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『世界を救った勇者アルベルト 夢の魔法を使ってハーレム性活始めました。伝説のサキュバス待ってろよ!』(真面目な恋愛小説)  作者: 虫松
第四部 元天界の堕天シスター

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第二話 地上での善行

「セクシャル!今日は“善いこと”をして、天界に帰る足がかりにしようよ!」


「もちろん、バイセル!天使は行動あるのみっ!」


ここは地上のとある小さな町。

元・天界の伝説的シスターコンビ「清き福音」こと、バイセルとセクシャルが、はりきっていた。


その様子を屋根の上からじーっと見守る者がいた。

赤いマントに金の髪。勇者アルベルトである。


「……大丈夫かな~あの子たち?」


その肩の上、ちょこんと座ったベビーサタンのさっちゃんが口を開いた。


「善行ごっこに決まってんでしょ。どうせまた大惨事起こすって」


最初のターゲットはお年寄り。


「おじいちゃん、荷物運んであげましょうか?」


「ほっほっ、ありが――」


バサッ!


バイセルが持ち上げた袋の底が破れ、みかんが大量に路上へ転がった!


「わーっ!ご、ごめんなさい!」


「みかん戦争開戦だわね」とセクシャルが拾いに走るも…車道に転がり出た一個を追って、転倒。


「アッッッブな!!」と叫ぶアルベルトに、さっちゃんが毒舌を放つ。


「…ほら見なさいよ、地上最速で天界帰行をそっこうで切符破り捨ててるコンビ」


次はゴミ拾いだ!


「見て!あそこに空き缶が!」「神の目は見逃さない!」


二人は空き缶目がけてダッシュするも、同時に拾おうとしてゴツン!


「痛ったーい!」

「目から星が…」


さっちゃん、ため息。


「善行で世界救う前に脳しんとうで自分たち昇天しそうね…」


その夜。

公園のブランコに座ってしょんぼりする二人。


「私たち、やっぱり天使失格かな…」

「善行って、こんなに難しいの?」


そのとき、横から声がした。


「まぁ、お手本を見せるのも悪くないなと思ってね」


振り返るとアルベルトがいた。


「あなたは……?」


「勇者アルベルト。この町で噂の“転落天使詐欺師シスター”を見に来たわけさ。けど今日一日見てて思った。君たち、根っこの部分は善そのものだってな」


さっちゃんもトコトコ歩いてきて、言う。


「でも、現実はきれいごとじゃ通らない。だから**“善いこと”ってのは戦略と根気と、ちょびっと運がいるのよ」


アルベルトは二人に向き直った。


「なぁ、俺と組まないか? 大きな善行を一緒にやろう。地上でも通用する“本物の善”を、形にしてみようぜ」


バイセルが言う。

「…でも、私たち失敗ばかりで…」

セクシャルも不安げ。

「天界でもドジだったし…」


さっちゃんがニヤリと笑う。


「ドジでも心があるなら、この勇者のバカ正義と組めば世界ぐらい救えるわよ」


アルベルトが手を差し出す。


「さぁ、堕ちた天使たち。次は“地上の星”になってみないか?」


二人は目を見合わせ、うなずいた。


「やってみる、私たちで」

「善を地上で咲かせてみせる!」


こうして、「清き福音」は再び地上で羽ばたく。

やがてくる戦いの前に、まずは

地上最大の悪い詐欺組織をブッ潰す、というアルベルトの“計画”が始動する。



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