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恋愛初心者の恋の行方  作者: あお
学園編~二学年~
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2 治癒魔法







私も皆と同じように植物に手をかざした。

お母さんと一緒にやったことあるっていっても、魔法陣での発動だった為、詠唱魔法での挑戦は今回が初めてなのだ。

それに対象に影響を与えるような魔法はイメージも大事になってくるから、枯れている植物が水を沢山吸って、元気に回復する様子を思い浮かべながら少しずつ詠唱で魔法陣を生み出し、そして魔力を注ぐ。


「<グーリソン_治癒>…」


<グーリソン_治癒><グーリソン_治癒>と何度も口にしているが、全く変わらない植物に私は魔法陣に刻んでいる魔力量を増やした。

そして注ぐ魔力を少しずつ増やしていくと、枯れていた植物が徐々に瑞々しくなり、全体的に光を放つ。

光を放つといっても、目が潰れてしまうほどの眩しいものではない。

私の魔力をおびた植物が光っているように見えるだけである。


私は反応が出た花に魔力量を調節しつつ、魔力を流し続けた。

そして花が咲き、遂に元気を取り戻す。


「成功…!」


ふぅと安堵の息をついた後はライバルの確認である。

毎度のごとく目の前に座っているレルリラを覗くと、既に手は膝の上で、レルリラの前には元気な花が嬉しそうにしていた。


(……くそぉ~…)


コイツには苦手科目というのは存在しないのだろうか。

私はそう思ったが、周りを見渡してみると結構な人数の生徒たちが終えているから、そこまで難しくないのも確かだった。

まだできない生徒は、少なすぎる魔力量を変えずに行っているか、もしくは魔力調整が不得意な子だけ。


そうして次々と課題として出されていく植物たちを元気にしていって、やっと授業が終わった。


「はぁー---…」


思わず背もたれに首を乗せて、天井を見上げた。

姿勢が悪いって?

大丈夫。私のように魔力の使い過ぎでダウンしている人が多いから、私の体勢に苦言を言う人なんていない。

ほらみて、ひらひらと高そうなドレスを着ている人だって、机に伏せてしまっている。


それにしても私は自分で比較的魔力量が多い方だと思っていたけど、あんまり皆と変わらないと今回のことで知った。

ちなみにレルリラは私の前の席だから、顔色はわからないけれど、それでも伏せることなく座っているからこれぐらいではバテないくら魔力量が多いのだろう。

……神はこいつに与えすぎなんじゃないか?


まぁ二十代前半くらいまでなら魔力量も増えやすいと聞くから、私も魔力量を増やす為に頑張ろうと思う。

確か魔力量を増やすためには限界まで魔力を使えば増えやすいと聞いたことがあるから、今晩からやってみようかな。


私は次の授業の準備の為に移動しようと席を立ち、レロサーナたちの元に向かおうとしたところで、ガチャンという何かが壊れてしまったような音が聞こえた。

教室内を確認するとどうやら先程迄の治癒魔法で使った鉢を落として割ってしまったらしい。

貴族の子供だからか片付けもしたことがないのだろうか、その場から動かない。


そんな様子を見た私は、小さく息を吐いてその子の元に向かった。


「大丈夫?怪我ない?」


「え、ええ、平気ですわ」


「じゃあここは私が片付けるから、あなたは移動しても大丈夫よ」


「な、何故…?」


私が片づけを申し出たことに驚いたのか、この子は目をぱちぱちとさせて困惑気味に私をみつめている。

貴族の子だからてっきり、「平民が片付けて当然よ!」とかいわれると思っていただけに、私もちょっと驚いた。

どうやらかなりの偏見でみてしまっていたらしい。


(そうだよね、レロサーナやエステルだって普通に私に接してくれるのに……)


誤った認識でその子の本質をちゃんとみなかったことに申し訳なく思う。


「…だって結構魔力つかって疲れてるでしょ?手も少し震えてる。しかも次は移動だから、早めに出たほうがいいしね。

私はまだ余裕がある方だから、体調については気にしなくても大丈夫だよ」


そういうと女の子は「ありがとう」とぼそりと呟き、教室から出て行った。

いや、足取り軽いな。

あれなら手伝ってもらってもよかったかもしれない。

と冗談交じりに思ってしまってから、自分が笑っていることに気付いた。


「……普通に話せるじゃん」


なんだなんだーと片付けようと手を伸ばすと、レロサーナとエステル、そしてマルコ達が声をかけてくれた。

治癒魔法の授業で魔力を使い調子が悪く手伝えないという内容だったが、別に気にすることも謝る必要もないのに、とても申し訳なさそうに告げられて思わず笑ってしまった。


私は教室に一人残り割れてしまった鉢を片づける。


(そういえば……)


無機物に対しては魔力をかけすぎたらどうなるんだろう。

もしかしたら直るスピードが違う?


植物に対する治癒魔法は思ったよりも魔力を使い、疲れているにはいるが、一度気になってしまうと好奇心が刺激される。


どうしよう、試してみたい。


「…っいた…」


カケラを集めていると、指を切ってしまい私は小さく声を出す。

深く切ってはいないが、こういった傷は地味に痛いのよね。

とりあえず今は片づけて、早く次の授業で使う教室に向かわなくちゃと思いつつ、やっぱり好奇心を抑えきれなかった私は鉢植えに手をかざした。




そして無機物に関しては植物よりも魔力量の消費がなく、そして一気に魔力を注いでも問題ないことがわかった。




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