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紫水晶の回帰  作者: 秋雨
紫水晶の導
33/94

遠い日の約束

2章終了!


夢を見た。伊織がここに来る前の。あの不思議なモノは何だったのか。



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伊織には秘密があった。小さい頃は隠していた訳じゃない。大きくなるに連れて、自分は人とは違うという事に気が付いた。それは両親の反応であったり、姉の反応であったり、気付いたのは伊織が5歳になったくらいの時だ。

いつもソレ(・・)は伊織のそばに居たし、複数だったり単数だったりした。

伊織がソレ(・・)の話をすると、皆一様に伊織を気味悪がった。両親は表には出さないが、心配だったのだろう。何度か病院へ連れて行かれたこともある。


「ねぇ、どうしていおりはほかの子とはちがうの?」


ソレ(・・)は言った。


__イオリが特別だからだよ。


だから伊織は人と違う事は仕方がない事だと思ったし、人にその事を話すのもやめた。

大きくなってからは、どうしてソレ(・・)の言う事を信じたのか分からなかったが、ソレ(・・)は伊織が大きくなってからもずっと居た。

伊織が悲しんでいると慰めてくれたし、怒っていると宥めてくれた。

大きくなってからは伊織はソレ(・・)の事を双子の兄弟の様に思っていた。


__いつか、イオリはこの世界からいなくなるけれど、私はずっと見守っているからね。


小さい頃のある日、ソレ(・・)が言った。その時の伊織には何の事だか全然分からなかったけれど。

そういえばソレ(・・)にその言葉を言われる前、自分は誰かとあった様な気がした。

それは誰だったか。

約束したのだけど、約束の内容は思い出せるのに誰と約束したのかを思い出せない。


__待っていて欲しい。必ず、お前を見つけ出そう。__


__幾年(いくとせ)が過ぎても、何度生まれ変わろうとも。(たと)え輪廻を歪めてでも。__


__その時はもう一度、我の名を呼んで欲しいのだ。ーーーと。__


確かに伊織はその時に何かを貰ったのだ。何を貰ったかは憶えていないし、気が付いたら手許にもなかった。

もしかしたら、母当たりが持っているかもしれない。


__姿形は変わっても、魂は不変だから…私は遠い日の彼と約束したんだよ。彼がちゃんと君を見つけれる様にと。


誰と約束したかわからないとソレ(・・)に零した時にソレ(・・)がそう言ったから、きっと約束の相手は男の人なのだろう。


約束の事をつらつらと考えていると、母に呼ばれた。


「伊織ちゃん、出かけるから用意しましょ!新しい服があるの」


「はーい。ってまた女物じゃないよね!?」


考え事を中断して母に返事を返す。いつもはそばに居るソレ(・・)が居ないから、どうしたのかと思いながら自分の部屋に行く。

ソレ(・・)は鏡の前に居て、いつもとは姿が違う様な気がした。


伊織は鏡の前に立つ。

自分がその後すぐ、別の世界に行くとも知らずに…


__私はいつもイオリを見守っているからね。


そして伊織はこの世界から旅立つ。遠い昔の約束の元に。



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__私の愛し子。私はあの子と彼に約束したからね。


__ずっとずっと、遠い日の約束。




___例え貴方を忘れようと…貴方も私を忘れようと…必ず貴方に逢いに来ますわ。私の愛しいーーーーーー。__


__神よ。我は貴殿が憎い。我の愛するーーーーを還してくれ。__





__遠い遠い、過去の、私の罪。



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運命は巡る。

前世、犠牲になった彼女と彼を救う為。

そして現世、彼女と彼の約束を果たす為。



次から3章入ります!

お月様に間の話をあっぷしましたよー。

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