口先八寸
荒木もミロには口で負けるみたいですね
「でね、その施設に行って聞き込みしてみたんだけどね。分からなかったの」
「ふうん」
「警察に突き出す前に消えちゃったって。」
「本当かなあ?」
「多分、柿安の家の人間が金で口封じしたんだろうなあ。」
「へえ。」
「相変わらずそんな事してて…何で理沙は死ななきゃならなかったんだろうって…なんか虚しくなっちゃった。」
「その柿安って人の居所は分からないの?」
「娘の事があったから実家は分かるんだけど、どこでどうしてるかまではね。今警察じゃないし。調べるのは難しいかな。」
「知りたい?」
「正直分からない。」
「へえ。」
「姿みたら…多分冷静で居られないかも。」
「ふうん。」
「まだ今は依頼が残ってるしね。せめてこれが片付くまではね」
「ソイツに消えてほしい?」
「そりゃ…ううん。何でもない。」
「そ。」
「柿安が消えたら…私は多分もう…」
「じゃあそろそろ僕は帰るね。また来月にね。ふふふ」
「…」
○○○○○○○○○○
「亘、柿安って人分かる?」
「何だお前、また何か首突っ込んでんのか?」
「うーん、多分生きてたら死ぬ人が増えてく人?」
「なんだよそれ。こえーな色々」
「多分お金持ちの人?」
「うーん、その名前で何となく思い当たるのは…カキヤスホールディングスとかかな?」
「へえ。そこの社長とかに息子いる?」
「うーん、今すぐは分からんな。」
「元教師でね、犯罪経歴あるの。隠してるかもだけど。」
「まあ、梟介さんに頼めばすぐ分かりそうだけど。」
「じゃあ、居場所分かったら教えて。」
「またタダ働きかよ。何か寄越せ。俺、対価求めるタイプだから。」
「対価は亘の経験だよ?探偵なるんでしょ?」
「なんだそりゃ。」
「お父さんから渡される仕事だけじゃ一人前になれないよ?」
「相変わらず口先八寸だな。お前はゲーム実況より詐欺師にでもなった方がいーんじゃねぇか?」
「じゃあ宜しくね。」
「また何かやらかす気だろお前…パクられて荒木家に泥を塗るなよ」
「ふふふ。」
○○○○○○○○○○
「君、こんな所で何してるの?」
「遊んでるんだよ…」
コンビニ帰りに目に入った。
その子は夜の公園の入り口のポールに腰掛けて足をぶらぶらさせていた。
黒いフリルがついたゴシックな感じのブラウス、膝下位の中途半端な長さのズボン、黒いハイソックスに革靴…
髪は黒くてやや長め
夜の街灯のせいかも知れないが全体的に青白く、体も細い。
その中世的な姿は艶かしかった。
「君まだ子供でしょ?幾つ?中学生?」
「僕、215歳だから大丈夫だよ…オジサン…」
何言ってるんだ?この子は…
しかし、夜の公園の街灯に映し出されたその子の姿は思わず信じてしまいそうな怪しさがあった。
「僕、吸血鬼だから…昼間出歩けないの。夜しか遊べないから…ゆるしてね」
そう言ってその子はにいっと笑った。
八重歯にしては長い…牙の様な歯が見えた。




