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恋愛初心者の恋の行方  作者: あお
学園編~五学年~
132/253

23 卒業試験③





「<ゲル_氷結>!」


そんな状況の中目についたのが、一人の女性だ。

見たことがないからおそらくBクラスの生徒だろう。

といっても、Bクラスとの合同授業はかなり前でしかも一回っきりだったから、私が覚えていなくてもしょうがないと思ってほしい。


その女性はオートマトンを凍らせ動きを封じただけで、次に向かおうとしていた。


「ちょっと待って!」


「な、なによ貴女!」


急に私に引き止められたその女性は戸惑い、邪魔をしないでとばかりに睨みつける。


「ちゃんと壊さないとだめ!」


「え?」


彼女が凍らせたオートマトンに指を指しながらそう言うと、彼女は凍らせた筈のオートマトンに振り返った。

オートマトンは弱々しくもなんとか浮遊しようと頑張っているところだ。


「…放っておいても勝手に倒れるでしょう?いいから邪魔をしないで!」


「先生が説明でいってたでしょ?”壊せ”って!

時間経過で倒れた場合ポイントがもらえてない可能性もあるの!」


「え…!」


その考えはなかったのか彼女は一度俯いたあと、私の手を振り払ってオートマトンにとどめを刺す。

そして別のオートマトンを倒すために駆け出した。


「…本当にサラってお人好しよね」


私達の様子をいつからみていたのかわからないけど、開始と同時に別れたアコと再び出会った私はそう言われる。


「お人好しじゃないけど…、でも他の人に手柄を取られるようなことされてたら、誰だっていい気分じゃないでしょ?」


「え?」


アコは私の言葉に首を傾げた。

具体的なことを私は口にしていないが、アコのわかっていない様子からみると、すでにここにはいない彼女が魔法でオートマトンを凍らせた時にはいなかったようだ。


今でも遠くから私を睨みつける人がいることに、私は気づいていた。

しかもなぜ睨んでいるのか、その理由にも心当たりがある。

私が彼女に助言をしたからだ。


彼女が完全に倒す手前で凍らせたオートマトンに、トドメをさしていた生徒。

その存在が私は許せなかった。

知らないその生徒は私と同じクラスではないことは確かで、その生徒と彼女の間にもし友好関係があるのだとしたら。そう考えると彼女に事実を言うわけもいかず、私はああいった。


「ほら、アコも戻って!残り時間も短くなってきてるよ!」


「そうね。じゃあ互いに頑張りましょう」


「うん!」


そして出来れば次の試験のことを考え魔力を温存しておきたい私は、三種類のオートマトンに色々な魔法を試していた。


<ラーンス・ディー・グラセー_氷槍>は比較的魔力量が少ない魔法だが、それでも氷への形状変化が必要なため、一般的に魔力量が少ない魔法とは言えない。

魔力量を抑えるならば水魔法を使うのが効率的だ。


だから水の刃を放ってみた。

ポイント数の少ない丸や三角の形をしたオートマトンは真っ二つに割れてくれたが、四角の形をしたオートマトンは刃が途中でとまってしまう。

意外と強度が違うようだ。


ならばこれでどうだ。と、人差し指をオートマトンに向ける。


「<ピストーレット_発射>!」


水の玉の大きさは魔力量でいくらでも調節可能の為、大きさを変え、そして先を尖らせるように変形させながらオートマトンに発射させる。

人差し指を向けたのはこうして格好をとったほうが狙い位置や発射スピード、距離など把握しやすいかなと思ってのことだ。

別に他の意図はないよ。


水の玉が当たったオートマトンの胴体は半分以上が損傷し地面へと落ちる。

先を尖らせることで結構威力が変わってくるんだなと思うと同時に、確かに槍とか刃物って鋭い面や点があることを思い出す

今後は水の玉で良さそうだと判断した。


そして皆が試験通過のため、オートマトンを倒しまくっているから、エリア内ではさすがに息が上がってくる息遣いが聞こえてくる。

Aクラスの魔法科は騎士科との合同授業のお陰か、まだ比較的に余裕そうだと周りを見渡して思った。


「あとどれぐらいなんだ!?」


誰かが声を上げた。

応えてくれる人は誰もいなかったが、皆同様のことを思っているだろう。

そして自分はどれぐらいのポイントを獲得し、次の試験に進むことができるのかを、皆不安がっているはずだ。


そんな時だった。



<< ド ス ン >>



突然の揺れに世界が動いたのかと思った。

ぐらりと地面が揺れ、私はバランスを崩したがなんとか踏みとどまる。


「なんなの!?」


そして振り返った私は、揺れを起こした正体を確認する。


「……は……?」


そう漏らしたのは私だけではない筈だ。

そして先生の言葉が脳内に浮かぶ。


『_特大サイズの魔道具を投入_』


空を見上げるのと同じくらい頭を倒して、目線をずっと上に向ける。

生活するうえでここまで上を見上げることなんて、空を見る以外あまりないくらいに私は見上げた。

そして絶叫する。




「試験ってサイズじゃなくない!!!????」





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