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恋愛初心者の恋の行方  作者: あお
学園編~四学年~
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12.初エリア!





「さて!今日はどんな魔物と戦うのかなぁ~!」


でっかいクモの虫系から始まって、ヘビやトカゲの爬虫類、そしてこの間はアウルやヴァルチャーなどの鳥系の魔物が課題だった。

先生が私達を移動させた転移先はエリアCだったから、今回からきっと動物系なのだろうとあたりを付ける。

だってここエリアCには動物系の魔物が多く割り当てられているのだから。


「サラ、張り切っているのはアナタだけだと思うわ…」


朝から疲れているのか、げっそりとしているレロサーナに私は首を傾げた。


「え?そんなことないよ。よく見てみて。

あっちにいるシェイリンとか、サーとかマルコとか皆気合はいってるじゃない」


指をさして、いつもと変わらない男性たちを示してあげるとレロサーナは頭が痛いのか手を当てる。


「皆男子でしょ!女子をみてみなさい!獣系の魔物と戦うって聞いて喜んでるのアナタだけよ!」


レロサーナの言葉に女子を見渡してみると、一様に不安を抱いている表情を浮かべている者が多く見える。


「どうしたんだろう…?」


「どうしたんだろう?じゃなくてね……、確かに入学当初から身近に魔物の存在を感じてきたから多少は耐性がついているけれども、それでも獣系の魔物は昆虫系等に比べたら強さも比較できるものじゃないのよ。それにエリアCは無法地帯ともいわれているわ」


「レロサーナ、詳しいね」


「当然!お兄様がこの学園に通っていたからね。ある程度の情報は貰っているの」


へー、と感嘆しながら思わずパチパチと手を合わせると、レロサーナが一度話を止めて先生の元に向かう。

課題となる魔物を決める為だ。


無法地帯って言葉がすごく気になるけど、レロサーナが戻ると今度は私が先生の元に向かう。

恒例となった課題決めの箱から適当に一枚の紙をとり、中を開く。

皆が紙をひいている間に、チームメイトとなる人が空中に表示されるから、私は課題を確認した後、同じチームとなる人の名前を確認した。


「サラ。一緒になれて嬉しいわ」


「私もだよ!エステル!」


「私は違うチームなのね…」


がっくりと肩を落とすレロサーナに、苦笑しつつ励ますと残るもう一人のメンバーがやってくる。

ちなみにもう一人のメンバーはマルコだ。

レロサーナじゃないことが残念だけど、これはこれで楽しみである。

だって、マルコはエステルにホの字だから。

本人は全然アプローチしてないから全く気付かれてないけど、今回同じチームになったのだからこの機会に進展が少しでもあればいいなと思っている。


「エステルとマルコの課題はなに?私はアルミラージだったよ」


「あ、私も同じよ」


なんと!今まで課題が被ったことがないのに!と驚いているとマルコは今課題を見たのか、紙を見ながら教えてくれた。


「俺はタビーだった」


「へ~、見たことないけど猫の魔物、かな…?」


「確か胴体が縞模様で鋭い爪を持っている魔物、だった気がするわ」


知らない魔物の特徴をエステルが教えてくれると、マルコはなんだか呆れ顔をしながらため息をつく。


「お前…鍛錬よりも魔物の勉強した方がいいんじゃないか?」


その言葉がぐさりと胸を突き刺した。

けど事実。

確かに魔物の知識も必要だ。

私が冒険者になった時魔物の特徴を知らなければ冒険者としてやっていけないだろう。

四年になっても勉強するべきことが多くあることに改めて気付かされた。


「…くっ………今度から魔物のことも勉強するわ」


四学年から授業の殆どが実戦になったし、手間取っていた礼儀作法の授業もなくなったから、勉強する時間は沢山ある筈。

今までトレーニング以外の時間をどうしてたかというと、新しい魔法を覚えたいと、図書室から借りた本を自室で読んでいた。

だからその時間を魔物について調べることにあてればいいのだ。


「サラ、私が知っていることなら協力できるから、いつでも頼ってね」


そんな優しい言葉をかけてくれるエステルに感動した時、先生が私達生徒をエリアの中へと転移させる。



エリアCでは今までのエリアAやBとは違い、手入れされている森、といった印象だ。

エリアA程草木が伸びまくっていない為、とても歩きやすい感想を抱く。

それに木々の隙間から日差しが差し込んでいるのもポイントが高い。

今まではうっそうとしたような、あまり気分が上がらないような場所だったからだ。


(レロサーナが始まる前に、エリアCは無法地帯とか言ってたけれど、どこが無法地帯なんだろう…?)


こんなに手入れされているのに、と疑問を持ちながら周りを見渡していると少しだけ魔力を感じる。


「こっちから探してもいいか?」


マルコが指を差した方向は一番近くに魔力反応がある場所。

転移で移動された早々に探索魔法を展開していたのねと、感心しながらマルコの提案を受け入れる。

エステルも意義はないようで、私達は一番近くの魔力反応がある場所へと向かった。


「ごめん、外れだ」


マルコが咄嗟に謝ったのは、私達の先にワイルドドッグの群れがいたからだ。

ウルフよりは強くない、いうなれば野犬といった魔物だ。

ただ犬なだけにすばしっこさがあるから、動きを封じられなければ危ないかもしれない相手。

ただ、こっちには風属性のマルコがいるし、土属性のエステルがいるからいくらでも足止めできるでしょう。

私も範囲魔法を使えばワイルドドッグの動きを封じられる。


ワイルドドッグがグルルルと威嚇しながら私達の周りを取り囲む。

一匹が飛び掛かると、マルコが前に出て魔法を発動させた。


「<ツアビロン_旋風>」


体全体に旋風を起こされたワイルドドッグは、宙に浮きながらの状態でバタバタと暴れるがマルコの風からは逃げられなかった。

仲間のその姿から怯えたワイルドドッグがじりじりと後退したその時、足元の土が盛り上がる。


「<ソル_土>」


他のワイルドドッグは咄嗟に盛り上がった土から回避する為、ジャンプした瞬間だった。


「<ベント・フォート_強風>」


マルコの魔法で体が地面と木に打ち付けられ、きゃうん!と可愛い鳴き声を漏らしながら一目散に逃げていく。

マルコの風とエステルの土魔法で捕まえていた一部のワイルドドッグ達も解放してあげると、仲間の後を追いかけるようにかけていった。


「凄いね!エステルとマルコのコンビネーション!」


ちなみに私は見ていただけである。

入る隙などなかったし、二人が連携がよかったからだ。


「実はね、前々回の授業の時にチームだったの。

その時に私から提案したのよ」


「へぇ~」とニヤニヤマルコを見上げるとマルコはコホンと咳払いをした後顔を逸らした。

耳が赤いからきっと照れているのだろう。


「マルコやったじゃん」


「~~ッ、それより!早く課題の魔物を探そう!」


「はいはいはいはい」






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