RPGな男子の放課後トーク2
注)これは短編ですが2です。
前があります。
このまま読んでも楽しめますが前を読んでからの方がより楽しめるのでそちらをお勧めします。
「なあ……勇者」
カタカタカタとゲーム機(P〇P)を動かして魔王はつぶやいた。
「なっ、何だよ急に」
勇者の声が放課後の教室に響いた。
魔王はゲーム機を一旦机に置くとその横にある缶コーヒー微糖を手に取り、そして飲んだ。
「………………。フゥゥーーー……」
「フゥゥーーー、じゃねーよ! 時間取らせるな!」
「勇者……、俺たちってさ……」
「そこ無視かよ! まあいいで、何の用だ?」
再び缶コーヒーを飲んでから、魔王は口を開いた。
「俺たちって、何でずっとここの居るんだ……?」
「えっ……!」
一瞬辺りの空間が凍った。
「何って何?」
「いや、だから俺たち部活とかやってないし特にここの居る必要無いんじゃないかって……」
魔王は机の上のゲーム機を仕舞おうとする。
「バカヤロウ!!! おまえ、あいつを待ってること忘れたのか!?」
「あいつって、どいつ……?」
本気で魔王の頭の上に?マークが浮かんだ。
「オレはしっかり覚えているぞ! 陸上部のスライム!」
「あぁ……、あいつか……」
魔王もようやく思い出した。
「いつも俺たちの足元歩いてる奴……」
「そうそう、てゆうかクラスメイトだろ!」
「そもそもあいつ……、陸上部だったのか……」
魔王はいろいろ想像した。
「またオレの話は無視か……。
いいよ、いいですよ。もう慣れました!」
勇者は拗ねた。
「おい、勇者」
「ん? また何か用か?」
「スライムって、どう走るの……?」
「「…………」」
二人とも考えた。
勇者が口を開いた。
「あれじゃね、自分で足の形を作って走るとか……」
「違うな……」
魔王は冷静に勇者の意見を否定した。
「じゃあ何だよ! おまえはいい考えがいるのか!?」
魔王は頷く。
「俺が思うに体を限界まで伸ばして、元に戻る反動でゴールまで……」
「それド〇クエのスライムじゃねーか!! アウトだよ!!」
「違うのか……!?」
「何少し残念そうな顔してんだよ。どれだけ好きなんだ。
言っとくが、あいつはもっとブヨドロしてる」
「想像するだけで気持ちが悪いな……」
「本当にスライムの事、おまえ思い出したのか?」
魔王は少しギクッとした。
「覚えてる……」
「じゃあ、あいつ何色だ?」
「…………、青」
「ド〇クエから離れろ! 答えは緑だ!」
「バブルの方か……」
「だから違うっっっ!!!」
勇者はかなりこのやり取りに疲れてきた。
逆に魔王は結構楽しそうだった。
「この悪魔め……っ!」
「一応、俺って悪魔の部類なんだけど」
「ごめん、今のそういう意味じゃない……」
辺りがシーーーンと静まり返る。
「なあ、勇者……」
「…………」
「俺の家で帰りにド〇クエしてかないか?」
「する……」
こうして放課後、彼らの新たなRPG始まるのだった。
「ごめーーーん!! 勇者達ー待った?」
スライムは勢いよく教室に入った。
「あれ? 誰も居ない……?」
所詮スライムはザコだった……。