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紫水晶の回帰  作者: 秋雨
紫水晶と石榴石
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小話 フランツィスカのシングルマザー計画①

割烹に載せていた小話です。



おはようございます。フランツィスカ・カロッサですわ。

今日は私の能力を駆使して、優秀な男性捜しをしたいと思います。

と言うのも、きっとイオリ様が身篭られるのも、時間の問題だと思うのです。

昨夜も随分仲が良さそうでしたもの。

まず、第一に家柄ですわよね。イオリ様の乳母ですもの。男性が何処の馬の骨か解らないだなんて、大問題ですわね。


「はぁ、何処かにいい殿方いないかしら…子種だけでいいのだけれど…」


「ぶはっ!…ちょ、ちょっとフランさん!淑女にあるまじき発言ですよ!」


アニーの代わりに臨時でイオリ様の侍女になったエリーゼが口元をハンカチで拭きながら怒って来る。

だけどそんなことよりも、早く殿方を探さないと!

好都合な事に、今日はイオリ様が日中お留守の為、私は休み。

そうと決まれば、まずは実家よね。お母様に手伝ってもらいましょう。


「私は城下の実家に帰りますわね。夕方には戻ります。」


「はい。行ってらっしゃいませ。あ、遅くなりそうなら連絡下さいね!」


エリーゼが快く送り出してくれたので、急いで厩舎に向かう。

馬を貸し出してくれるので、重宝してますの。

城下の実家で、お茶を飲みながらお母様に相談です。

お母様に大まかに選んでもらえば、間違いはないですものね。


「フランちゃん、本当に結婚しませんの?」


「しませんわ。だって、お仕事をしている事を認めて下さる方なんて、ほんの一握りですもの。」


お母様が困った顔で笑うのを見て、心の中で謝る。でも私、仕事を辞めたくないんですよね。


「だったら…ローゼンクランツ家のご令息はいかがかしら?筆頭神兵をしてらっしゃるし、女性よりも研究がお好きだとか。今、アニエッタさんが神殿にいらっしゃるのでしょう?接点も作りやすいんじゃないかしら。同じお歳ですし。」


「ローゼンクランツ家…と言う事は、アーデルハイト様のご兄弟…アーデルハイト様は現在、ディーゲルマン家の三男と婚約されていますから、イオリ様のご親戚…!完璧ですわ、お母様!」


ぴったりな殿方過ぎますわ!早速、お会いしないと。お名前は確か…ヴォルフガング様だったかしら。


「ありがとうございますわ、お母様!私、頑張りますわ!」


これからアニーの所に行かなくっちゃ!

待っていて下さいましね!ヴォルフガング様



to be continued...



☆その頃、ヴォルフガング


「はっくしゅん!…ずび…」


「なんだ、ヴォルフ。風邪なのか?」


「…いえ…急に寒気が…っくしょ!…一体なんなんだ?」




フランツィスカさんはちょっと突飛な発想する優秀だけど残念な子。

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