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紫水晶の回帰  作者: 秋雨
紫水晶の記憶
15/94

小話 ある日の一コマ。

割烹に載せていた小話です。



「ねぇ、ヴィルさん。バルトさんから聞いたんだけど、空いた時間にしょっちゅう騎士団で訓練してるんでしょう?見に行ってもいい!?」


伊織が突然部屋に入ってきて、ソファに座ったヴィルフリートにキラキラした目で詰め寄る。勢いが付いた所為か顔の距離が近く、ヴィルフリートは軽く顔をずらして伊織の頬に口付けた。伊織が顔を赤くして慌て、後ずさって背中を逸らす。すぐ後ろのテーブルが脹脛にぶつかって体勢が崩れた。


「危ないだろう。」


ヴィルフリートががっちりと伊織の腰に腕を回し、転倒は回避した。が、今度は前に倒れ、ソファに座るヴィルフリートの顔が伊織の胸の谷間にちょうど埋める形になる。

ヴィルフリートの呼吸が布越しに伝わり、伊織の顔がトマトの様に赤く染まった。ヴィルフリートは呼吸がし辛かったのか、顔を横に向けて伊織を引き寄せて持ち上げ、膝に座らせた。


「ヴィ…ヴィ、ヴィルさんのえっち!」


「…えっち?と言うのはなんだ。」


普通に聞き返され、伊織の口がぱくぱくと開閉する。どうやら説明するのはやめたのか、口を噤んでヴィルフリートの胸元に顔を隠した。


「で、余の修練が見たいと。」


「…うん。ハイジがね、凄くかっこいいって言うから…。」


伊織はヴィルフリートの胸元に顔を隠したままもごもごと話す。今更だが、伊織はヴィルフリートの膝を跨ぐ様に座った体制に羞恥を覚え、降りようと身じろぎした。ヴィルフリートが叱咤する様に伊織の腰をぐっと引き寄せる。


「イオリは運動が苦手だろう。よく躓く。今も、落ちたらどうするのだ。」


「ひゃっ!」


背筋を撫でられて、擽ったさに声が出た。先程より密着した身体に、羞恥でヴィルフリートの顔が見れない。


「見たいのなら、今度共に行くか。」


平然としているヴィルフリートが憎たらしい。伊織がせめてもの反撃としてヴィルフリートの胸元に抱き付く。ヴィルフリートの胸板は厚く、硬い。


「失礼致します。お茶のおか…失礼致しました。」


ギルベルトがワゴンを押して部屋に入るが、ソファに座る2人を見て一瞬固まり、瞬時に踵を返して部屋を出て行く。


「ギルベルトさん待って!違う!!ちがうからああああぁぁぁ!!!」


伊織がヴィルフリートを突き飛ばす様にして膝から降り、ギルベルトを追い掛ける。ヴィルフリートはその様子に苦笑いし、ため息を吐いた。


「…邪魔が入ったか。」


呟いた言葉は伊織の叫び声に掻き消された。


fin




ヴィルフリートさんがラッキーな話。

伊織ちゃん可愛いよ( *´艸`)

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