小話 アーデルハイトのツンでデレなデート。
割烹に載せていた小話です。
「ハイジ、お待たせしたね。」
「別に待っておりませんわ。…貴方の妹とお茶をしておりましたの。」
ハイジが淡々と言った後、慌てて付け加えた。どうやら私に強く言い過ぎたと思ったのか、僅かに不安そうに瞳が揺れてる。
「…イオリはどうでした?私はまだ会った事がなくってね。」
「…私とは違って素直で可愛らしいですわ。」
何を勘違いしたのか拗ねてしまったかな?流石に妹になった、しかも陛下の寵姫をどうしようとかは思わないのに。
宥める為に所在なさ気に握られた手を握った。
「アーデルハイト、私が結婚したいのは君だけですよ。さて、行きましょうか。おいしいスイーツのお店を同僚から聞いたのですよ。」
手を引いて歩き出すと初めは手を解こうとしていたみたいだけど、ぎゅっと一度握ると諦めたのか大人しくなる。
「コルネリウス様は、私の様な素直でない方がいいだなんて変わってますわ。」
「そうでもないよ?ハイジは素直だし、可愛い。ほら、着いたよ。」
店は大通りから1本入った、女性が好きそうな小さくてこじんまりとした店で、同僚曰く知る人ぞ知ると言う隠れ家的店らしい。
店内に入ると、アーデルハイトは目を輝かせてショーケースの中を見ている。どうやら選びきれないみたいだ。
「ハイジ、少しお茶をして行こうか。私がどうしても甘い物が食べたいから、2つ選んで分けよう?」
「…仕方ありませんわね。夕食前ですけど、付き合ってあげますわ。…私もちょうど甘い物を食べたかったですし。」
アーデルハイトの言い分に苦笑いする。妹のところに行って居たならお茶は飲んだだろう事は予想が付いたし、当然お茶受けも出るだろう。アーデルハイトが甘い物に目がないことは分かっていた。
カフェスペースにエスコートする間も店内をきょろきょろと見ている。どうやら気に入ったみたいだ。
「…私、これとこれがいいですわ。」
「私もそれが食べたかったんだ。気が合うね、ハイジ。私も他にも食べたい物があるから持ち帰ろうか。」
アーデルハイトがこくんと頷いて無意識に微笑んでいる。どうやらこの返答で正解だった様だ。
やはり、この素直でない様で素直な女性は可愛らしいと思う。
fin
素直になれないアーデルハイトちゃんとそんな彼女が可愛くてたまらないコルネリウスさん。




