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クズゲーム  作者: 葱ヲ
3/6

5カード

バスに乗ってから1時間が経過して、やっと目的地に着いた。


場所はよくわからないが、今思うとそんなに遠い場所ではないかもしれない。


ただ、遠回りしていた可能性もある。


1時間のチャンスを設けていただけの可能性も考えられる。


そして、俺はこのカードを見つけ出すことができた。


勿論、誰にも話してはいないし、バレるようなこともしていない。


バスから降りるときにに助手席の男に剥がれた紙を渡したが何も言われなかった。


やっぱり、セーフなんだ。


一安心したところで、場所をよく見渡す。


そこには、大きな建物があった。


その中に次々と人が入り、広い部屋へと連れてこられた。


全員が入っても、まだ余裕はだいぶある。



そして、全員が部屋に入った。


舞台の上にいた一人の男がマイクを持ち喋る。


「今から参加費を払ってもらう。あと、100万円のチェックだ。それ以上持っている者は預かり、それ以下の者には貸出を行う。並べ」


5箇所で手続きは始まった。


俺は110万を借りた。


そのときに、借用書以外に封筒をもらった。


そして、全員の手続きが終わった。


それを確認した舞台上の男はマイクを再び持ち喋る。


「では、これからバスの中で配られた紙にもあったゲーム。5カードを行う。ルールは紙に書いてあった通りだ。バトルはさっき手続きをした5箇所。そこで行ってもらう。封筒の中にカードは入っている。では、スタートだ」


部屋の大きな電光掲示板が時計となって動き出した。


封筒を早速あけた。


予想通りというか、もはや当たり前のことかもしれないが、A~5のトランプが1枚づつ入っていた。


ばれないように、2のカードだけを封筒の中へと戻す。


2を戻すより実はAの方が使えると俺は思った。


Aは相手の5を倒せる。


これが、このゲームのおもしろいところ。


でも、実際確率問題ではAと2のどちらを捨てた方が有利かは考えていない。


ただの気分にすぎない。


時間は限られている。


早くバトルをしよう。


ちょうど近くに気の弱そうなやつがいた。


「おい、バトルしようぜ」と誘ってみた。


「いいですよ」と男は頷いた。


そして、初バトル


5カードのルールは勝ちの多い方が最終的に勝ち。


引き分けが続けば、2回勝てば勝利となる確率もある。


だけど、確実な勝利は3勝。


3勝すれば、その時点で勝利は確定する。


なんとしても3勝はしたい。


1枚目のカードをお互いに伏せる。


俺が伏せたカードは4


5なら負け。4なら引き分け。それ以外ならば勝てる。


相手のカードは3だった。


だいたいは読めたことだ。


見るからに気の弱そうなやつだ。


慎重にいくに違いない。


だとすると、いきなり大きな数はださないだろう。


無難な3じゃないかと俺はよんだ。


的中した。3を4で倒すことは都合のいいことだ。


1番ムダがない。


次の手を考える。


5が2枚あるが、いざ戦ってみるとわかる。


Aが怖い。


Aで負けて、もう一枚の5は5で引き分け。


こうなると、こうなるとこっちのAは使い道がなくなる。


むしろ、負けることしかできない。


だったら、引き分けを狙う2を使う。


そこで2を出したときに相手は4を出す。


これで、1勝2敗1引き分け。


最後の3で2には勝てるが、2勝2敗1引き分けとなる。


確実に勝ちたい。


だったら、読むしかない。


相手の次の手を考えるんだ。


Aに5が負けなければ俺の勝ちなんだ。


Aを他のカードで潰す。


そして、5で確実に勝つ。


こいつの立場になるんだ。


気の弱そうなこいつの考え。


おそらく、この1敗に焦っている。


次は負けられない。


そう、思っているはず。




だとすると、こいつの考えは、ここで勝たないとダメだと思うはず。


そして、俺はさっき4を使った。


ということは、次に強力なカードである5を出す可能性があるかを考える。


使えば残るカードはA、2、3。


そんな不安なことはしないだろうと誰でも思う。


しかも俺には4がない。


つまり、俺に対して4を出せば、同点はないことになる。


そう考えると、俺が5を出すとは弱気なこいつは思わない。


いや、弱気だからこそ思わない。


5を使わないと考え、4がない。


だったら、確実な勝利がほしいこいつは、3みたいな同点もありえる方法をとらない。


なんとしても1勝がほしい。


だからこそこいつは、4でくる。




と、俺はよんだ。


だから、俺はここで5をだす。


5を俺は伏せた。




オープン。



相手のカードは


「4」


勝った。


これで2勝。


次に俺がとる行動は変わった。


5を使わない。


理由を説明すると、相手の手札は


A、2、5。


こちらは


A、3、5。


これだと


相手が


A、2、5。の順でだすとする。


こちらが


5、A、3。の順で出してしまったら負ける。



でも


A、2、3の手札ならば


A、2、5相手だと必ず勝てる。




こちらはすでに2勝している。


1回でも勝てば俺の勝ち。


A、2、3。の順でだしたとする。


A、2、5。のうち、最初に相手は5を出した時点で勝ちは決まる。


2を出したとしたら、相手は1回は勝てるが、その代わりAは必ず2か3で負ける。


要は負け。


最初にAを出し、引き分けにする。


そしたら、相手は5では勝てるが2ではよくて引き分けにしかできない。


つまりは俺の2勝1敗2引き分けか、3勝1敗1引き分けになる。


要は勝ち。


もう1枚の5を使ってもAを入れずに2を使用することで勝てるが、できれば5を晒したくない。


秘密兵器として使いたい。


ばれてしまったら、こいつがこの2枚目の5のことをバラすかもしれない。


そして、俺はこの勝負を2枚目の5を使わずして勝つことができた。


手持ち金が150万円となった。


だけど、返済金にすらまだ届かない。


次のバトルだ。


勝てそうな相手を探そう。


そう考えながらウロウロしていると、バトルの終わった男が強制退出させられた。


どうやら、手持ち金がなくなった瞬間にこの部屋から退出されるのだ。


哀れなやつだな。


特に気にすることもなかった。










このとき、ニヤリと笑っていたやつがいることに気がつかなかった。










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