背後を取った。

 馬上から投げ槍(スピア)をシャノンの背中目がけて投げつけたうえ、一気に突っ走って剣で切りかかる。


 しかしシャノンにはまだ余裕があった。

 わずかに笑みを浮かべ、竜騎士に背を向けたまま高くジャンプし投げ槍(スピア)を軽くよけた。

 そのままくるりと背面宙返りをして――

 襲いかかってきた竜騎士の背後を逆に取ってしまったのだ。


 突然、目の前のターゲットが消えて慌てた竜騎士は、首を左右に振りシャノンの姿を探すがどこにも見当たらない。


「遅い! 後ろだ!」


 シャノンは馬の背につま先立ちで立ち、刃をスッと竜騎士の背中に入れた。

 それから軽くジャンプし、音もなく地面に降り立った。


 一方、心臓を一突きされたその竜騎士は、走る馬から落ちることなくそのまま森の中に突っ込み、木に激突してしてようやく止まった。

 


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 たった一人の剣士に、四人の竜騎士が瞬く間に敗れ去った。 

 しかも相手は人外の化け物でもなく、また邪悪な魔法使いでもない。若く美しい女剣士にだ。 


「貴様!」

「許せん!」


 (いきどお)った残りの竜騎士たちが口々に叫びながら、シャノンを取り囲む。

 圧倒的な力の差を見せつけられながらも、死を覚悟して仲間の仇を討とうというのだ。


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