第一話 特別任務!勇者アルベルト、人事部に異動!?
「なぁんか最近、平和すぎて暇じゃない?」
ゼロ部隊本部の天井を仰ぎながら、俺こと元・世界を救った勇者アルベルトは、つぶやいた。
人間の世界が平和ってのは良いことだが、俺のようなカリスマが燻ってるのは世界にとって損失だ。
そんな俺の元に、現れたのは
「よっ、勇者さん。あのさぁ。アンタ、ヒマしてるでしょ?」
部屋の扉を開けて入ってきたのは、ゼロ部隊の裏司令官、ベビーサタンのさっちゃんだった。
ピンクのワンピ、ツインテの角、ランドセル(?)背負い、
声は小学生、態度は女王様。欠点はものすごく口が悪い。
年齢50歳、見た目は幼女、中身は魔王級の交渉力。
しかも今日に限って、角がいつもよりツヤってる。
「ちょうど良かったわ。あんた、今日から人事部に異動ね」
「は?人事って……俺、勇者だぜ?」
「まぁまぁ聞いてよ。アンタの『キズキ』と『トキメキ』の魔法、あれ、超使えるのよ。人をたらし込む魔法ってことでね。優秀な人材をスカウトしてきて欲しいの」
「スカウトって……どこまで?」
「世界中!魔界から天界、果ては異界まで。」
「……規模でかすぎない!?」
「いいのよ。むしろ、そうじゃないと、アンタの夢の“ハーレム性活”実現できないでしょ?」
図星すぎて反論できない俺に、さっちゃんはズイっと小さな手を突き出して、任務書を渡してきた。
【特別任務】勇者アルベルトへ
任務名:世界スカウト作戦 〜ハーレム構築計画〜
目的:優秀な女性人材の獲得
目標:10名以上の仲間(美女を含む)を集めよ
報酬:伝説の性なるサキュバスへの接触許可
「性なる……サキュバス……!」
噂に聞く、男を魅了し尽くし、世界のバランスさえ狂わせる存在。
その夢のサキュバスに会える、それは、俺にとって“世界平和なんかより素晴らしい目標”だった。
「よし……分かった。絶対その任務、引き受ける!」
「さっすが勇者。あ、ついでに人事部の名刺も作っといたから、渡しとくね〜。あ、あとこれ、今後のスカウト候補のリスト」
そう言って渡された名簿には、錚々たる名前が並んでいた。
・天才眼鏡の女教師
・竜族の姫騎士
・雪国の女剣士
・元天界の堕天シスター
・マッド錬金術師
・サボり癖のあるツンデレメイド
・孤高の狼女
・呪われた歌姫
・セクシーくノ一
・魔王の妹(!)
・伝説の性なるサキュバス ←最終目的
「うひょぉ……!なんかすげぇのばっかじゃん!」
こうして俺は、勇者アルベルト改め、ゼロ部隊人事スカウトチーフとして、新たな旅へと出発した――
夢のハーレムと、性なるサキュバスに会うその日まで!
「これからの俺の人生バラ色ハッピーに違いない」
ウキウキ 、ジャンプステップをしながら、 エロい顔で進む勇者アルベルトしかし、世の中そんなに甘くはないのだった。