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紫水晶の回帰  作者: 秋雨
紫水晶と石榴石
62/94

小話 とある騎士の憂鬱。

割烹に載せていた小話です。



なんか何言ってるか分からん、菓子屋の奥さんに呼ばれてきてみれば。

椅子に寵姫を抱き上げて座る、我等が皇帝陛下がいた。

何言ってるか分からねぇかもしれんが、俺にもよく分からん。奥さんも同じ気持ちだったんだろうな…。

とりあえず跪いて、頭を下げる。


「挨拶は良い。後は任せた。余とイオリは帰るのでな。」


「はっ!…どうなされたのでしょうか?」


「店主に聞け。」


それだけ言うと寵姫を抱いたまま立ち上がった。寵姫の感覚はまともらしく、遠い目をしていて、何となく気の毒になる。


「では戻るぞ。…神殿だったか?」


「…うん。お見舞い。じゃなくて!ヴィルさん!…あ、騎士の人達、面倒押し付けてごめんね!文句は近衛騎士団長のバルトロ


「…何なんだ…」


言い切る前に転移して、消えて行った2人に相棒が呟く。

俺も同じ気持ちで頷いて、とりあえず事情を聴こうと店主の方に向く。

皇帝がいなくなった事で、店内は随分落ち着いて来たようだ。


「何があったか、話してくれないか?」


「それがですね…」


あらかた店主の話を聞き終えて、蒼褪めて椅子に座り込む貴族にも事情を聴く。貴族だから流石に詰所に行く訳にもいかないんだよなぁ。


「わ、私は悪くない…!」


「そうはいっても被害出ちゃってるんだよねー。おっさんが貴族だからって、何も調べない訳にもいかないんだよ、俺等も。」


「お、おっさ…「それとも、話は詰め所で聞こうか?」


相棒のドスを利かせた言葉に貴族が震えだす。娘は早々に諦めたようで、大人しく椅子に座っていた。

貴族のおっさんが大人しくしゃべり始めたので、調書を書き残して家に帰す。


詰め所に戻ってきて、相棒と一緒に椅子に座ってテーブルに突っ伏した。

貴族は一度帰して、後で指示を仰ぐことになるんだよな。


「なぁ、寵姫の嬢ちゃん…近衛騎士団長に文句言えって言ってたよな。…言っていいのかな?」


「…ダメに決まってんだろ。俺等はただの騎士だぞ。あの人は公爵家の次男で、近衛騎士団長だぞ…。」


「そうだよな。…はぁ。それにしても、今日も可愛かったなー。」


相棒が溜め息を吐きつつニヤニヤとした顔で寵姫を思い出してるみたいだ。

お前、ほんとにいつか皇帝陛下に殺されるぞ。

俺は溜め息を噛み殺して、相棒を小突いた。

…近衛騎士団長には文句は言えないが、後でクロイツ団長には文句を言おう…。




fin





何かにつけてとばっちりを食らう騎士さん。


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