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紫水晶の回帰  作者: 秋雨
紫水晶と石榴石
58/94

手合せ…?デートじゃなかったの?

サブタイトルが秋雨の心情です←

開き直って、超長編にプロットを切り替えました。

伊織ちゃんの大冒険、はっじまっるよー!



冗談です、始まりません(*ノェノ)


「何と!貴殿はギルドのお偉方であったか!」


「いや、(ここでは)偉くはないが…其方のギルドランクを上げるくらいはできるな。」


(ヴィルさん、どうするつもりなんだろ…)


伊織はドキドキしながら様子を窺う。確かにヴィルフリートの一声で簡単にギルドランクは上がるだろうが、ここに来ているのはお忍びなのだ。

ヴィルフリートがおもむろにカウンターに近付く。


「ギルド長を呼ぶのだ。…ディルードが呼んでいると言えばいい。」


「…は?…は、はい。少々お待ち下さい」


女性ギルド員が一旦停止してヴィルフリートを見上げ、すぐに気を取り直して慌てて奥に入って行った。

伊織はヴィルフリートに近付き、服を引く。


「ヴィルさん、ギルド長と知り合いなの?」


「昔の事だ。少し、ギルドに出入りしていた事があった。」


「お待たせいたしました。すぐにお会いになるそうです。こちらへどうぞ!」


戻って来た女性ギルド員は興奮を滲ませた、キラキラした目をヴィルフリートに向ける。その頬が興奮からか、それともヴィルフリートの美貌にか、赤く染まっている。伊織はムッとしながらヴィルフリートの後ろを歩く。更に後ろに鬼人の男性がついて歩いた。


「こちらです。ギルド長、お連れしました。」


ノックと共にギルド員が扉を開け、伊織達に入る様に促す。

中には目付きが鷹の様に鋭い、40代後半くらいの男性がソファに座っていた。


「久しいな、ディー。」


「ああ。4年くらいか。」


ヴィルフリートが我が物顔で部屋に入り、ソファに座る。とりあえず伊織も後に続いて、ソファに近付く。どこに座るか迷っていると、ヴィルフリートに腕を引かれて隣に座らされた。


「君もこちらに来るといい。」


ギルド長が鬼人の男性に声を掛け、鬼人の男性が一人掛けのソファに座る。


「さて、久しぶりに来たと思ったら、随分可愛らしい女性を連れているな。それで、用件はなんだね。」


「この男…「乱吹(ふぶき)だ。」と、手合わせする。充分な実力があるなら、Bランクにしろ。」


「なるほど。…パリスリミラか。」


「…本当に、拙者が勝てば、Bランクにしてもらえるのか?」


乱吹が身を乗り出してギルド長を窺う。ギルド長が腕を組んで唸り、ちらりと乱吹を見た。


「…いや、勝てとは言わん。…そうだな、ディーが認めるか、私が止めるまで立っていられたらBランクにしよう。」


「俺は攻撃魔法は使わんぞ。」


「!!…いいのか!?拙者、自慢ではないが血大熊(ブラッディベア)程度なら、瞬殺できるぞ?」


目の前で繰り広げられる会話に、頭の中をはてなマークでいっぱいにして伊織が首を傾げる。とりあえず、ヴィルフリートはとても強い事はよくわかったが、どうしてギルド長がヴィルフリートがその強い事を知っているんだろうか。


「…ヴィルさん、何したの?」


「…今はヴィルと呼ぶな。」


伊織がこそこそとヴィルフリートに話し掛けると、ヴィルフリートが伊織の口の前に人差し指を立てて静かにするよう合図した。乱吹がヴィルフリートに視線を向けて、ギルド長に尋ねる。


「そのお方はそれほどまでに強いのか?」


「伝説の冒険者、ディルードと言えば、帝国で冒険者をしている者なら誰でも知っているな。突如現れて、2年も経たずにSランクになったと思ったら突如姿を消した冒険者だ。今目の前にいるがな。死ぬとは思ってなかったが…」


「冒険者!?しかもSランク!?」


伊織が勢いよくヴィルフリートの方に顔を向けると、ヴィルフリートがギルド長に鋭い視線を送る。ギルド長が愉快そうに笑った。


「随分変わったな、ディー。あれほどピリピリしていたのが嘘の様だが。」


「御託はいい。…手合せだ、訓練所の人払いを。」


ヴィルフリートが溜め息を吐いて立ち上がり、伊織を抱き上げて扉に向かう。乱吹が慌てて付いて来て、ギルド長もその後に続いた。

どうやら訓練所は敷地内にあるようで、一度ギルドのカウンターがある場所まで戻って、左側の廊下に進む。突当りに扉の開け放たれた広場があった。四角く、広い空間の八方に魔法障壁用の魔道具が設置されている。


「ヴィルさん、後でちゃんと説明してもらうから。」


伊織がヴィルフリートの耳元でこそっと告げる。ヴィルフリートは苦い顔で頷いた。

ヴィルフリートが伊織を降ろし、訓練所の中央に進み出る。乱吹も同じく向かい合わせに5mほど距離の空いた場所に立った。

ヴィルフリートと乱吹がお互いに睨み合い、緊張した空気が流れる。


「さて、手合せはいいが…治癒術士が今はおらん。怪我はない様にな。」


「あ、それなら僕が治癒する!大丈夫!」


伊織が自分にもできる事がある事に、喜んで手を上げる。ヴィルフリートが伊織をちらりと見たが、伊織は笑顔で頷く。ヴィルフリートが諦めた様な溜め息を吐いた。


「では、いいか。…始め!」


開始と共に乱吹の肌が浅黒く染まり、筋肉が盛り上がる。ヴィルフリートに動きはなく、相手を観察している様だ。


「…ふむ。鬼人の肉体強化の秘術か。確かに、人間の肉体強化とは少し違うようだな。」


ギルド長が隣に立つ伊織に教えてくれる。

乱吹の角が少し伸び、少し身体も大きくなったようだ。乱吹が5mの距離を一躍に距離を詰める。ヴィルフリートが剣を抜き、そのままの勢いで横に振る。乱吹が太刀で受け止めて、力で押し返した。

残念ながら、その後伊織の目では何が起こっているか解らなかった。


「…何がどうなってるか、見えないんですけど。」


「ふむ。ディーは力で負けているが、速さは上だからな。すべて受け流して無効化している。…身体強化も使っている様だ。」


呆然と呟く伊織に、ギルド長が目を眇めながら教えてくれる。話し振りからヴィルフリートが優勢の様だ。

よく見ると乱吹の肌には細かい傷が付いていて、所々出血している。逆にヴィルフリートに目立った傷はなく、口元は楽しそうに吊り上がっている。


「頃合いか…。止め!」


ギルド長の停止の声と共に、乱吹の振った太刀の切っ先がヴィルフリートの腕を掠る。腕捲りして、露出した肌に掠り傷が出来た。乱吹が強化を解いて、太刀を背中に戻す。ヴィルフリートも同じく剣を収める。


「貴殿は強いな!ここまで歯が立たなかったのは初めてだ!」


乱吹が豪快に笑って、掠り傷だらけになって戻ってくる。一方のヴィルフリートは腕に掠り傷1つ。伊織はとりあえず、乱吹の身体に手を当てて治癒した。続いて必要かどうかは別として、ヴィルフリートの腕も治癒する。


「貴殿がなれない武器で良かった!慣れた武器ならば、拙者はすぐにやられていた。」


「ほう。よく慣れない武器だと解ったな。」


「間合いが違ったのでな。」


(…こういうのってなんていうんだっけ。…脳筋…?…ちょっと違うか。…戦闘バカ?…うん、それだ!)


伊織が1人でくすくす笑っていると、ヴィルフリートが笑う伊織に気付いて訝しげにしている。伊織は笑いながら首を振って何でもないとアピールする。


「これで、Bランクだな。手続きさせよう。」


「ヴィルさん、僕、お腹空いた。」


「丁度昼か。…食事に行くか。」


「手続きに時間が掛かる。ギルド証だけ置いて、君も行ってくるといい。」


ギルド長が乱吹からギルド証を預かり、鷹のような目を細めて言う。乱吹は伊織とヴィルフリートをちらりと見て、苦笑いした。


「拙者は邪魔になりそうだが。」


ギルド長が笑い出し、乱吹にもうつった様に笑い出す。会話を聞いていなかった伊織はなぜ笑っているのか解らずに首を傾げ、ヴィルフリートは憮然とした顔で2人を見ていた。

ヴィルフリートさん無双…と思いきや、乱吹(ふぶき)さんのキャラが濃い←


そして伊織ちゃんのヤ〇チャ視点。

人物は見えるけど、振られてる剣が見えなかったって話です。

流石に身体まで見えなくなると、人間やめてると思ったので(笑)

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