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恋愛初心者の恋の行方  作者: あお
学園編~四学年~
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2.制服の秘密







話し終えた先生は各自にブレスレットを配布する。

ふよふよと浮かぶブレスレットを受け取り、私は言われるままに手首につけた。

隣から訝し気な眼差しがチクチクしてくるが、私は悪くない。

これが普通の反応なはずだ。

だって自分の担任の先生から渡された魔道具なんだから、必要なんだと思うもんでしょう。

レルリラみたいに、刻まれた魔法陣を疑うように凝視する真似はよくないと思う。


「先生、このブレスレットはなんですの?」


ブレスレットを受け取った一人の生徒が尋ねると、鼻高々に先生は答える。


「まだ渡すには早かったかもしれないが、そのブレスレットには転移機能が組み込まれているんだ。

転移先は学園に設定されているが、使用回数は一度きりだ。

危険が迫った時だけに使ってくれ」


先生はそういってまだブレスレットを装着していない生徒につけるように促した。

へぇこれが転移魔法陣か。と私はブレスレットの魔法陣を凝視する。

小さすぎて細部までみるのが難しいが、私も転移魔法を使いたい気持ちがあるので、あとでブレスレットに刻まれている魔法陣をよく観察してみようと思った。


「わかりましたわ」


質問した生徒は感心するように呟き、手首に嵌めたブレスレットを眺めた。

うんうん。

憧れだよね。転移魔法は。


「次はチームだな。最初は仲がいい奴同士で組んでいいぞ。

次からは先生の方で勝手に決めるから」


先生の言葉に私は目を輝かせた。

好きに組んでいいとなれば、私はレロサーナとエステルと組もうとちらりと二人の方に目線を向けると、同じことを考えていたのかエステルもレロサーナも私を見てニコリと微笑む。

ちなみに隣からも視線を感じるが、チーム戦となれば私はレルリラと組みたくない為絶対視線を合わせたりしない。

だってレルリラの独壇場みたいな感じになるのは目に見えているもの。

もしくはトレーニング。

絶対横を向いて目を合わせてたまるかって感じ。


「あと先生が常々思っていたことだが、無事に進級した今だから言うぞ。

なんで女子生徒は制服を着ていないんだ?」


先生が口にした言葉に私を除く女子たちが顔を見合わせる。

私は再び目を輝かせた。

先生よく言った!!!

レロサーナもエステルもなんでか着てくれないんだもの!

仲良くなってから『なんで制服着ないの?』と気軽に聞けるようにはなったけど、家柄が高位になればなるほど『嫌ですわ!』『サラは私が残り物になってもいいのです?!』と意味不明の反応ばかりが返ってくる。

剣術とか対戦試合とか明らかに体を動かす授業では運動服に着替えてはいるけれど、それでも制服を着ようとはしてこなかった。

着ない理由にダサいとか言ってないから、制服のデザインが問題ではないと思うし、私もそんなこと思ってないから本当に不思議。


「……何故ですの?」


そして絞り出す声でそう尋ねると、先生はあっさりとした様子で答える。


「制服もローブも防御魔法が組み込まれているアイテムだからだよ」


「「「「え?」」」」


目が点になる生徒たちに、先生は首を傾げた。

本当に不思議そうな表情を浮かべているから、私達が制服とローブに防御魔法が施されていることを知っていると思っていたらしい。

ちらりとレルリラをみると、コクリと頷かれたので、コイツは知っていたみたいだ。

もしかして一部の人は知っていたのかもしれないね。

でも女子は皆先生の発言に驚き、信じられないと口をあんぐりと開く人もいたので知らなかったようだ。


「あれ?知らなかったか?

この学園に通う以上危険が伴うことを想定しているため、生徒の身の安全を守るために魔法が組み込まれているんだよ。

身近なものでいうと檻で至る所に放置されている魔物だな。

それでも今まで脅威な場面ってのはなかったから特に何も言ってこなかったが、これから各自幻影とはいえ魔物との戦闘を考慮すると、先生は魔法がかかっている制服とローブを身にまとって_」


「「「「聞いてません(わ)!!!!!」」」」


先生の話途中に席を立ちすぐさま教室を出ていく私を除く女生徒たちに、私と先生、そして男子生徒は無言でその後ろ姿を見送った。

きっと急いで寮へと戻っているのだろう。

いつ戻ってくるかわからないけれど、制服よりも着るのが難しそうで且つ重そうなドレスを身にまとって毎日登校してきているのだから、きっとすぐにやってくると思う。


「………とりあえず、外に出て待つか」


その先生の言葉に頷いて、私達はぞろぞろと教室を出る。

いつもなら先生が転移魔法で移動させているけど、女子たちの着替え時間も考えて今回は魔法を使わずに移動するらしい。

後になって聞いた話だが、頑なに制服を着なかった理由として女性の学園入学は女をアピールする場ともいわれているということだった。

先生も「いつからそういう思考に変わったんだ…」と呆れながら口にしていたから、元々は違うのだろう。 


ちなみに制服の防御魔法は、着用している人物の生命の危機的な場合のみ発動するらしい。

頻繁に発動するような魔法を組み込んでしまうと、授業にならないからだとか。

あとで皆に教えてあげよう。

先生の話途中で出ていってしまったからね。




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