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四話

 その後の話をしましょう。


 あの時、私を叱り飛ばしたのは、私が自殺し

ようとしていると誤解した、クラスメイトの風

紀委員でした。

 私が余りに思い詰めている様子だったので、

気にかけていたそうです。見回り中に見かけて

何度も声をかけるのに上の空だったのが、突然

フェンスに手をかけたので焦ったと、後で照れ

ながら話してくれました。


 今まで、修也様…。いえ、修也以外とこれ程

長く話した事はありませんでした。

 前世を思い出した影響でしょうか、男性に対

して構えなくなったようです。



 そうして、修也を吹っ切った私は、翌朝春日

様のクラスへ行き、心配をかけてしまった事を

謝罪しました。その後、改めて友達になってほ

しいと伝えると春日様は、笑顔で頷いてくれま

した。


 前世を思い出す事で、私は変わりました。

 クラスメイトにも、明るくなったねと、言わ

れるようになり、話し掛けられる事が多くなり

ました。



 悲しい事の多かった冬を越え、春をむかえた

私達は幸運な事に同じクラスになりました。

 今期も風紀委員をしている東雲夏樹さんを通

して友達も増え、クラスメイト同士も仲が良く、

学校に通うのが楽しくなりました。春日様とも

今では親友といえる間柄です。


 そんな満ち足りた学生生活を送っている私で

すが、ただ一つ頭が痛い事があります。それは、

春日様と修也が別れてしまった事です。

 いえ、別れた事はどうでもよいのです。先を

知る私にとって、なるようになっただけですか

ら。願わくは、もう二度と春日様に近付いてほ

しくないですね。


 何が頭がイタイのかというと、呆れた事に、

私が夏樹さんと親しくなった途端、修也が私に

構うようになったのです。なついていた妹分に

男の影があるのが気に入らないのか、用もない

のに教室にやって来るのです。同じクラスにい

る春日様に声もかけずに。

 悲しげに修也を見つめていた春日様は、とう

とう修也と別れてしまいました。


 春日様と別れて、更に私のクラスに顔を出す

ようになった修也ですが、先日、何を血迷った

のか私の事が一番大切だと気付いたとか言って

きました。


 二股を掛けていないところは評価します。

 過去の私なら喜んだかもしれません。しかし、

今さら過去の関係に戻れる筈がありません。

 きっぱり引導を渡してやりました。

 そもそも、私には立派な恋人がいるのですか

ら。


 恋人というのは、風紀委員の彼です。

 はい。東雲夏樹さんです。

 屋上の縁で親しくなり、なんとなく共にいる

時間が多くなり、気付くといつも夏樹さんとい

るようになっていました。

 そして、血迷った修也がクラスに来るように

なって直ぐ、夏樹さんに告白され、その頃には

夏樹さんへの気持ちを自覚していた私も気持ち

を告白し、私達は恋人同士になったのでした。


 ちなみに、修也と別れた春日様は現在、春日

様と幼馴染みの宮間秋良君から激しいアプロー

チを受けています。秋良君は修也と付き合いだ

した春日様を見て、気持ちを自覚したそうで、

修也と別れた今を好機と、連日猛攻を繰り広げ

ています。


 よく知る相手なだけに、春日様は戸惑ってい

るようですが、私の見た感じ、春日様が落ちる

のは時間の問題です。

 今日もドキドキしながら夏樹さんと二人の攻

防を見守っています。


 感想。

 思い定めた男の子は、物凄かったです。


 晴れて秋良君と付き合い始めた春日様を、修

也が物言いたげに見つめているのに気付いた時

は、心底呆れました。

 でも、この先訪れる18禁な運命の出会いを知

っている私としては、春日様と修也の縁が切れ

て一安心です。


 今後、私達の人生に関わらないで下さいね。

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