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Pandora  作者: アカイヒト
帝国堕天篇
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第二十三話 〜救出に向けて〜

水晶玉アテナの中を、無数の光の線が走り抜ける。

マリザは指先を滑らせ、その全てを束ねるように動かした。


「大体わかったわ、クリウス。みんなを呼んできて。」


横でそわそわしていたクリウスは、はっとして椅子から立ち上がり、二階へと駆け出した。


数分後、足音とともにリートとパン、そしてクリウスが降りてくる。


三人が席についたのを確認すると、マリザが口を開いた。


「何をするにも、まずは作戦よ。」


リートはキセルをくゆらせながら眉を上げる。


「《黒い羽根》は宗教団体だろ? 強行突破でいけるんじゃねぇのか?」


その言葉を聞いたギヨームが、厨房から会議に加わった。


「いえ、リートさん。今の《黒い羽根》は“武闘派”に変わっています。」


怪訝そうなリートの顔を見て、ギヨームは続ける。


「数年前から信者を密かに増やし、気づけば……騎士団の半数が彼らに組みしているようです。」


リートはクリウスに視線を向ける。


「お前、知ってたか?」


クリウスは慌てて首を振った。


「知らねぇぞ! そんな話、騎士団の中で聞いたこともねぇ!」


パンが静かに告げる。


「気づかれないように、徐々に組織を侵食していったのでしょう。」


マリザは咳払いをして話を続けた。


「堕ちた騎士たちも警戒しなきゃいけないけど……問題は“六翼の使徒”よ。

黒い羽根を束ねる、最高幹部の六人がいるわ。」


リートが茶化すように笑う。


「そいつらが、無理やり布教してくるのか?」


マリザはじっとリートを見つめた。


「リート。“悪魔信仰“と“六”という数字、何か心当たりは?」


リートは目を細め、低く呟いた。


「——“六大魔王”か。」


その名を聞いた瞬間、場の空気が一気に凍りつく。


クリウスが声を上げた。


「どう繋がるんだよ!?」


マリザはギヨームをちらりと見てから話す。


「ギヨームの話だと、その中の一人が聖都全体に“幻惑”の魔法をかけて、民衆を半催眠状態にしているらしいの。」


ギヨームは苦い顔で頷いた。


「恥ずかしながら……私も『協力者』の魔法で解いてもらうまで催眠状態でした。」


クリウスは机を叩く。


「だからって、なんで六大魔王の名前が出てくるんですか!」


マリザは真剣な表情で答えた。


「この魔法の術式は、“幻惑の女王リリス”の魔法に限りなく近いの。」


「……じゃあ、“六翼の使徒”は……」


絶望がクリウスの顔に浮かぶ。

沈黙が落ちたその中で、リートがゆっくり口を開く。


「多分、“六翼の使徒”は六大魔王の力……もしくは同じ系統の魔法を使う。そういうことだ。」


——団長を、本当に助けられるのか。


その考えを振り払うように、クリウスは勢いよく立ち上がった。


「だからどうした!団長は絶対助ける!」


リートとマリザは顔を見合わせて微笑む。

その言葉を合図に、重い空気が少しだけ軽くなった。

マリザは、光を帯びた眼差しで見つめ、クリウスへと語りかける。


「そうね。今は“なぜ彼らがそんな力を持ってるか“は置いときましょう。」


「あぁ、偽物なんて怖かねぇよ」 


リートもクリウスを見つめ、ニヤリと笑った。



——そこから、30分ほど話し合いは続き、作戦の内容を全員が頭に入れる。


「さあ......始めようか。」


——パンッ!


リートは手を叩き、いつもの不適な笑みを見せる。


「ドキドキ!団長救出作戦、開幕だ!」


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