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恋愛初心者の恋の行方  作者: あお
幼少期~学園前~
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6 さて!始めましょう!







「よし!今日から魔法の特訓をしましょう!」


「うん!しましょう!!」


危ないからと家を出て、すこしひらけた場所に移動する間、お母さんが色々と教えてくれる。


「サラちゃんに質問でーす!お父さんの髪の毛は何色?」


「黄色!」


「じゃあお母さんは?」


「緑!」


「じゃあサラは?」


「水色!」


「大正解!!!じゃあなんで髪の色について質問したのかも教えましょう!!」


「はーい!」


お母さんが一つ軽く咳払いをした。


「魔法にはね、二パターン存在するの。

洗濯とか掃除とか、戦闘なら防御魔法とかを全部まとめて支援魔法というの。

支援魔法は全ての人が平等に使える魔法なのよ」


「じゃあサラもお母さんみたいに、お洋服ぐるぐるできるの?」


「ええ、勿論出来るわ。

それとは別に一人ひとりが持つ属性魔法というものがあるのよ」


「ぞくせいまほう?」


「お父さんは黄色で、雷の魔法。お母さんは緑で風の魔法。

その他にも赤は火の魔法で茶色は土の魔法」


「サラは?」


「サラは水色って言ったけれど、正確には”青”で、水の魔法よ。つまりサラは水の魔法が使えるの。

……お父さんやお母さんと一緒じゃなくて悲しい?」


そう尋ねられて、少し考えた後私は首を横に振った。


「ううん!いろんな魔法があったほうがお得な感じするから!」


「ふふ。そうね。…じゃあ着いたから始めましょうか!」


「はーい!」


手を上げて元気よく返事をする私にお母さんはしゃがみ、顔の前に人差し指を立てる。

私はこてりと首を傾げた。


「まず初めに魔法の練習は外でやること。これは絶対に守ってね」


「なんで?」


「今のサラは魔力の制御が出来ないからよ。制御がうまくいかない魔法は暴走を起こすかもしれないから凄く危険なの。

少なくとも…サラが大きくなるまでは一人で練習しないこと、お母さんと外でやることが絶対よ」


「わかった!」


「じゃあ、手を出して」


お母さんに言われ、私は両手の手のひらを上にして差し出した。

小さな私の手を大きなお母さんの手が包み込む。


「…わぁ…」


暖かいお母さんの手から、体温とは違う、でも温もりのあるなにかが手をつたって流れ込む。


「…お母さんの魔力を感じる?」


「これがまりょく?」


パッと手を放されたら、そのまま抜けていくかのように魔力が私の体の中から出ていく気がした。

なんだか寂しく感じる。


「魔法を使うためにはまずは自分の魔力を認識できなければいけないの。

それが出来ないと魔法は使えないわ」


お母さんにそういわれた私は、だから魔法を使ってる大人たちの真似をしても魔法を使えなかったのかと知った。

手をぐーぱーぐーぱーさせながら、私はお母さんの魔力を思い出す。


「………やってみる」


目を閉じて自分の中にある、温かいものを探す。


魔力…


魔力…


あったかいもの…


お母さんから入ってきたような……


………


……


「…………だめ…わかんないよ」


目を閉じてじっとしていただけだけど、お母さんの魔力のような温かいものがなにも感じられず私はすぐにねを上げた。


「ふふ。じゃあ……イメージをしてみて。

魔法もね、イメージが一番大事なの」


「イメージ…?」


「そう、目を閉じて」


お母さんの言うとおりに、私はもう一度目を閉じた。

手をそっと繋がれ、先程感じたお母さんの魔力が私の中に流れ込む。


「お母さんは風属性っていうのはいったわよね。

魔力自体は暖かく感じられるけれど、属性ごとにちゃんと個性があるのよ。

……よくお母さんの魔力を感じてみて」


「………うん」


流れ込んだお母さんの魔力を、私は観察するようにしっかりと意識を集中させる。


(あったかい……。ここちいい……)


でもこれは魔力ではなくて、私の体が感じている感覚だ。

もっと…もっとちゃんとお母さんの魔力を感じなきゃ…


そして、あることに気付いた。


「あれ…?」


「なに?言ってみて?」


「…なんとなくだけど……、回ってる気がする…」


実際に回っているわけではない。

だが、お母さんの魔力を集中して観察すると、魔力自体が風のように、自由であるという意思をもっているような気がしたのだ。


「そう、それがお母さんの魔力の属性よ。

じゃあ、ここからはサラ自身の魔力を感じる番。

さぁ、目を閉じて。サラの、自分の水属性の魔力を感じてみて」


そして私は再び目を閉じて、自分に集中した。


イメージするのは水。


冷たくて、でも暖かい。


穏やかで、時には荒々しくもある。


手を入れると波が立ち、そしてすくいあげると宝石のようにキラキラと輝く。


そんな綺麗な光景にもっともっと水しぶきをあげたくなるのを思い出した。


水の心地よい音、激しく流れる音、次々と水をイメージしていく。


そんな時、私の中になにかを感じた。


お母さんの魔力を先に感じていた私はその瞬間察する。


これが自分の魔力だと。



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