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名前を決めて-コノキモチニ-  作者: 鏡恭二
【第1章】 名前を決めてーコノキモチニー
1/13

彼女の名前は・・・・?

モノローグ 「正義の残骸」


正義に燃えていたあの時の自分は----もう死んだ。

警察官僚という肩書も、信じていてた理想も。

燃え尽きたのはあの事件の時だった。

証拠が消えた瞬間、何かが胸の奥で崩れた。

それでも上司をかばったのは、「正義」だと信じたからだ。

....でもその正義は組織の中では通用しなかった。

誰も評価しない。誰も救ってはくれない。

気づけば孤立していた。

弟は出世し、周囲は俺を腫れもののように扱った。

--------いつからだろう

「正義のために生きていた自分が」

ただ、「正義のために死んだ過去の人間になっていた」のは。




...主人公 黒沢恭二:

43歳男性。神奈川県横浜市の一戸建て住宅に4歳の息子と住む髪が金髪の専業主夫。

父親、母親、弟の4人家族。父親は警察官僚、母親は専業主婦。

幼少期からと背中を見て育ち、父親と一緒の警察官僚を目指す。

その後、無事東大法学部に入学し、国家公務員1種試験に合格し、警察庁のキャリア官僚として採用される。弟も兄と同じ東大法学部から警察官僚になる。弟は順調に出世街道を歩むも、それとは違う自分を比較してしまう、犯人を取り逃がしたことによる正義感の迷いなどから「組織に属する限り自分の正義は貫けない」と主張し、周囲との衝突がはげしくなり、だんだん周囲から孤立。-----その矛盾が心のしこりとしていつも残っていた。

やがて退職。燃え尽き症候群になり、自宅にひきこもる。

警察官退職後も心のしこりがいつも取れず周囲と摩擦を繰り返し、

家族や友人からも敬遠されていった。

両親も警察官僚として順調に出世街道を弟のほうばかりをかわいがるようになり、孤立と自己否定に沈んでいく。

やがて自分の存在を「可視化」するために「金髪」に.....それは彼なりの悲痛な叫びだった。

両親に「何でも良いから働きなさい。」促され、親戚の経営しているコンビニに就職。誰でもできると思われている仕事であると本人は考えていたため仕事をしていてもいつも身が入らなかった。

そんな中、そのコンビニで看護師志望の結菜と出会う。

周囲の職員から「もともとは警察の偉い人だったんでしょ?なんでここに?」

と聞かれても彼は「好きだからだよ」と笑った。

ある日、コンビニ強盗が押し入る。

結菜が襲われそうになった時恭二はかつての護身術で彼女を守った。

それをきっかけに急速に距離を縮めやがて結婚。長男蓮が誕生する。

天才故の奇行が多く、釣銭を暗算で客に渡して店長に怒られた。

「過去なんてレジのつり銭じゃ帰ってこないのにな」

とつぶやいて、釣銭トレーをみつめたまましばらく黙っていた。

恭二の背中には、どこか「過去の哀愁」がにじんでいた。

そんな背中を結菜は見て、缶コーヒーをポンと渡し、「お疲れ様」とほほ笑んだ。

出産後は、共働きをしていたが、妻の看護師の仕事柄、子供の体調不良時に休めず、

自然と恭二が家事・育児を担うようになる。

やがて彼は言った。

「これからは黒沢家の治安が守れる人になる」と仕事を退職。

-----彼は、正義の形を変え、専業主夫としての道を選んだ。

趣味:ラブコメ大好き。

小学校のころ、ツンデレヒロインが主人公に思いを寄せる場面、最終回でキスする場面などを見て、ヒロインに心を奪われて以来。ラブコメにどっぷりはまる。

本棚には集英社や講談社などのラブコメ作品がずらりと並んでいる。恭二に思いを寄せるまどかが恭二の女性のタイプの研究材料に使う日も。いまでも毎週雑誌をリアルタイムでチェックするほどのマニア。

性格:基本情熱、熱血そしてバカ。結菜や連をあきれることが多い。

現在の状況は本人曰く「イクメンの究極形態!!」。(ただの無職なのだが・・・)

周囲と衝突することが多くそのたびに結菜に迷惑をかけている。

車の運転免許証を何とか取得できたものの数字に対するこだわりから制限速度など関係なく「足し算して10になるからここは時速64㎞で。」「割り算して1になるから時速22Kmで」などの周囲と合わせられない運転をして事故多発。

妻に運転を止められて以来車は妻が運転するように。

住まいは神奈川県横浜市の一戸建て住宅。結菜が銀行に交渉して購入した。

彼の料理もこだわりが強い。

・鶏肉は栄養がいいという理由のみで晩御飯が「焼き鳥と唐揚げだけ」の日があった。

・咬筋を鍛えるという目的でご飯えあえて固く炊いた日。連が「パパのご飯カチカチだよ。」と涙目に。結菜に却下され今では柔らかモードで落ち着いている。

トラブルが絶えないが、不器用な愛情と家事と子育てで今日も家族を支えているそれが黒沢恭二なのだ。


黒沢蓮/黒沢家長男・4歳

「空が青いのは、頭がそう感じさせててるだけなの?」

「インドミナスレックスって恐竜がいて肉食で大きさは12~15m、体重は8トンあってねぇ・・・」「目玉焼きの位置がなんかしっくりこないなぁ・・・」

そんな発言を繰り返すたび恭二、結菜は顔を見合わせて「なんか違う・・・」と感じていた。

保育園には通っているが集団生活になじむのは苦手。

3歳児健診で「発達傾向あり」と診断された。

母親は驚愕したが、父親の恭二は待っていたかのようにこうつぶやいた

「フッ。これは遺伝だな!!」

そしてなぜかどこか誇らしげにほほ笑んだ。

結果的にはやや消極的で朝の忙しい時間に保育園に行きたくないと泣き解かれることも

両親ともに悩みの種であり、かけがえのない愛おしい存在である。


黒沢結菜:妻47歳 看護師。自動車運転免許(MT)保有。

恭二と出会ったのはコンビニでのアルバイト時代だった。

結菜は当時、生活の中で働きながらもどこか冷めた目で日々過ごしていた。

「女性が働き続けるには資格が必要だ。」

そう考えるも----夢に手が届く気がせずただ日々を過ごしていた。

そんな中、店に強盗が入るという事件が起きた。

恐怖と混乱の中で、客をかばい、犯人に立ち向かったのが恭二だった。

警察官だった。彼の勇気ある行動が結菜の心を大きく揺さぶった。

それをきっかけに、急速に距離が縮まっていく二人。

しかし付き合ってみて初めて気づいた。恭二は一見頼りがいがあるが、

実は「宇宙人的」な言動を繰り返し店長や客のフォローに追われる羽目に。

「.....なんなんだこの人は」

そう思いながらも不思議とひかれてしまう。

やがて結菜は自分の夢----看護師になることを恭二に打ち明けた。

勉強のサポートをしてくれたのは、いつも陰で支えてくれた恭二だった。

励まし、教科書に付箋を貼り、

テスト前や看護実習で課題がつらい時もにはいつも徹夜をして課題を手伝ったり、

励ましたりしてくれた。

そして35歳。結菜はついに無事看護師の資格を取得する。

その後結菜はコンビニアルバイトを退職し、念願だった看護師としての道を歩き出す。

恭二とは、結婚。長男連を出産した。

家庭を支えるべく恭二が一戸建て住宅の購入計画を立て

自ら交渉して神奈川県横浜市に一戸建て住宅を購入した。

MT者の運転免許を持つ彼女は、家庭でも職場でも頼れる存在として、

今日もハンドルを握りながら家族を守っている。

家庭では仕事の忙しさから家事が苦手。

共働きであることを理由に、総菜をパックのままで出す、

レトルトカレーパックのままご飯の横に置くなど、独特の時短スタイルを誇る。

仕事が忙しい為子供と過ごす時間も少なく、それにより母親としてジレンマを感じることもある。

ほとんどの家事を恭二に頼んでいる。さらに味覚にもこだわりがあり、

恭二の丁寧に作った料理に大量に酢を足したり、

豆板醤を大さし1杯入れるなど「独自アレンジ」で料理バトルが勃発。

時には家族崩壊の危機になるほどの喧嘩になるときもあるが、心の中では夫への感謝は忘れていない

職場では計画的で冷静な一面を見せるが、プライベートでは即行動のタイプ。

母親としては「子供と過ごす時間が少ないこと」へのジレンマも感じており葛藤と奮闘を繰り返す毎日を送っている。

趣味:男性アイドル「Jupiter Beat」の一ノ瀬涼の推し活。ドームツアー皆勤、HDDは常に予約録画。ネットの動画のおすすめ欄は「一ノ瀬 涼」。車の中の音楽やカレンダーなども「jupiter Beat」であり、家の空気すら推し仕様。



+もう一人(〇〇〇〇〇)

ふふふっ。私のこと気になる?本文で待ってるわ。

----徒然なるままに日暮らし。

結菜は病院で看護師の仕事として働き、恭二は掃除、洗濯に部屋片づけに料理、

連は保育園へと通い、家族の日々はただ静かに流れていた。

「ここは私の居場所じゃない」 家で感じていた一人の少女。

その娘とこの家族の出会いが、この家族の見えない絆を思いださせることになるとは、

この家族はまだ知らなかった。



彼女は帰宅すると期末テストの結果を母に差し出した。しかしかえって来たのは冷たい叱責だった。


母親「何度言ったらわかるの?

あなた医者になりたいんでしょ?こんな点数で、医者になれると思っているの?」

「ちゃんと勉強しなさい!!」

しかられながら、彼女は心の中で思った。

(・・・医者になりたいって言ったのは、私のはずなのに。

なんでこんなに苦しくなるんだろう。・・・)


こういう時には連絡を取る人がいる。スマホを取り彼女の名前をタップする。

結菜「まどかちゃん。元気?」

まどか「結菜おばさん。こんにちわ。」

結菜「おばさんじゃない。おねえさんっていって」

スマホの向こうで少し低い怖い言葉が聞こえて、今までのも少し落ち込んで話が出なくなった。


結菜「まどか?どうかしたの?」

まどかは少し涙ぐみ応える。

まどか「.....また、怒られちゃった。テストの点が悪いって」

結菜「まどかの両親,少し厳しすぎるのよねー。うちの両親は元気で学校行っているならそれはいいって言いう感じの人だったからなぁ」

結菜の元気な声にまどかの顔が少しほころぶ。

結菜「まぁー。私も看護師になったの35歳だったから勉強なんていつでもやり直せるのに。まどかちゃんはまどかちゃんでそのままでいいから大丈夫だよ。」

「おーい。ご飯できたぞー。」電話のむこうに聞こえる男性の声に結菜は少し笑いながらいう。

結菜「旦那に呼ばれちゃった。じゃあね。」

電話をきり、まどかはそっと微笑む。


ーーーー私の名前は白石まどか 18歳 高校3年生。医師を目指す受験生。

まどかが医師を志すきっかけは、小さなころに見た救命救急医のドラマ。

命をつなぐ手、冷静な声、そして最後に見せる微笑み。

「あんな風に、誰かの「最悪」を「安心」に変えられる人になりたい。」

それがまどかの夢の原点だった。

同じ医療の現場で働く看護師・結菜と仲が良いのもその思いがあってこそ。

しかし、その決意をさらに強める出来事がこの後彼女を待っていた。


あくる日のこと

結菜「お母さん。最近声変じゃない?」

何を話しても母の声がかすれて聞こえた。

結菜「一緒に病院行こう。」

結菜は看護師10年目すぐに異変を感じ取った。検査の結果医師は静か告げた。

医師「ガンです。全身に転移しています。治療方法は放射線治療か薬物療法のみです。」

医療従事者として理解はできても娘としては受け入れがたかった。

帰り道結菜は車中で涙を流した。

こんな時はいつも電話をする相手がいる。結菜はスマホでまどかの名前をタップした。

まどか「ああ。結菜さん。どうしたの?」

電話の向こうで涙ぐみ鼻をすする結菜の声が聞こえた。

結菜「・・・・・・」

まどか「ねえ?どうしたの?」

結菜「お母さん…がんなんだって・・・私、看護師なのに・・・・もし私が医者だったら・・・救えたかもしれないのに・・」

まどかはただスマホに耳に当てることしかなかった。

結菜は強がりながら笑って答えた。

結菜「私が・・・医者だったらよかったのになぁー。」

その言葉が、まどかの夢をそっと後押しした。


けれどーーーー情熱だけでは届かない。

まどかには致命的な課題があった。

ーーーー勉強ができない。

学校では上位の成績。でも医学部にはとても手に届かない。

まどかは、スマホを握りしめて再び結菜に電話をした。

結菜「もしもし。ああ。まどかちゃん?どうしたの?」

まどか「ちょっと結菜さんに話したいことがあって・・・」

ファミレスで待ち合わせた二人の会話が、やがて二人の未来を変えていく。


まどか「結菜さん私どうしたら」

結菜「うーん。じゃあ、あいつに勉強教えてもらえば。」

まどか「あいつ?」

結菜「私の旦那。恭二」

金髪・無職・宇宙語を話す謎のおじさん。

しかし、背に腹は代えられない。

まどか「私、恭二おじさんに勉強教えてもらいたい。」

結菜「そうわかった。伝えておくね。暇してるから。」

住所を結菜さんから聞き、別れた。


そうそれが恭二との出会いだった・・・・



朝6時起床。それがいつもの私の起床時間だ。

息子はまだすやすや寝ている。その間に仕事で忙しい妻と息子のために朝食を作る。

次に結菜が起きてくる。

結菜「おはよう。いつも早いのね。」

恭二「おはよう。ああ。まぁ。朝早いのは慣れてるからな。」

僕の返事なんて聞いちゃいない。結菜はいつものようにバタバタと仕事の準備をはじめる。

家の中が一気にあわただしくなった。

私が作った朝食はひとかけらだけ食べ時間がないといい出て行った。出勤時間8時。

結菜「仕事行ってきまーす。」

妻(結菜)は仕事に出て行った

保育園の送迎は9時までにと保育士に言われているが息子はまだ寝ている。

恭二「おい。起きろよもう朝だぞ!!」

連「まだ眠い。」

8時半になっても起きてこない息子を抱きかかえて起こす。

息子はうわごとをしゃべりながらもまだねている。

洋服を全部着替えさせた。朝食を食べさせようとするが気づけば8時50分もう朝食を食べる時間もない。

朝食はあきらめて家を出ようとするも暗い顔でうつむいている。

恭二「どうした?」息子に心配そうに問いかける父親。内心では焦っているのだが・・・

連「・・・・」息子は黙っている。息子が答えるまで待っているのが父親の仕事。

受け止めようという気持ちで接してはいるものの焦りの気持ちは隠せない。

その顔をじっと見て空気を察したが連は答えようとしない。仕方ないのでこちらから話しかける。

恭二「保育園で友達とうまくいかないのか・・・」

連は黙ってうなずく。その後親としては混迷の言葉が飛び出す。

連「保育園にいきたくない。」

連がぽつりとつぶやいた。

これは甘えなのか、本当に何かあるのか。

俺は笑って見せる。

しかし、時間は確実に過ぎていく。恭二は笑顔で語りかける。

恭二「そうだよなぁ。パパも学校なんて大嫌いだったしなぁ。」

・・・・・頭が金髪の恭二らしい答えだ。この男の辞書に協調性という文字はない。

連は俺のことをじっと見つめている。今すぐ連を保育園に無理やり連れていくこともできる。

でもほんとに父親としてそれ正解なのだろうか。

「よし。今日は駄菓子屋寄ってから行くか。」

連の顔がぱっと明るくなる

蓮「うんお菓子買う。」

連がぱっと笑顔になりお気に入りのおもちゃを持ち家を出る。

恭二「(こういうところ俺に似ているんだよなぁ)」

保育園に電話する

「すいません。連の父ですが今日は少し遅れて登園します。」

主夫にはこんな仕事もあるのだ。


近所の駄菓子屋による。大好きなコイン型チョコレートをレジへ向かった。

駄菓子屋の店員「今日はお父さんの仕事がやすみなんだこれからいっぱい遊んでもらえるね」

恭二「ええ。まぁ・・・」

こちとらは無職で、専業主夫なんですよー。とは言えない。

相手に悪意がないのはわかっているだからこそ何も言えず、真顔で接するしかなかった。

連は満足そうにチョコレートを握りしめる。

連が満足ならそれでいい。父親としてはそれが何より、最高だ。

・・・・そう思う反面自分の立場やプライドなんて関係ないとおもいつつも少し傷ついた。


保育園近くの公園につく。

ベンチに腰を下ろし連とさっきのチョコレートを食べる。

連が小さな手でちょこをつまみ恭二に差し出す。

連「おひとつどうぞ」恭二「ああ。」

こどもは無邪気でただただ可愛い。しかもこうして人にやさしくできるいい子に育った。

・・・・父親としてこんなにうれしいことはない。

ひとしきり保育園近くの公園で時間を決めて連を遊具などで遊ばせる。

連は遊具の上に怪獣や恐竜の人形を並べ、それを滑り台で滑らせた。

連「ガオー突撃だぞー!!」

恭二「わぁー恐竜が落ちていくー。」

スマホのアラームが鳴る。

恭二「よおし。連。そろそろいくよー。」


保育園につくと保育士に引き渡す。

恭二「今日も変わりありませんのでよろしくお願いします。」

保育士「はいわかりましたー。」

保育園での息子の担当保育士との何気ないやり取り、これで幼稚園の送迎という家事の一つが終わり

親としてはほっとし、ひと時の安らぎの時間が持てる。

黒岩恭二申し遅れたこれが私の名前。4歳(連)の父親だ。

うちの家は、今は専業主夫。今流行しているイクメンの究極系だ。



国会では議員さんが、だれでも通園制度や子育て支援金、男性の育休制度などを考えているようだ。


家事も育児も会議室で起きてはいない。目の前で起きているのだ。

なんかの刑事ドラマであった名言を国会の政治家と官僚に叫んでやりたい。

保育園の送迎もそのうちの一つだ。

「遅刻はよくないよな。」

保育士にひと時の罪悪感はあるものの、金髪で熱血情熱バカは反省の時間が短い。

担当保育士もさぞあきれていることだろう。

保育園に送り終わるとひと時の安らぎが生まれる。近くの自販機で缶コーヒーを買いホッとする。

恭二「ふぅ。いつもここがリラックスできる時間なんだよな。」

恭二「この15分ぐらいが」そしてそのあと、

その家に恭二の特別な感情を寄せる人が来るとはこの時誰も知らない。


まどかは、坂を上っている。

まどか「結菜さんによると、ここらへんなんだよなぁ。」

坂を上ると駄菓子屋があり、その先に白い家がある。

まどか「ああ。ここだ。」

門にインターフォンがある。その先の扉があく。その人物の容姿にまずまどかは困惑する。

金髪だ・・・・・。すごい。どこかのチームにでも属しているのだろうか。

空いた扉からでた人物から声が出た。

金髪「はい。どうも、どちらさんですか?」

金髪で言われるので迫力がある。しかし、私は結菜さんとの約束がある。それが背中を押してくれた。

まどか「私、白石まどかといいます。結菜さんにあなたに勉強を教えてもらえると聞いてきました。

あなたが恭二さんですか?」

恭二「そうだよ。ここは俺の家だからな。俺以外に誰がいんの?

ああー。そういやあ。結菜の奴がいってたな。誰かくるって。時刻が足しても引いても割っても10にならないし、微分しても積分しても関数にならないし、漸化式に代入しても数列が完成しない時間だから訳が分からないとずっと考えてたら覚えられんかった。」

頭が金髪なのでとても怖い。しかもよくわからない宇宙語を話している。

だけどひるむわけにはいかない。

まどか「今日からよろしくお願いします。」

恭二「ああ。よろしく。まぁ。あがれよ。」

上がるなり机に座らされる。しかし、目の前の女の子にお茶すら与えない。

この男に気遣いやデリカシーという言葉は無縁なのだろう。金髪頭で恭二は言った。

恭二「で?どこわからんの?」

なんで初対面の人にいきなりため口なんだろう。不思議に思いながらもまどかは答えた。

まどか「ここなんですけど。」

問題には 関数f(x)=X3-6X2+9X+2の導関数f´(X)を求めよと書いてある。

勉強には無縁そうなその金髪頭でその男が瞬時に答えた。


恭二「f´(X)=3X2-12X+9だな」

まどかは驚愕を覚える。まるでバイクでも乗りこなしそうなその容姿から瞬時に答えが出た。

なんなんだこの人は。

恭二「これは微積分の基本だな。懐かしいな高校時代を思い出すぜ」

恭二は笑みを浮かべながらそっぽを向いたしかしその顔は少し寂しげだった。

まどか「すごい。なんでわかるの?

しかもそんな一瞬で、しかもしばらく勉強なんかしてなかったはずでしょ」

恭二「なんか考えるのが好きでね。よく、住所を見てはその4つの数字を見て10にするにはどうしたら良いかを考えたり、息子と歩いて本屋に行ってはセンター試験の問題を立ち読みして、30分で答えを出したりしているんだ。息子がうるせえからな。ちっとも集中して解けやしない」

まどかは何やってんだこのおっさんは、働いてないとこうも社会性がなくなるのかと感じた。

それと同時にこの年齢で考える力が衰えてないそのコンピューターみたいな頭に少し心がときめいた。

恭二「まだわかんねえのあるのか。久しぶりだなぁ。問題を解いて答えを出すこの快感。どんどん問題出してくれよ。」

まどかはその後も金髪のおっさんに次々と数学の問題を出しては、ひたむきに向き合うおじさんに気づけば少し惹かれていた。

そのやり取りの最中恭二がまどかに言う。

恭二「ああ。なんか結菜が言ってたな。医者になりたいんだって。このレベルならまだまだだな。

よし、俺が解いてた問題集貸してやるからこれをまず一冊解いてみろよ。俺の部屋行こう。2階にあるから」

金髪のおっさんが18歳女子を部屋に誘っている。やはりこの男にはデリカシーがないらしい。

少し警戒心を感じながらも、まどかは2階に上がった。

恭二「ほい。青チャート。数学の基本だな。まずはここからかな。これをとりあえずここでやっててね。おっと夕食の買い出しだな。近くのスーパー行くから、ここで解いてていいよ。じゃあ。俺行ってくるわ。」

今日初対面の人を家に一人にして平気らしいこの人には警戒心もないのかとおどろくのもつかの間急にその男は消えた。

まどかは、恭二の机の椅子に座り、問題を解く、その時に、本棚をみる。

そこには昔から今までのラブコメ漫画がずらりと会った。ツンデレ系、優しいお姉さん系、クールで冷たく見えるミステリアス系いろいろなものがそろっていて戸惑い。つぶやく

まどか「何この人?ラブコメばっか読んでんのね。」

恭二はラブコメマニアだ。小学生の頃のツンデレ系のお姉さん系のアニメを見て心をときめかせて以来どっぷりラブコメにはまっている。それからというものラブコメ漫画を読み漁り始めた。床には最新作の雑誌もころがっている。現在もリアルタイムで追っているらしい。

まどか「筋金が入っているわね。・・・・」

それを少し読んでみる。少しの背徳感があった。

まどか「基本的にツンデレ系の年上お姉さんが好きなのね。結菜さんと結婚した理由がよくわかるわ。」

その後、ベッドの下を窓から見ると驚愕な物を目にする。

まどか「なにこのDVDは?へ?もはやラブコメ超えてるじゃない。このスマホ時代にDVDとはなんとアナログな。」まどかはそれを片付ける。そんなとき恭二は帰ってきた。

恭二「ただいまー。っておいおい!!やめろ!!それはいじるな!!ってか1冊まだ解き終わらせられねえのかおせえな。」

まどか「うるさいわね。この分量が一日で終わるわけないしょ。

ってか部屋片づけたほうがいいんじゃない。」

恭二「うるせえな」

そんな会話と同時に結菜が返ってきた。


結菜「ただいまー。ってまどかちゃんじゃん。来てたんだ。」

まどか「おかえりなさい。仕事遅かったですね。大変だったんですか?」

結菜「今日は入院患者さんがたくさんいたから大変だった。しかも退勤直前に医者が「この患者さん今日で退院するから」っていうから残業になっちゃったのよ。」

まどか「相変わらず大変ですね。患者さん優先だから」

結菜「ほんとよ」

すると恭二が2階から降りてきた。

恭二「おお。おかえり。」

結菜「ただいま。結菜ちゃんにちゃんと勉強教えた?っていうか変なことしなかった。」

恭二「するかよ。

ふっ。そんなことよりも数学を解いて問題の答えを解いた瞬間のほうが最高の快感なのさ」

まどかと結菜はよくわからない宇宙語を話しているおっさんにあきれるばかりだった。

恭二「おっと。連を保育園に迎えに行かないと。じゃあな。2人で待っててそのあと一緒に

ご飯も食べるか?」

まどかは悩むが、今日は家に帰っても両親が仕事が遅くていない。

このまま結菜さんといたほうが楽しいので食事後に家に帰ることにした。

まどか「うん。食べていきます。」

恭二「わかった。じゃあ。お迎え行くからそしたら3人でご飯食べようぜ。」

そういうと恭二は出ていき、保育園に向かった。


その後、恭二は連を連れて家ってきた。家に帰り、連はよくわからないお姉さんに目を丸くして訪ねる。

蓮「誰この娘?」

結菜「私の親戚の娘よ」

まどか「まどかっていうの。お名前は?いくつ?」


連は少しもじもじする。連は名前を答えない。

親指をしゃぶりもじもじし初対面が苦手なので結菜の足の下に隠れるのが精いっぱいだった。


結菜「ああ。ごめんね。人見知りだから。びっくりしちゃってるみたいね。

まぁだんだんと慣れていけばよいよね。」

まどかは優しい笑顔で連君を見つめていた。少し連の顔が赤くなっていた。連も男子らしい。

恭二「おうごはんだぞ。」


恭二はご飯を作って出した。まどかはそれを見つめて衝撃を受ける。

まどか「なにこれ?鶏のから揚げ、焼き鳥、鶏肉のソテーでご飯は?」

恭二「ねえよ。そんなん。鶏肉は体にいいんだぜ。これだけで十分だ」

まどかは衝撃を受ける。この家の献立は壊滅的だ。

結菜さんに同情しながらご飯を食べたまどかだった。

初めて上がった家の夕食でこんなご飯は喉を通らないな。

するとそんなご飯を食べながら連は口を開いた。


連「トーマスランドいきたーい」

夕食を食べ終え開口一番で結菜は言った。

結菜「ねぇ。日帰りでトーマスランド行こうよ。3月20日休みなんだよね私。」

私はまたかと頭を抱えた。

恭二「は?いきなりなんだ!!いけるわけねえだろ!!」

恭二はカレンダーを見る妻(結菜)は看護師で土日関係ないシフト制勤務。

恭二「しかも次の日仕事じゃねえか。車運転して横浜から静岡の富士急ハイランドまで行って

車で帰ってきて翌日仕事をするつもりなのかよ。

横浜と静岡の距離感頭の中ではどうなっているんだ!!

ヘリコプターでも使う気か!!次の日仕事だし少しは考えろよ。」


結菜「いいじゃん。いってみようよ。」

まだ押すのか。結菜の行動力には舌を巻く。そんな中。まどかが間に入った。

まどか「蓮君のこと考えたら近くのホテルで一泊したほうがいいんじゃないですか?

それに寒いから。今は。4月くらいがいいと思いますよ。」

まどかは優しく結菜に話してくれる。人の気持ちがわからない恭二とは大違いだ。


結菜は「......え?ほんと4月がいいの?」結菜はあっさり受け入れた。

結菜「確かに暖かくなってくるしね。じゃあ4月ぐらいに富士急近くのホテル泊まっていこうか。」

恭二「(いつもなら地獄の大喧嘩になるのにな。まどかはありがたい存在だ)」

なんとすんなり納得した。

恭二「じゃあ。暖かくなってきた4月にでも行こうか。」

結菜「そうねぇー。」

蓮「わーい。」

喧嘩もなく、一日が過ぎた。まどかの存在はありがたいな。恭二の中でまどかの存在のありがたさを感じた一幕だった。


まどか「ごちそうさまでしたー。」

結菜「わざわざありがとね。気を付けて帰ってね。」

蓮「おねえちゃん。ばいばーい。」


まどかはドアを開け家を出た。恭二おじさんの普通のなさにかき乱されたけど、

結菜さんのやさしさと元気さに家にいるのとは違う温かいものを感じた一日だった。


寝る前に夕食時のことが頭をよぎった。

恭二「俺、いままでこんなに結菜と穏やかに会話できたこと、あったか。」

「こんな風に家族と話せてるだけで幸せだったんだな.....」

「ありがとう・・・・」

そう思いながらいつの間にか眠りについた。


その時・・・恭二の中で・・・・・まどかが少し特別な感情をもった存在になっていた・・・・






「めんどくさいから。婚姻届け出しました。」

ー話題の爆笑・愛情コメディ『金髪主夫』開幕。


恭二「まどか。もう婚姻届け出してきたわ。」

まどか「へ?どゆこと」

恭二「だって展開的に君の脳内にPEAが放出されてきている。それは俺も同じ。

で。俺のバイタルサインは 血圧150/80 脈拍80結構高い。俺は効率が悪いのは苦手だ。

これからの展開に待っているのはどうせまどかと恭二の恋愛だ。

だからもう出した。めんどくさいから」

まどか「はああああああああああっ!!」

結菜「え?ふざけんな!!私との関係どうなるのよ!!

連のお母さんも二人になっちゃうでしょ。この宇宙人は何考えてんだバカ!!」

恭二「大丈夫。私が議員に立候補して、2次元の人との婚姻関係を結ぶことの合法化と3次元は重婚を可能にさせるからこの関係性は続けられる!!。

金髪に不可能はない!!このまま行くっていてえ!!」

まどか&結菜「いい加減にしろバカ!!」

まどか「変な金髪が宇宙語を話していますが、この物語はまだまだ続きます。

これからも『俺は熱血ラブコメマニアのただの金髪専業主夫。』

よろしくお願いします。私まだまだ頑張りますよー。」

蓮「パパー。みんなこの作品『金髪主夫』って呼んでるって保育園の先生言ってた。」

恭二「そうか。悪くないな。パパのトレードマークは金髪だ!!」

まどか・恭二・蓮・結菜「よろしくお願いします。」




皆さんこんにちは。

私は恭二と同じく、男で専業主夫で4歳の息子と妻とにぎやかで幸せな毎日を送っています。そんな日常の中で感じる「家族への愛情」や「ちょっとしたドタバタ」物語に込めました。

もし「わかるー」って感じる人がいたら気軽にブックマークしてくれたらありがたいです。

まぁ恭二は「宇宙人?」『金髪ってなんだよ?」「働けよ!!」つて突っ込みたくなる気持ちもわかります。そんなバカで熱い恭二の物語が、少しでも笑いや元気を届けられたら幸いです。

まだまだつたない文章の処女作ですが、最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。

これからも

鏡恭二作『まどかの憂鬱と金髪専業主夫一家のおかしな毎日』

ーーー通称『まどかの憂鬱』をよろしくお願いします。



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