再戦
「5カードのラストバトル」と言っている時点で、勝負はまだあると悪ガキは思っている。
こいつはできる。流石だ。
でも、このラストバトルで勝つのは俺だ。
勝てる自信がある。
ーーー5分前。
考えろ。
考えるんだ。
、、、、、、、。
もしかしたら、、、。
悪ガキに勝てる!
悔しいが悪ガキは頭が冴える。
もう1枚の「5」の仕掛けに気がついているはず。
そうすると、手札に「5」は2枚だ。
あとは、3枚。
自然的に考えて、誰かから「5」を奪った。
それが正しい。
いや、奪う行為はふさわしくはない。
買い取ったんだ。
悪ガキは手持ち金のいくらかと交換したんだ。
それも3人と。
いや、もしかしたらバスの中ですでに誰かと、封筒ごと交換した可能性もある。
封筒を無断で交換は怪しいからネタをばらし、その「5」を金と交換。
さらに、会場でもらった「5」を交換。
とにかく、金で釣った可能性は考えられる。
悪ガキが5枚の「5」を手にすることは何通りも考えられる。
だったら、俺にもできるはず。
時間に余裕がないのは俺だけじゃない。
ここにいる会場の全員にいえることだ。
時間に余裕がないということは、それまでに金を手に入れなければならない。
とにかく、ここにいるみんなは金がほしいと思っている。
焦っている。
だったら、
俺の金を多少あげてもいい。
カードと交換するんだ。
俺も悪ガキみたいに、手に入れるんだ。
でも、手に入れるカードは悪ガキとは違う。
「5」なんかじゃ引き分けにしかならない。
そう、勝つためには
「A」のカード!
一刻も早く手に入れてやる。
会場の中から特に余裕のなさそうなやつに10万をあげて「A」を手に入れた。
これを2回やって、20万円と引き換えに「A」を2枚手にすることができた。
自分の「A」を含めて3枚。
これで「5」を相手に3勝できる。
悪ガキに勝てる!!
ーーーーーー
そして現在に至る。
カードを互いに伏せた。
「オープンする前にいっておくことがあるんだが」
悪ガキがニヤニヤしながら言った。
「俺の手札は全部5って知ってるだろ?なんで勝負をした?」
俺は答えない。
すると悪ガキが口を開いた。
「お前、馬鹿だよ。そんな理由を俺がわかってないとでも思った?全部Aに変えてきたんだろ!わかってるよ!気づいてるよ!お前馬鹿だ!」
オープンと共に悪ガキはカードを出した。
そのカードは、、、
「2」
Aを最善の一手で潰してきた。
「クククククク、残念だったな」
悪ガキがまたしても嘲笑う。
だけど、俺は嘲笑う悪ガキにいってやった
「残念だったな」
俺は裏向きに置いてある「3」を出した。
悪ガキの笑いが止まった。
「なんで・・・・・」
悪ガキは驚いていた。
「なんで、って1位のくせにらしくないな。そうだよ。お前が冴える人間ってことをさっき、思い知ったばかりだ。だから、俺も考えてみた。一歩、俺の方が上をいったようだったな」
「おまえ、俺の裏を読んで、2を出すことを読んで、3を出しやがったな!」
「そうだ。さっきお前は、5カードのラストバトルとかいったよな?どうやら違うみたいだぜ。互いに持ってるカードは5枚じゃねぇ。何枚かすらわかんねぇだろ。ここからが本当のバトルだ」
「面白い。面白いよお前。ここにいる連中はクズばかりだ。だけど、お前だけは認めてやる。だけど、勝つのは俺に決まっている」
そして悪ガキは「なめんなよ」と一言いって、封筒からカードをさらに出した。
ここからは、どちらが上をいくかのバトルだ。
運のバトルといえばそれまで。
だけど、これは読みのバトルだ。
俺は負けない。
絶対に勝つ。