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彩眼の次男は今日も巻き込まれる。~敵国副師団長は兄の嫁になりました~  作者: まるちーるだ
二章 冬の宮廷、家出の姫君 ~兄上、これって宮廷loveでしょうか?~ 

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四節 困惑


なんでここに?と聞かれましたが、正直に言えば回答に困ります。


「……貧乏くじを引いたとしか言いようないですね」


私の言葉に光さんは頭が痛そうにこめかみを押さえて、澪さんは腹を抱えて笑いだしました。


まあ、その間、『ケイト』と『リク』と名乗ったお二人は剣を構えたまま、私や香さんが何かしようものなら反撃できるようにしております。


何よりも、殺気が治まっておりません。


「香が軍服、昌澄さんが着替えていることから考えると、香が不可抗力でこちらに来てしまって、昌澄さんが救援、という感じですかね?」


ニコリと笑う光さんは、まるで殺気を抑え込まない二人をけん制するような言いっぷりでそう尋ねてきました。


「ええ、おおよそ正解です」


「なるほどね」


そう言いながら光さんが、ザッ、ザッと雪を踏みしめながら、座り込んだ香さんに手を差し出します。


「何があったか知らないけど、無事でよかったよ、香」


「姉さん、」


香さんが、光さんの手を取ろうとした瞬間でした。


ボッと黒い炎が香さんの腕を包み込みました。


「え?」


私の口から思わず漏れた声。


「「お嬢!?」」


真っ先に叫んだのは『ケイト』と『リク』の二人。

澪さんが剣を鞘から抜かずに構えておりました。


「何、これ?」


香さんの詰まるような声。


「大丈夫」


そう言った瞬間、光さんが香さんの手首を掴んで、自分の腕にその炎を巻きつけます。


「リク!」


「承知しました!」


光さんの声に反応した『リク』が濃紺色の魔法陣を光さんの腕に展開します。


「『閉じ込めろ、縛!』」


彼の言葉に反応するように、魔法陣が四方核のガラスのようなものを作り出しました。

そして光さんの腕の黒い炎を隔離して、黒いキューブ型に変わります。


コトンッと落ちた四角い箱は、指でつまめるような大きさに変わりました。


「五回目でやっと捕まえましたよ」


「ああ……さすがに疲れた」


『リク』と光さんの言葉に、私と香さんは茫然としたまま状況を飲みこめないままでした。

固まったままの私たちに、近づいてきたのは『ケイト』と名乗った大柄の男でした。

『リク』と名乗った男は長身ですが細く、兄上や綾人さんを思わせる適度に筋肉のついたタイプですが、こちらの『ケイト』と名乗った男は上背もさることながら、鍛え上げられた身体は鋼のようだ。


……あと私、これでも180㎝超えている一般的には大きい方なんですが、何故でしょうね、この二人に並ばれると私、小人感が出るのですが何故でしょう?


「それは多分、昌澄がヒョロガリだからだと思うよ?」


「澪さん、急になんですか?」


「いや~、何となく昌澄が『何あの二人!?巨人!?』って目で見ているから?」


疑問形にしないでください、なんて思っていたら、大柄の『ケイト』と名乗った男は自分の外套を脱ぎ、香さんの肩にかけて差し上げておりました。


し、紳士!!?


「お嬢の妹君。その恰好では寒かろう。羽織っとき」


そう言った彼が香さんに向けた色は緑色。

家族に向けるような親愛の色を浮かべたことで、彼は『一条』の関係者じゃないかと推測しました。


「あ、ありがとう、ございます?」


戸惑いつつも、寒かったらしい香さんは素直に外套で身体を包んだ。


「あ~、ケイト、あとで殿下に怒られそ~」


「じゃかしい。正光殿下なら、自分の女が衰弱する方が怒るにきまっちょる」


ニヤニヤと笑いながら茶化してくる『リク』と名乗った男は、その緑色の目でジトっと私を見てきます。

明らかに警戒しておりますね。

彼が私に向ける色は不信感を表す紫、そして香さんに向けた色は『ケイト』と同じ、緑色でした。


「リク、その男の目は虹色。春の国の『彩眼』じゃろ。お前の不信感は筒抜けやろうな」


「あ、やっぱり『朝比奈』か。厄介なのが来たね……で、お嬢。どうするの?」


この間、澪さんと光さんが小声で話しているのに気が付いておりましたが、私と香さんはアイコンタクトで黙っていることを選びました。


ですが、光さんが「は~」と大きなため息を吐きました。


「本音を言えば『見なかったこと』にして春の国(向こう)に返してあげたいんだけど……」


そう言って光さんが目配せしたのは『リク』でした。


「ちょっとごめんね、お嬢の妹君」


そう言った彼が取ったのは香さんの左腕。

先程、黒い人型に変わった光さんの偽物に掴まれた場所です。

彼は遠慮なく、香さんの手の裾をまくり上げた。


「なっ!?」


「なにこれ」


私の驚きの声、香さんの微かな悲鳴。

香さんの腕にはまるで蛇にでも巻き付かれたように紫色のあざが浮き上がっていました。

コレを見た瞬間に、冬の国の四人は痛々しそうな顔をした。


「回復を」


「いや、昌澄。これは回復魔法じゃ治らない」


私の言葉を遮ったのは澪さんでした。

「はー」とまた頭が痛そうな溜息を吐いた光さんは香さんを私に視線を向けてきます。


「詳しいことは追って話します。疑問もあるでしょうが、今は私『一条 光』を信じて、一緒に来てもらえませんか?」


光さんが何とも言えない表情でそう言いました。


「香のその腕は冬の国から出すわけには行かなくなった状態です。状況説明よりも、応急処置が先という事です」


光さんの色を見るに、澄んだ水のような青を浮かべます。

つまり、彼女の言葉は『真実』でしょう。


こそりと香さんに「信じていいと思います」と伝えれば、彼女はコクリと頷いた。


「分かりました、信じましょう」


そう言いつつも、念のため、香さんを私の後ろに隠します。

ただ、その瞬間、四人がホッとしたような黄色を浮かべました。


つまりは安堵。


彩眼は人の感情を読み取ります。


少なくともこの四人は、敵ではないと、判断していいのでしょう。


「時間がないので急ぎます。ケイト、香を背負って。

澪、昌澄さんを頼む。

リク、転移魔法の準備を」


光さんの指示に従う三人は速やかに動き出しました。

香さんは『ケイト』さんの肩に乗せられて、

私は澪さんに腕を掴まれます。


そしてニヤリと笑った『リク』さんが描くのは濃紺の魔法陣。


やはり春の(我が)国とは違う魔法陣ですが、使う魔法の組み合わせは、同じようです。


「じゃあ、一条家にご案内~」


その瞬間、視界は別世界に変わりました。





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