遠い日の約束
2章終了!
夢を見た。伊織がここに来る前の。あの不思議なモノは何だったのか。
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伊織には秘密があった。小さい頃は隠していた訳じゃない。大きくなるに連れて、自分は人とは違うという事に気が付いた。それは両親の反応であったり、姉の反応であったり、気付いたのは伊織が5歳になったくらいの時だ。
いつもソレは伊織のそばに居たし、複数だったり単数だったりした。
伊織がソレの話をすると、皆一様に伊織を気味悪がった。両親は表には出さないが、心配だったのだろう。何度か病院へ連れて行かれたこともある。
「ねぇ、どうしていおりはほかの子とはちがうの?」
ソレは言った。
__イオリが特別だからだよ。
だから伊織は人と違う事は仕方がない事だと思ったし、人にその事を話すのもやめた。
大きくなってからは、どうしてソレの言う事を信じたのか分からなかったが、ソレは伊織が大きくなってからもずっと居た。
伊織が悲しんでいると慰めてくれたし、怒っていると宥めてくれた。
大きくなってからは伊織はソレの事を双子の兄弟の様に思っていた。
__いつか、イオリはこの世界からいなくなるけれど、私はずっと見守っているからね。
小さい頃のある日、ソレが言った。その時の伊織には何の事だか全然分からなかったけれど。
そういえばソレにその言葉を言われる前、自分は誰かとあった様な気がした。
それは誰だったか。
約束したのだけど、約束の内容は思い出せるのに誰と約束したのかを思い出せない。
__待っていて欲しい。必ず、お前を見つけ出そう。__
__幾年が過ぎても、何度生まれ変わろうとも。譬え輪廻を歪めてでも。__
__その時はもう一度、我の名を呼んで欲しいのだ。ーーーと。__
確かに伊織はその時に何かを貰ったのだ。何を貰ったかは憶えていないし、気が付いたら手許にもなかった。
もしかしたら、母当たりが持っているかもしれない。
__姿形は変わっても、魂は不変だから…私は遠い日の彼と約束したんだよ。彼がちゃんと君を見つけれる様にと。
誰と約束したかわからないとソレに零した時にソレがそう言ったから、きっと約束の相手は男の人なのだろう。
約束の事をつらつらと考えていると、母に呼ばれた。
「伊織ちゃん、出かけるから用意しましょ!新しい服があるの」
「はーい。ってまた女物じゃないよね!?」
考え事を中断して母に返事を返す。いつもはそばに居るソレが居ないから、どうしたのかと思いながら自分の部屋に行く。
ソレは鏡の前に居て、いつもとは姿が違う様な気がした。
伊織は鏡の前に立つ。
自分がその後すぐ、別の世界に行くとも知らずに…
__私はいつもイオリを見守っているからね。
そして伊織はこの世界から旅立つ。遠い昔の約束の元に。
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__私の愛し子。私はあの子と彼に約束したからね。
__ずっとずっと、遠い日の約束。
___例え貴方を忘れようと…貴方も私を忘れようと…必ず貴方に逢いに来ますわ。私の愛しいーーーーーー。__
__神よ。我は貴殿が憎い。我の愛するーーーーを還してくれ。__
__遠い遠い、過去の、私の罪。
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運命は巡る。
前世、犠牲になった彼女と彼を救う為。
そして現世、彼女と彼の約束を果たす為。
次から3章入ります!
お月様に間の話をあっぷしましたよー。




