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恋愛初心者の恋の行方  作者: あお
学園編~三学年~
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2 三学年②







レルリラがすぐにできなかった姿を見た私は、レルリラよりも先にコツを覚え出来るようになったらその時は、私がレルリラに教えてあげようと考えた。

初めて私がレルリラに教えてあげることが出来ると、意気揚々として取り組み始めたその時、アイツはすぐにコツを掴んだようで、まだ躓いていた私を見てアイツはいった。


『お前、料理は得意だろ』


『え?得意っていうより人並みには出来るだけ…てかどうして急に……』


『少量の油を鉄板に行き届けさせるにはどうしている?』


『そりゃあフライパンを持って偏らせながら油を伸ばしていく……』


『それをイメージすればいい。使う分だけの魔力を薄く広めるようなイメージだ』


勝手に教えていくレルリラのスタイルは突拍子もないところもあるけど、私はレルリラの言葉で閃くことが出来た。

そうか。探知魔法に使うだけの魔力を予め決めて、それだけを使えばいいのかと。

そしてその魔力を伸ばせば今よりももっと薄く広げられるようになる。


そんな感じでレルリラのお陰で悟れたことを皆にも伝えて、私達はなんとか魔力を薄く広げられるようにすることが出来たのだ。


そんなこんなで、探知魔法を鍛え始めて二週間目の日のことだった。

この日の先生はいつものように私達を練習場にすぐに転移させることなく、ごそごそと懐から何かを取り出して見せた。

掲げられたソレは宝石のように見える。とはいっても私にはガラスと宝石の区別は出来ないからそう思うだけだけど。


「これは魔法研究所で作り出された人工石だ。

人工石は宝石までとはいかないが、それでも魔力を溜めておきやすい性質を持っているんだ」


先生が話している最中に、ふよふよと浮いた人工石はどこかに消えた。

本当に、こう…パッと目の前から消えたのだ。

私は思わずキョロキョロと消えた筈の人工石を探す。


「というわけで、お前たちには視界を塞いだ状態探してもらうぞ」


「「え!」」


「なーに、ただ練習場を視界を遮った状態で歩くだけだ。

勿論、探知魔法を使って人工石を探してもらうがな!」


わはははは!と笑う先生が指を鳴らし、いつものように私達を転移させる。

私達はこの二週間ずっと練習してきた練習場に着いた瞬間、強制的に目隠しをさせられた。

そのことに皆が反発するが先生は笑って目隠しを解こうともしない。


(はぁ…)


まぁやるしかないか。

先生がこんな感じになっているのは、生徒全員が出来ているのか確認する為だということを知っている。

テストという堅苦しい言葉を使わないから緊張感を抱かないだけで、今回なら生徒全員が自分の力だけで人工石を目を使わず見つけ出せるまで行うだろう。

勿論出来なければ特別授業がその人には設けられることになるが。


(とはいえ、魔力を広げるだけは出来るようになったけど、探知魔法としては今一つなのよね)


それでも私は一つ息を吐き出して周囲に魔力を伸ばした。

いつも目で見て、自分の魔力がどれくらい伸びているのか確認していたが、今回はそれができない。

本当に感覚でやるしかないのだ。


だけど視界が遮られているからかいつもよりも敏感に感じる。

いつもは気にならない他人の魔力に自分の魔力がぶつかる感覚。

本当にぶつかっているわけではないだろうけど、そこになにかあるよという違和感のようなものが広げた魔力から伝わってくるのだ。


そんな事を考えていると、ふわりと感じられる魔力。


(…あ、レルリラの魔力だ…)


かなり薄くなっていたが、それでもレルリラの魔力だってことがわかる。

魔力の感じを追ってみると、真っ直ぐ動いているのがわかるから人工石の元に向かっているのか、それとも場所を変えようとしているのか迄はわからないけど、それでも誰よりも先に行動していることがわかった。


というかレルリラも今目隠しして人工石を探しているって事よね?

あいつ普通に見た目いいから、目隠しとかヤバいんじゃない?

去年までは全然近寄りがたいところがあったといっても、それでも見た目は可愛い系男子的な感じだったけど、背が急に伸び始めた今じゃ中性的なキレイ系の美少年って感じで、そんな少年が目隠しなんて、見る人が見たら変な扉を開けてしまうかもしれない。

まぁ先生は大丈夫だろうけど。


私はそんなことを考えながら人工石を探すことに意識を向けた。

そしてもっと魔力を広げたその時、やっと魔法陣がないこの魔力を広げる作業が探知魔法といわれるのかを知る。


植物に宿る魔力、小さな虫たちの魔力が私の魔力に覆われて、ある程度の形が視野を通さなくてもわかるような感覚があるのだ。

そしてその中にはクラスメイト達の魔力も含まれている。


(目で見ていた時には気づかなかった)


先生が目隠しを問答無用で私達にした意味がようやくわかったのだ。

ただ探知魔法として大切な魔力を広げることが出来るようになったのかの確認だけでなく、直接的に探知魔法がどのようなものなのかを知ってほしかったのだろう。


それに気付いた私は口端を上げてニヤリと笑う。


更に魔力を広げて人工石を探した。

そしてあっという間に見つけることが出来た。


人工石を見つけた私は先生に手渡すと「もう少し薄くした方がいいな。今のままだと魔力に敏感な者にはすぐに気付かれる」というアドバイスを先生からいただく。

その言葉を素直に受け止め私は目隠しを取って先生に渡した。


そうして振り返ると先程の私のように探知魔法について気付いた者や、いまだに直立した姿勢で固まっている者と様々だ。

更に視線を動かすと、人工石を見つけ終えて目隠しを取ったレルリラがそこにいた。

私はレルリラに駆け寄った。


探知魔法が出来るようになったことが、思ったよりも嬉しかったのだ。

これを鍛えれば魔力コントロールも劇的に上達するし、魔法の発動範囲だってかなり広がるだろう。

しかも少量の魔力を伸ばすことで探知が出来るということは、常に展開したままでも魔力消費が少ない。

ということは戦闘の場面にも凄くメリットしかないことは考えなくてもわかるだろう。

凄腕冒険者を目指す私にとって、これほど素晴らしい魔法に出会え、習得できたことが嬉しかったのだ。


そして駆け寄った私に気付いたレルリラは、よくやったと言わんばかりに微笑んだ。


そのレルリラの表情に一瞬だけ不整脈が起きる。

けれど私はその不整脈の原因を追究する前に、人工石を見つけ出したキアやサー達に思考を妨害されたのだった。







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