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クズゲーム  作者: 葱ヲ
4/6

悪ガキ

この次の試合も俺は「5」のカードを使わずして勝つことができた。


200万円がすでに手に入った。


返済金をもう少しで稼ぐことができる。


だが、それではダメだ。


話にならない。


稼ぐためにここにきたんだ。


勝つためにここにきたんだ。


勝ってみせる。


そう思ったときに電光掲示板の画面がパッと変わった。


途中経過の知らせが映し出された。


そこにあったのは上位3位の情報だった。


1位500万円


2位300万円


2位300万円



500万円を稼いだやつがいるのか。


ありえない。


強すぎるだろ。


心理戦が得意分野のやつでもいるのか。


とにかく、時間も余裕がない。


俺は俺だ。


勝負の場所へと足を運んだ。


着いてみると、丁度勝負が終わって負けたやつがいた。


強制的に追放された。


しゃべるまもなく、あっという間に身動きができない状態にさせられていた。


勝者のやつがこっちを見た。


「おい、時間も余裕がなくなったし俺と勝負しないか?」


俺に話しかけてきた。


「それも一利あるな。いいだろう」


時間に余裕がない。


その一言で決心がついた。


俺も馬鹿ではない。


ただ、時間に焦っているわけではない。


5のカードを2枚だしていいタイミングは今しかないと思っての判断だ。


もしも、余裕があるならば5のカードを使うことが勿体無い。


なぜなら、5のカードが2枚あることがばれたら、勝負してくれるやつがいなくなるからだ。


だけど、余裕のない今ならいい。


この勝負を最後にすればいいだけのこと。


ここで勝てば少なくとも返済金は稼げる。


そして、次の勝負で勝てばいい。


まだ、チャンスはある。


そして、勝負が始まった。


俺はいきなりの「5」をだした。


まずは確実な1勝が欲しかった。


対する相手のカードは



「5」


まじか。


なかなかさっきの勝負を勝っていただけのことはある。


でも、これで相手は「A」のカードを出す可能性は低くなった。


この考えは最初に「5」を出したからわかる。


こいつは俺と同じで最初の1勝を狙っている。


ならば、「5」がないと思っているこいつが勝ち目のない「A」を出すとは思えない。


だからこそ、これは勝てる。


続けて「5」のカードを俺は出した。 確実な1勝のために。


相手のカードをみると、



「5」だった。





まさか、、、、、



「ククククク」


笑ってやがる。


「君も5を持っていたんだね。すごいね。でも残念だったね。君だけじゃないんだよ」


俺は声がだせなかった。


ただただ、絶望でいた。


だが、まだイーブン。


ここからが勝負だ。


俺は考える余裕がなく、「3」をなんとなく出した。


相手のカードは、


「5」




「え?」


思わず口にしてしまった。


「ひゃははははははは」

その様子をみて、嘲笑う相手。


「残念だったね。って言ったろ?君の負けだ。」


そして、俺は次の勝負に「A」で勝利するが、最後の勝負でまたしても「5」のカードで負けた。



1勝2敗2引き分けの勝負だったが、完璧に負けた。


そして手持ち金は150万円となった。


金の心配を確かにあった。


もう、誰も戦ってくれはしないと思う心配もあった。



だけど、そんなことよりも敗北感が半端ない。


あと、何分余裕あるんだと思い電光掲示板を見ると、下のランキングがまた変わっていた。


1位600万円


俺が電光掲示板に見たことに気がついたやつが言ってきた。


「1位は俺。さっきの50万と、今の50万で600万ってこと。あと、覚えといてくれ。俺は悪ガキだ」


悪ガキ。


ネットでしゃしゃりでていたあいつか!



悔しい。悔しい。悔しい。


そして、いろいろと頭の中をよぎった。


俺との勝負の前のあいつの様子。


今思えば、最初に見た強制追放されていたやつの相手も悪ガキだった。


悪ガキは俺とは違い毎回「5」を使っていたんだ。


相手を選んでいた。


手札がばれても、強制追放をされていては他にはばれない。


なにしろ、審判の権力が強すぎるからだ。


誰にもバレなくして勝っていた。


そして、「時間に余裕がない」のセリフを聞いて、「俺は馬鹿ではない」と思った冷静な判断こそが、馬鹿だった。


電光掲示板を見て不審に思っていなかったことが馬鹿だ。


心理戦が強いやつがいるのか?


そんなことよりも先に気がつかなければいけないことがあった。


俺以外にも「5」を持っているやつがいる可能性がいるという考え。


これが俺にはなかった。


それに気がつけば、「時間に余裕がないから勝負しよう」の発案を不審に思っていただろう。


なぜ、こいつは言っていることの割に余裕がみえるんだ。


不審に思っていたなら、電光掲示板を見ていた。


そして、1位が550万円に変わっていたことに気がついたはず。


それにさえ気がつけば、こいつが1位であることに気がつき、さらには「心理戦が強い」という考えだけでなく、「こいつはもう一枚の5を持っている!」と思っただろう。



俺は、自分が有利とばかり思っていて、油断していた。


なんて、馬鹿だ。





でも、待てよ。


ここまでは反省ができたとして、まだ疑問がある。


なぜ、悪ガキは2枚ではなく、「5」のカードを5枚持っていたのか。



なぜだ?



考えろ。


考えるんだ。


、、、、、、、。



もしかしたら、、、。



この可能性にかけよう。



時間は何分ある?


電光掲示板を見ると1位の順位は変わらず、時計は残り5分を指していた。


まだ、いける!!


そして、4分後俺は悪ガキに再戦を挑んだ。


悪ガキも、俺に不信を感じてはいた。


だけど、ニヤリと笑みを浮かべていった。


「いいよ。これが5カードのラストバトルだ」







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