私の太陽
冷たい。冷めている。感情あるの?
そんな風に言われることが多々ある。
自分自身、感情があまりなく、大体のことに対して興味を持たない、そんな所が冷たいと言われる理由なのは自覚している。
それでも、そんな冷たい人間になりたくてなったわけじゃない。
そして自覚しているくせに、自分にはきちんと感情がある、冷めてなんかいない、そう自分で自分自身を否定する。
いや、この否定は、感情のない”普通”ではない自分を、皆と同じだと、私は”普通”だと思い込ませるための、心が壊れないようにするための治癒的なものなのだろう。
けれどその治癒は、一時的なものだ。
いつまでも続くわけではない。
空が茜色に染る夕暮れ時。
公園のベンチに、1人座る少女がいた。
そして、こんなことを呟いた。
「嗚呼、私は何時になったら、”普通”になれるのだろう。」
その時、後から声が聞こえた。
「君にとって、それが”普通”なのであれば、それは紛れもなく”普通”だよ。」
「貴方は…?」
そう、いつも通り淡白に返す。
全くもって面識の無い赤の他人に急に話しかけられ、大きなリアクションもせずここまで冷静に返すなんて、やはり”普通”じゃない。
こういうところが、感情が無いと捉えられる要因なのだろう。
それにしても、先程の台詞はどういう意味だろうか。少し頭を捻らせてみるが、答えは出ない。
今の私にはまだ分からないけれど、いつか分かりそうな、私にとって大きな言葉になりそうな、そんな予感がする。
そんなことを考えているうちに、彼は口を開いた。
「僕は、用事があるのでもう行かなくては。」
「”またね”」
そう言った彼の表情は、夕陽に染ってか、まるで太陽のようだった。
その表情に唖然としていたが、段々と思考が現実に戻っていく。
その表情に見とれているうちに、彼は既に私の前から姿を消していた。
「また、ね…?」
「また、があるの?嗚呼、なんだか楽しみだ。」
私はそう呟いていた。
『あれ?私、今、楽しみって…』
『…嗚呼、何時ぶりだろう。この高揚感は。』
『突然現れた不思議で、それでいて何処か太陽のような笑みを見せる彼へ。』
「”またね”」
これは、感情の欠落した少女が太陽の光に照らされる、そんな話。
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