小話 龍の根城にて。
割烹に載せていた小話です。
「帰ったか?」
「氷の皇帝が迎えに来たのじゃ。」
暗闇からアナスタシアの身体に腕が巻き付く。アナスタシアは特に驚く事もなく声の主に擦り寄る。
「それにしても、良かったのか?あの実をやって。」
「いいのじゃ。イオリとあの皇帝ならば悪用はせんじゃろうしのぅ。…それに、不死になっても、あの者達であればあのお方も怒るまい?」
アナスタシアが艶やかに笑って、暗がりにいる人物の腕を引く。暗闇から出て来た男はアナスタシアの白い髪とは対照的で、漆黒の髪に金の瞳をしている。
「俺の時の様に騙して食べさせ続けたりはしないだろうな?」
「お主は妾の特別なのじゃ。…ずっと傍にいるのも、お主とヴァジムだけで良い…あぁ、イオリを娘として加えるのも楽しいかも知れぬのぅ。」
「皇帝が離さんだろうよ。」
アナスタシアがクスクスと笑って男の首に腕を回す。男が苦笑いしてアナスタシアの髪を撫でた。
アナスタシアがうっとりと目を細め、男に強請る様に自分の唇を舐める。
男とアナスタシアの影が重なり、暗闇がベールを覆う様に影すら見えなくなった。
fin
アナスタシアと、アナスタシアが懸想する相手の話。
本編に出てくる予定はあるけど、今後出てくるかは不明っていうかわいそうな扱い←




