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恋愛初心者の恋の行方  作者: あお
学園編~二学年~
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17 閑話_マルコから見たサラとレルリラ②






話は大分それたが、あれから毎日レルリラによるトレーニングが続けられたのだろう。

メキメキと力を付けて他の生徒を引き離していく二人にクラスは驚愕した。


そして次第に二人は俺たちとは違うのだと思い始め、今までそんなに話している姿を目撃したことのない生徒達がサラに対して教えを乞うようになった。

ちなみに何故レルリラではないのかというと、言葉数が少ないからだ。

実際に貴族は貴族の繋がりを大事にしたいらしいから、サラではなくレルリラに教えてもらいたい奴らもいたかもしれない。

だけどレルリラはサラになら流暢に言葉を重ねるのに、他の生徒となると単語しか話さなくなる。

それもあってサラに教わる貴族連中が増えて、サラと友達でいる俺たちとも話すようになった。

ある意味レルリラのお陰で高位貴族たちとも俺たちはうまくやっていたのである。


そしてレルリラは何故他の生徒には単語なのかと不思議に思っていたが、レルリラをみていればわかる。


こいつサラのこと好きなんだ、と。


いつも視界にサラを入れて、親の後をついて歩く鳥のようにサラの近くにいる。

勿論四六時中ではないが。


そんなレルリラがサラの提案を受け入れないわけがないのだ。


「じゃあ今日の放課後からやるか」


地獄への招待状でも受け取ったかのような気持ちに陥る。

ニヤニヤと薄ら笑いを浮かべるサラに殺意を芽生えた。


「君も一度は経験した方がいいよ。マルコ君」


ポンと肩に乗せられたサラの手をレルリラがじっと見つめる。

せめて地獄のメニューがきついものにならないようにと咄嗟にサラの手を振り払い、俺はトボトボと自分の席に向かう。


話しかけなければよかった。と後悔した。




■■■



そして時間は過ぎ、放課後。


体力作りメニューは朝にやったからか、魔法の特訓から始まった。

風属性の俺は、同じ風属性を持つレルリラにコツを教えてもらいながら魔法を展開させる。


確かにサラの言った通り、これはやった方がいいと思わせられた。


先生の教え方もわかりやすいとはいえ、集団授業なのだ。

一人に張り付いて教えるわけではないから、習得レベルにバラツキが生まれる。


だが、そう思ったのは最初だけだ。

休むことなく魔法発動を強要され、魔力不足に足元をふらつかせると与えられた休憩は数分のみ。

鬼畜だ。鬼畜すぎる。

まだ魔力回復してないのに次を求めるだなんて、コイツは鬼か、魔物なのかと思ってしまったじゃないか。


そして、そんなメニューを最後までついていくサラも化け物じみていた。

こいつらの魔力量は一体どうなっているんだと。


空もどっぷりと闇に染まり、「お、お腹すいた…」と口にするサラの言葉にやっと終わりを迎えることが出来た。

ふらふら状態だが自分の足で寮に帰るサラと、レルリラに担がれて寮に帰ってきた俺。


「サラ、帰ってきたのね」


部屋着なのか、学園に着てきているドレスよりは煌びやかさを抑えているワンピースのような服を着て、にこやかな笑みを浮かべながらエステル・シメオネはサラを出迎えた。


「エステル~、疲れた~」


「そんなサラの為にクッキーを焼いてみたの」


「え!ホント!?嬉しい!」


キャッキャッと、まだそんな元気が残っているのかと思いつつも、俺はエステルから目が離せなかった。

俺の視線に気付いたのか、こちらに視線を向けるエステルに、俺は素早くレルリラの背に顔を隠す。


「あ、…今日はね、マルコもトレーニングに参加したんだよ」


(言うなよ!!)


それでなくてもレルリラに背負われているから気付かれなくて顔を隠したのに!と恥ずかしさで燃えるように顔が熱くなった。


「そうなのね。マルコさん、お疲れ様でした」


背負われている俺を面白がって笑うこともなく、エステルは微笑みいたわりの言葉を告げるだけだった。

恥ずかしさで熱かった顔が、今度は別の意味で熱が込み上げそうだと思いながら、なんとか「ありがとう」と一言だけ告げる。


もう二度とレルリラのトレーニングには参加したくないと思っていたが、たまにはいいかもしれないと、ほんの少しだけ思った。









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