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恋愛初心者の恋の行方  作者: あお
冒険者編①
163/253

19 酒は飲んでも飲まれるな② ※視点変更有り






※サラ視点とフロン視点が混在します。




「ねぇ、フロンはサラの魔力を使って魔法を発動しているのよね?

サラをサラの町まで転移させることは出来る?」


エステルの問いに僕は少し考えた後首を振った。

サラの町までの距離と、サラの魔力量を考えるとギリギリ可能ではあるけど、サラの魔力欠乏を考えると難しい。

町から王都まで、スピードを上げるために多くの魔力を使わせてもらった。

その魔力を回復する為に、サラはいつもよりも長い間眠ってしまったのだ。


お酒を飲んでぐでんぐでんになったサラの魔力を底を着くまで使ってしまったら、回復までにどれだけかかるだろう。

流石にそれは出来なかった。


「どうしよう…、転移魔法が無理なら飛ぶしかないけど、長時間支えのない状態の飛行は危ないわよね。紐で縛ったとしても夜間に魔物が出たらと考えると…」


「私達でサラを宿に預けることは出来るけど、サラのご両親に連絡をつけなきゃいけないとなるとそれも難しいわね」


悩む二人をじっと見上げていると、レロサーナが「あ!」と声を上げて個室を出ていく。

エステルは「なんなの?」と首を傾げながら戸惑っている様子だ。


「ごめんなさいね。サラをこんなに酔わせてしまって…。

最初からお酒を飲ませなければよかったわ」


戸惑いながらも僕と目が合うと、エステルは再び謝罪した。


『大丈夫。エステルが悪いわけじゃないって事わかってるよ』


そうはいってもきっとエステルには僕の言葉は伝わっていないだろう。

だけどいいんだ。

こういう時は気持ちが大事だからね。


サラを介抱しながら出ていったレロサーナが戻ってくると、そこには一人の男性が立っていた。


『レロサーナ、誰?この人』


僕がそう言って男性を見上げると、サラと同じくらいいい色の魂を持つ人間ということが一目でわかった。

だからいい人なんだろうと思っても、それでも僕にとっては見知らぬ人だ。

僕の言葉がわからないと知っていても尋ねると、エステルが教えてくれる。


「あの人がレルリラ様よ」


『サラが言っていたいい人だね』


「サラがとてもお世話になっていた人なの。それにサラ以上に強いから、とても頼りになるわ」


『サラより?それは凄いね!』


僕は期待を込めた目で男性、レルリラを見上げる。

レルリラは真っ赤な顔のまま床の上で僕に抱き着いたまま眠っているサラをみて、思いっきり眉をひそめたあと眉間を抑えて、深く、それは深く息を吐きだした。


「わかった。俺が引き受けよう。

お前たちはもう帰れ」


そう指示したレルリラに、レロサーナとエステルは「はい」と頷いた。







「ちょっと待って!じゃあここまで送ってくれたのって!」


話すフロンを遮って尋ねると、フロンは頷いて答える。


『うん、そうだよ。サラが落ちないようにしっかりと抱き抱えて、家まで送ってくれたんだ』


ちなみにレルリラも霊獣と契約していたみたいで、僕は小さくなっていたからサラの魔力は消費していないよ。とフロンは笑顔を浮かべて告げる。


その情報は寧ろ知りたくなかった!

いやレルリラが契約をしていたということじゃなくて、私を抱えていたことのことだ。

想像するだけで顔に熱が込み上げて、熱くなる。


「不覚!まさかこんなことになるなんて!」


『お酒は初めてでしょ。今後は飲まないか、もしくは低い度数の物にするかだね』


または自分の適量を把握するまでは家で。そう提案するフロンに私は頷いた。

飲まない選択肢一択にしたいが、大人なんだから酒を進められるかもしれない。

そうなった場合、自分のアルコール摂取量を把握しておいた方がいいだろう。


………とりあえずワインはだめだ。

一杯、いや、ひと口でアウトだったから。


「…フロン、あのさ…レルリラ、なんか言ってた?」


私は醜態をさらした自分をレルリラがどう思ったのか気になって、小さく口にするとフロンは机の所に移動する。


『特には…、あ、確か机の上にメモを残していたよ』


ベッドから出て、恐る恐る机を見ると確かに小さな紙が4つ折りでおかれていた。

私はそれを手に取り、開いた。


【俺のいないところで酒は飲むな】


「なにこの保護者視点!!!!!」


思わず私は誰もいないのに声を出してツッコんでしまった。

でもそれは羞恥心を隠すためにしていたことはフロンにはバレバレで、後ろを振り返ると微笑まし気に見守られている。


あぁもう!

レルリラと再会する時には、冒険者として立派に成長して、Aランクになった私はもうすぐSランクよ。とか言いたかったのに!!


久しぶりに顔を会わせて_私は会った記憶はないけど_泥酔状態な自分を家に送り届けさせるなんて!!


しかも王都からマーオ町は私がフロンに乗っても数日はかかった。

あの距離をずっと抱かれていたってことよね?


「もう!!!フロン!ギルドいくよ!ギルド!」


こんな醜態を晒して恥ずかしい気持ちを仕事にぶつけようと、仕事用にしなさいとエステルたちに見繕って貰ったローブを手に取った。




流石に何日もの間私を抱えながら移動するわけがないことを、冷静な頭になった私は後で気付いた。





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