どこから入って来たの?
お久しぶりでございます!
生きてます。
スランプが全く抜け出せず、随分間が空いてしまった…_(:3 」∠)_
26.8.26 ラウラ→レティツィアに名前変更。
ちょっと秋雨が混乱してしまったので、変更させて頂きましたorz
朝食は特に問題もなく終わった。若干名のテンションがおかしく、完全に何もなかったかと問われれば、なかったとは言いづらいが。少なくとも伊織には被害は及ばなかった。
城から迎えの馬車が到着したとグスタフから告げられ、伊織は一泊二日の公爵家訪問を終えた。
アロイジウスは早朝に城に行ったらしい。朝食の時にいなかったので、モニカに聞いてみると城に行ったと苦笑いしながら言っていた。どうやら忙しい様だ。
城に出仕すると言うコルネリウスが便乗して、伊織とウラ、コルネリウスの3人が馬車に乗り込み、レティツィアとニコラウス、モニカと子供達に見送られながら出発する。ニコラウスはハルトヴィンに何か言われたのか、伊織が馬車に乗り込む時に残念そうな顔をしただけで特に何も言って来なかった。
「そういえば兄さんって何て呼べばいいの?」
「コルスかな。私がいちばん呼びにくいんだよね。」
馬車が走り出し、カルラやクラウディア達護衛が馬車の周りを追従するのを場所の窓から見ながら、正面に座るコルネリウスに話しかける。
公爵家があるのは、貴族街の一等地なので城からも近いため、コルネリウスやウラと話している内に城門をくぐっていた様だ。馬車がゆっくりと速度を落として、正面の扉の前で止まった。
「じゃあ、私はここで降りるよ。仕事は外城だからね。またね、イオリ。」
コルネリウスが降りて、扉が閉まると再び緩やかに動きだし、馬車は敷地の奥の方に進む。内城の近くの扉に止まると、外側から馬車の扉が開けられる。
開けたのはギルベルトで、馬車のステップを素早く出すと、2歩下がって頭を下げた。
「お帰りなさいませ、イオリ様。そちらのお嬢様が件の…」
「ウラって名前なんだよ。ウラ、挨拶しようね。」
馬車を降りて、伊織の後ろに隠れようとするウラを前に押し出して促す。
「ウラって言うの。おはようございましゅ。」
ウラはおずおずとギルベルトの顔を見てから、小さい声で挨拶する。
ギルベルトが屈んで、目線を合わせて微笑んだ。ウラはギルベルトににぱっと笑い返して、緊張を解く。
「はじめまして、ギルベルトと申します。宜しくお願い致します。」
ギルベルトがウラの前に手を差し出し、ウラがその手をおずおずと握る。伊織はその様子にホッと胸を撫で下ろし、ウラと手を繋いだギルベルトに促されるままに扉の中に入った。
扉の先は内城内の中庭で、業者が使う裏口とは違ってあまり使用しない出入り口だ。ヴィルフリートが伊織が外城を通るのを良しとしなかった為、普段は魔道具によって封鎖されている中庭の扉から出入りする事になった。
中庭は外城と内城の間にあるので、ある程度の身分のある者は入れる様になっている。内城は皇帝のプライベート空間と言う面が大きいので、中庭から先は一部の者しか入れない様になっていて、アーデルハイトと伊織の初対面の時は強引に押し入ったらしい。侯爵令嬢と言う事もあり、手荒な真似をする事に躊躇した結果なので、その後は中庭に動物の死骸などもあった事からバルトロメウスの指導により多少手荒にしてでも帰らせている様だ。
「あれ…?子猫?」
伊織の行く手を遮る様にして擦り寄ってくる姿に、止まって視線を向ける。
ギルベルトを振り返って見るが、ギルベルトにも覚えがないのか首は横に振られた。
子猫は伊織に甘える様にゴロゴロと喉を鳴らし、足下でじゃれついている。
伊織は子猫を抱き上げて、子猫の翡翠の色の瞳と視線を合わせた。
「…どこから入って来たの?」
「にゃぁ」
「かわいいねぇ!」
身体は薄汚れて灰色になっているが、元は白い猫なのだろう。小さく鳴いた子猫に、ウラが歓声を上げる。
(…可愛い……飼っちゃダメかな…?)
「…陛下にお伺い下さい。私では答えかねますので。」
子猫を手に持ったままギルベルトを振り返ると、お見通しの様子で伊織が何か言う前に応えられてしまった。
「ヴィルさん、アレルギーとかない…?」
「私が認識している限り御座いませんので、ご安心ください。…お召し物が汚れます。」
ギルベルトが伊織を安心させる様に微笑み、子猫を伊織の手から預かる。なんとなくギルベルトの頬が緩んでいるところを見ると、実は猫好きなのかもしれない。
「研究所って外城だよね?このまま行くの?」
中庭を抜け、内城と外城の間の渡り廊下のところでギルベルトに問い掛ける。
「いえ。陛下も御一緒に行かれるそうなので、一度執務室の方へ。それに、この猫の汚れも落とさなければなりませんし。」
渡り廊下の左右に立っている近衛騎士に手を振り、開けられた扉をくぐって内城に入る。
ギルベルトに言われた通り、最近になってやっと覚えた中庭から執務室までの道を間違えそうになりながらも移動した。
執務室の扉の前の近衛騎士に笑い掛けて、一度深呼吸してからノックする。
すぐにヴィルフリートの声が聞こえて来て、騎士が扉を開けてくれた。
「…ただいま。ウラも連れて来たよ?」
「ああ。…少し待て、切りのいい所まで終わらせる。」
ヴィルフリートが書類から顔を上げて、入って来た伊織に僅かに口角を上げる。
目線でソファに座って待っている様に促し、すぐに書類に視線を落とした。
書類にペンを走らせる音が聞こえるほど静かな部屋で、ウラが少し眠そうに目を擦っていて、伊織はヴィルフリートの様子からもう少し掛かるだろうと、ウラに膝を貸す。
子猫を誰かに預けたのか、ギルベルトが執務室に静かに入って来てお茶を入れてくれた。
伊織はヴィルフリートの真剣な表情で書類に何かを書き込む姿をぼうっと眺める。
(…カッコイイなぁ…デキる男って感じ…)
切りがいい所まで終わったのか、ヴィルフリートが数枚の書類の束をギルベルトに渡して、軽く凝った肩や首を動かしてから、眠ったウラに膝枕している伊織の正面のソファに腰を掛けた。
「…公爵家は、楽しかったか?」
「うん。…でも、やっぱりヴィルさんと一緒の方がいい。」
戻って来たギルベルトがヴィルフリートにお茶を入れ、眠ったウラを抱き上げて執務室を出て行く。
ギルベルトがいなくなったのを確認して、伊織はテーブルを回り込んでヴィルフリートの隣に座り直した。
抱き寄せる様に伸びて来た腕に身を任せて、密着するままに甘える。
「…昨日は疲れて寝ちゃったけど、やっぱりヴィルさんの隣で寝るよりも眠りが浅くって…」
「そうか。…研究所へ行くのは、午後からで良いか。」
ヴィルフリートの手が伊織の髪を梳く様に撫で、伊織はその手に顔を擦り寄せつつも首を傾げる。
まだ時間的には10時を少し回ったくらいの筈で、今から研究所に行けば、すぐに検査できるのではないだろうか。
「僕は今からでもいいよ?ウラが起きてからでも、お昼前には起きるだろうし…」
「余が、午後からの方が良いのだ。…解らぬか?」
意味深な言葉と、頬を包む様に添えられた手に、伊織の頬が僅かに色付く。
近づいてくる顔に応え、少し顎を上げて瞼を伏せる。
微かに笑ったらしい吐息が唇を擽り、直ぐに唇に甘い感触と、ヴィルフリートの香りが鼻腔を掠めた。
(…ヴィルさん、結構執務サボったりしてるけど…この国はそれでやっていけるのかな…?)
甘い口付けに酔いながらも、頭の隅に疑問が浮かぶ。
考え事をしているのがばれたのか、ヴィルフリートに下唇を軽く噛まれ、瞳を薄く開くと不満気な視線で窘められた。
ヴィルフリートの不満を宥めようと、羞恥を感じながらもぺろりと唇を舐めてから唇を離す。
「何を考えていたのだ。」
「対した事じゃないよ…?……ヴィルさん、結構執務サボ…休んだりしてるけど、大丈夫なのかなって…」
グッと強くなった腰に回る腕の力に、胸元に手をついて体勢を維持しながら上目遣いにヴィルフリートを窺う。
体勢がややキツいが、仕方ないだろう。
「…以前は執務以外に特に何かをする気がなかっただけで、そう極端に忙しい訳ではない。必要な執務はその都度終わらせている。」
「それならいいんだけど…、僕が邪魔してるんじゃないかって思っただけ!」
「何を馬鹿な事を…。以前より仕事の効率は上がっている。」
支えていた胸元の手を取られ、バランスを崩した。
「わっ!」
ヴィルフリートの腕に力が入ったと思ったら、伊織は何時もの様に膝に乗せられている。
早業に驚いてヴィルフリートを見ると、先程よりも近くなった紫の瞳が細められた。
「だが、余の邪魔を出来る者は、イオリの他にはおらぬな。」
「なるべく…邪魔しない様にするね?…執務に戻「今日の執務は、もう良い。」
伊織の言葉は途中で遮られ、また再び流れる甘い雰囲気に、伊織はヴィルフリートの首に腕を回して瞳を閉じる。
すぐに齎される唇の感触に、顔を赤くしながら受け入れた。
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モチベーションの維持に繋がるかなぁ、と思いまして。
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一応、小話をつけようと思っています♪




