第62話
「開けるぞ!」
10万G、黄金の騎士の置物、特別な魔玉、万能鞍、何かを吹く犬のぬいぐるみ、装備品『黄金の槍』、装備装飾品『協力の証』、綺麗なクモの糸、ゴーレムの核、頑丈な高級皿
「また良く分からないものがあるな」
装備品『黄金の槍』
名前:黄金の槍
効果:攻撃力+36、筋力+3、器用+3、敏捷+1
説明
ドロップ品:筋力値と器用値、敏捷値を上昇させる。
装備装飾品『協力の証』
名前:協力の証
効果:全ステータス+1、仲間に使用するスキルの効果上昇、全ステータスがパーティーメンバー1人につき1%上昇
説明
ドロップ品:自分の全ステータス、仲間に使用するスキルの効果を上昇させる。パーティーメンバーが増えるほど全ステータスが上昇する。
このあたりは説明があるからありがたい。
「協力の証はズボンにつけとくか」
そして、宝箱のものを見ていくが、黄金の騎士の置物はいつもの置物だから良いとして、万能鞍はモンスターに乗れるようになるものだろう。
綺麗なクモの糸は装備に使うってよりも装飾品に使いそうな感じで、頑丈な高級皿はただのお皿っぽい。
「で、特別な魔玉とゴーレムの核と、何かを吹く犬のぬいぐるみが難しいな」
特別な魔玉とゴーレムの核は錬金術とかで使えるような感じもする。
そして何かを吹く犬のぬいぐるみはただのぬいぐるみではなさそうだ。もしかしたら動き出すかも。
「まぁとりあえずこれでダンジョンはクリアしたし、一旦戻ろうか」
「クゥ」「アウ」「(コク)」
「よし帰ってきた。また遊んでてくれ。こっちでご飯は作っとくから」
「クゥ!」「アウ!」「……!」
すると魔獣達は走って行く。
「これはここに置いとくか」
宝箱から手に入れた黄金の騎士の置物は早速リビングに飾り、頑丈な高級皿はキッチンに置いておく。
「そろそろ色んな肉を焼いてくか」
ダークホーンラビットの闇ウサギ肉や、ヒュージボアの大イノシシ肉を焼いてみる。
「まぁ味見はしなくていいか、どうせ美味しくなるし。みんなの食べた反応が楽しみだな。出来たぞ〜!」
「クゥ!」「アウ!」「……!」
家には誰もいないので、俺達だけで食べる。
「クゥ!!」「アウ!」「……!」
「ウルはどっちも好きそうだけど、大イノシシ肉が食べ応えあって良さそうだな」
やっぱりウルは噛み応えもあって量もあって大きいのが良いのかもしれない。
「よし、じゃあいちごオレとアイスどっちが良い?」
ウルはアイス、エメラはいちごオレ、そしてルリは両方だった。
「まぁいいか。それならエメラはトマトも好きだと思うから、これ食べてくれ」
「(コクコク)」
この食事ではみんながそれぞれ好きなものを与えてやれてよかった。
「ユーマくん居るかい?」
「あ、フカさんどうも。皆さんでどうしました?」
「今からライドホースに乗ろうと思ってね」
お、これはすごいいいタイミングだ。
「ちょうど今手に入れたんで、これつけますね。乗ってるとこも見たいですし」
そう言ってライドホース達の場所まで行き、万能鞍をつける。
「おお、これならとても安心だね。少し乗ってみるよ」
そう言ってライドホースに乗ったフカさんは、そのまま大きく一周する。
「これはいいね。さ、エマも乗ってみよう」
「は、はい!」
そう答えるエマちゃんの表情はとても硬く見えた。
「エマは元気にしてますか?」
「そうですね。モニカさんの方がエマちゃんとは関わりがあると思いますけど、俺から見てもいつも楽しそうにしてます」
ターニャさんはエマちゃんのことが気になるのか、この家にいる時のエマちゃんのことを色々聞いてきた。
フカさんもターニャさんもエマちゃんが気になるらしいので、今度一緒に来てもらってモニカさんとエマちゃんが訓練をしている間2人には家からエマちゃんの様子を見てもらうことにする。
「よし、到着」
「速かった! 凄い!」
エマちゃんの最初の硬い表情はどこか飛んでいき、一周して帰ってきた頃には楽しそうな表情に変わっていた。
「ターニャも行こうか」
「ふふっ、えぇ、ありがとう」
次はフカさんがターニャさんを乗せて行く。
「楽しかった?」
「はい!」
「良かった。あのライドホースはフカさんがエマちゃんとターニャさんのために捕獲依頼を出したから捕まえてきたんだよ」
「え、そうだったんですか! ユーマさんの家のライドホースだとばかり思ってました」
「まあそれも間違いじゃないね。今は俺の家で面倒見ることになってるし。でも、いつでも乗りたい時は乗っていいよ」
そしてエマちゃんにライドホースを取ってきた時の話をする。
「今乗ってるのとは違うもう1体のライドホースのお腹に赤ちゃんが居てね、ここに連れて来るのだけでも大変だったんだ」
「だからあんなに小さなライドホースがいたんですね」
「出産までセバスさんとハセクさんには面倒を見てもらって、無事に生まれたって感じかな。あ、ちなみにエマちゃんはもう1人でライドホースに乗れそう?」
「い、いえ、それはまだ出来そうにないですけど、走るのはとても気持ちよかったです!」
「そっか、ならフカさんにはその感想も伝えてあげてね」
フカさんとターニャさんがそろそろ帰ってくる。
「もしこれからライドホースに乗る練習をするなら、あのライドホースの子どもが大きくなったら一番最初にエマちゃんが乗ってみる?」
「え、良いんですか?」
「そしたらそのために頑張れるでしょ?」
「はい! やってみます!」
「おや、エマどうしたんだ?」
「えっとユーマさんが……」
フカさん達が話してる間に俺も少し乗ってみることにする。
「あんまり乗るのは上手くないかもしれないけどよろしくな」
『『ヒヒーン』』『ヒヒン』
いつの間にか横にはライドホースの家族が居たので一緒に走ることにする。
「よし、ウルも俺たちの横をついてきてくれ」
「クゥ!」「アウ!」「……!」
ルリとエメラを前に乗せて、ライドホースに乗って走ってみるが、とても気持ちがいい。
「ウル達と一緒に走れて良かったよ」
「クゥ!」「アウ!」「……!」
『ヒヒーン』
ライドホースの家族もついてきて、まるで自分がモンスターになって一緒に走っている感覚になる。
「ふぅ、楽しかった、ありがとう」
『ヒヒーン』
そしてフカさん達にも一言声を掛ける。
「このあとも乗ってくれて良いですし、ライドホース達が嫌がらなければいつでもどうぞ。ハセクさんも乗りたいと思うので、今言ったことはハセクさんにも伝えておいてください。あと、母親のライドホースに乗ると子どももついてくると思うので、子どものペースで走るなら乗ってもいいと思いますよ」
「分かった。もう少し楽しませてもらうよ」
「ありがとうございます」
「ありがとうございました!」
「じゃあ俺達は行きますね」
そうしてフカさん達を残して俺は家の中に戻る。
「ちょっと商人ギルドまで行ってミルクの値段聞いてみるか」
どうしても頭から離れないので、先にミルク問題は解決しておくことにする。
「すみません。このミルクってここで売るとどれくらいの値段になります?」
「少しいただきますね。こちらはマウンテンモウのミルクだと思われますが、こちらのメスのミルクだと1L500G、オスのミルクだと400Gでしょうか」
思っていたよりも高いな。
「じゃあこのカップに入ったアイスはこの量だとどれくらいですか?」
「はいはい、なるほど。こちらは1つ300Gですかね」
これも高い。というかめちゃくちゃ高い。
「じゃあ最後なんですけど、このいちごミルクはどうでしょう?」
「いただきます。なるほど、こちらも非常に美味しいですね。この量だと、400G、いや、500Gですかね」
これはイチゴを使っているため材料費を考えるとそれほど高くはないとは思うけど、どれも想定より高く買い取ってくれるのは分かった。
「ちなみになんでそんなに高く買い取ってくれるんですか?」
「とても品質が良いことはもちろんですが、どれも美味しいからですね。ミルクだけでも素晴らしいですが、特に加工されたものは素晴らしかったです」
なるほど、やはり魔法の包丁、魔法のミキサーのおかげか。
「じゃあこれを売るってなったらどうすればいいでしょう?」
「商人ギルドに登録していただいて、こちらで代わりにお売りすることも出来ますし、プレイヤー様に向けて貸し出している売店からお売りになるのも良いですし、商人ギルドから許可が出ればご自身の家でお売りになることも出来ます」
代わりに売ってもらうなら手数料を取られるし、売店もレンタル料がかかる、自分の土地で売るならお金はかからないけど、色んな人が来てしまうってのがデメリットか。
「分かりました。どうするか決めたらまた来ると思います」
「かしこまりました」
このあともミルク問題を考えながら、俺達は家に帰るのだった。