【短編ギャグ】新訳・王様の耳はロバの耳
「王様、早くその耳を切らせてください!!。大丈夫、私は"切断"の"プロ"ですから。」
「そういう問題じゃないよ!!、君は"髪"を切るために呼ばれたの。何で余の"耳"をねらってるのぉ!?」
「王様の耳がロバの耳だなんて知られた日には王国の権威はズタボロです。私の命に代えてもそのお耳切り落とし、王国の尊厳を守ってみせましょうとも。王国に栄光あれ!!万歳!!万歳!!」
「いやぁああああああああああああ誰か助けてぇええええええええええええええええ」
王宮内で繰り広げられる地獄絵図に大臣は茫然としていた。
一体どうしてこうなってしまったのか、話はすこし過去にさかのぼる...。
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王様は悩んでいた。それは自分の耳についてである。
それはある日のことだった、
「お前わがままで自分勝手だからもう許さんよ。耳だけロバにしちゃうからね。」
このような声が聞こえ、気が付けば自分の耳はロバになっていた。
「自分は悪い王様だと自覚できたら元に戻すよ」という言葉も聞こえたような気がするが、王様には都合の悪いことは聞こえないため、無視していた。
とにかく自分の耳がロバであることを知られるわけにはいかない。
しかし、生きていると髪は伸びてくる。
そして、どうしても髪を切る際には、自分の耳を出さなければならない。
そこで、秘密を守るため、王宮に呼んだ床屋はすべて -YouDied- してもらうことになった。
このようなことは床屋がかわいそうだと主張する臣下もいたが、「散髪を不要にするために王様の髪の毛をすべて引き抜く」ことを提案したため、当然 -YouDied- した。
そろそろ、王様の髪が伸びてきた。
かわいそうだが、次の床屋を探してくる必要がある。
床屋を連れてくる仕事は、王が最も信頼を置く家来の大臣に任せていた。
本来こういう仕事は、下っ端の仕事ではあるが、重大な秘密を守るため大臣自らが行っていたのである。
次に声をかけるのは若い床屋だ。
まだ将来があるというのに痛ましいことではある、しかしそれでもやらなければならない。
町の平民に声をかけ、床屋の居場所を聞き出した、なんでも"町の広場"に居るらしい。
なぜ自分の店にいないのか、疑問に思ったがとにかく連れてくることが重要だ。
大臣が広場に向かうと何やら騒ぎが起きているようだった。
中心部で一人の男が大声で叫んでいる。その声はこちらにも聞こえて来た。
「いいかよく聞け!!、我が国は王国である。したがって国王様が存在しなければ、この国自体も存在しないっ!!。すなわち、
国王様は国である!!
国王様は法律である!!
国王様は行政である!!
国王様は司法である!!
分かったか!!。もし国王様に逆らう者があれば、この私が裁判抜きで即刻始末する!!。この手に握られたハサミの餌食になりたくなくば、王の命にしたがうのだ!!」
信じたくない、今回連れていく床屋は、広場の中心で狂気じみた演説を行っているあの男で間違いない。
王国に対する忠誠心はあるようだが、本当に連れて行って大丈夫なのだろうか。
しかし、今から代わりの床屋を探している時間はない。
大臣は諦め、その男に声をかけた。案の定その男が床屋であった。
「おお神よ...感謝いたします。ようやく私も王に殉じることができるのですね...。」などと言い、感激のあまり泣き出す始末。
どう考えてもヤバい奴なのだが、忠誠心があるから大丈夫だろうと自分に言い聞かせることにした。
大臣と床屋は王宮へと移動し、王の前にたどり着いた。
「散髪を頼むぞ。」
王はそう言うと帽子をとった、その耳はロバの耳であった
王の耳を見た途端、床屋はその場で泣き崩れた。
「床屋よ、我が髪を切るのだ。どうした...余の耳が何か変か?」
「申し訳ございません。王様、驚いてしまいまして。」
「ほう...。では言ってみろ、今ここでお前は"何をしなければいけないのか"。」
「はい...。王様の耳を切ります...。」
「何でぇ!?切るの!?余の耳を!?」
「考えてもみてください王様。王国のトップがロバの耳をつけた畜生モドキであるなど、それこそ王国の恥ではありませんか。この国の名誉を守るためです、我慢してください。」
「嫌だよ!!。下手したら余が死んじゃうじゃん!!。」
「ご安心ください。王子様がいるではありませんか。王が死んでも、次の王が後を継ぐ。こうして王国は永遠に続くのです。」
「い、嫌だ...誰か助けて...」
「大丈夫ですよ、王様。一緒に天国に行きましょうね...。」
こうして冒頭のシーンに戻ってくる。
襲い掛かる床屋、逃げ回る王様。一体自分は何を見せられているのか。
大臣は目の前の景色にドン引きしていた。
王宮に兵士はいるのだが、ロバの耳のことを秘密にするために散髪の時は人払いをしていた。
そのことが仇になってしまったのだ。
ついに、王様は床屋に捕まってしまった。
ハサミが王様の耳に迫る...。
「どうか神様助けてください。私は悪い王様でした、悔い改めます。だから、どうか、どうかお助けを...」
その瞬間奇跡が起きた。王様の耳が光に包まれ、人間の耳へと戻っていた。
なお、床屋はその光に目をやられ、「あぁ~!!目がぁあああああああ、目がぁあああああああ!!」と叫んでいた。
この出来事をきっかけとして、王様は改心。
自分の耳のこと、床屋たちを -YouDied- させたことをすべてつつみ隠さず発表した。
以降、王様は名君となり、王国は末永く繁栄しました。
なお、床屋についてですが、この一件が切っ掛けで王国一番のヤベー奴として認識されるようになりました。
喧嘩や言いがかりをふっかける者は誰もおらず、ある意味で彼も幸せに暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし。




