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リカルデントX

作者: メンボウ

 不老不死は完成しました。

 完成したそれは隅々まで行き渡り、今ではもう不老不死じゃない人なんかいません。

 もう人類には恐いものなどほとんどありません。

 新しい子供は全く生まれませんが、それでも人口は一向に減りません。当たり前ですけど。


 最初はなにせもうとにかく、みんな不老不死だからやりたい放題です。

 ロシアンルーレットなんかただのパーティーゲームなんですから、頭のねじが少し飛んだ人たちなんかリアル核戦争ごっこやろうぜ! とかいった具合です。


 ニ千年くらい掛かったでしょうか。

 人類を残してほとんどの生物は絶えました。

 生き残ると宗教的に信じられていたゴキブリすら絶滅しました。

 ああ、地球は人類の楽園となりました。

 食べるものはもう土か人間くらいしか残ってないんですけどね。

 六千年掛かって二つの大陸が文字通り食べ尽くされました。

 別に食べなくても死にはしないんですけど、不思議なものです。

 何か咀嚼しないと人間は不安になるようです、この食べるという行為がある生物を絶滅から救ってしまいました。

 そう、虫歯菌です。

 七回の根絶宣言を乗り越えて今もたくましく進化寄生中。

 空気感染力まで身につけて、もはや手の付けようのないあばれっぷりです。

 多分初期対応が悪かったのでしょう。

 大昔は不老不死になった瞬間、虫歯なんか治ってしまったように思えたものです。

 実際は再製速度が虫歯菌に勝っていただけなのにね。

 人類に残された選択肢は、痛みに耐えて虫歯と共存するか、寄生を避けるために火の中で焼かれ続けるかの二択かと思われました。

 実際永い間それしか方法はありませんでした。


 ――リカルデントガムX。


 そうこの救世主を世に送り出すため有史以来初めて全ての人類が一丸となって取り組み成し遂げた偉業、人類史に燦然と輝く金字塔。

 再石灰化の速度が虫歯菌を超えた時には涙しなかったものなどいなかったでしょう。


 でも虫歯が恐いからってずっと噛んでたらダメですよ。

 過度の再石灰化でこんなふうに牙みたいになっちゃいますからね。

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