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第54話

常設依頼

内容:上薬草10本の納品

報酬:2,000G

期限:4日間


納品依頼

内容:グリーンスライムの核5つの納品

報酬:10,000G

期限:3日間


討伐依頼

内容:アイアンスパイダー5体の討伐

報酬:15,000G

期限:5日間


配達依頼

内容:指定された場所まで荷物を運ぶ。

報酬:5,000G

期限:3日間


「受けるのはこんなもんでいいか」


 しっかりと配達依頼の荷物をインベントリに入れて街を出る。


 北の街は捕獲依頼で外に出ることはあっても、探索するために出たことはほぼ無いので新鮮な気がする。


「でも、唯一北の街の冒険者ギルドで受けた依頼で、ビッグ・ビーと戦えたのは良かったな」


 ビッグ・ビーのおかげで幸運の指輪を見つけることができたし、本当に助かっている。


「お、あれはウルに任せるぞ」

「クゥ!」


 グリーンスライムが居たのでウルに声を掛けるが、本人も元々そのつもりだったのか、すぐに氷魔法で相手は倒された。


「ウルの氷魔法は相変わらずああいう敵に強いけど、エメラにもそういう相性のいい敵って居るのか?」


 樹魔法で倒せる敵って言われてもあまりピンとこない。ただ火には弱いだろうから、そこだけは気をつけないと。


「お、どうしたエメラ?」

「……!」


 任せろと言わんばかりに前に出てきたエメラは、周りの植物をどんどん成長させていく。


「ん? おお、地面にいたのか」

「(コクッ)」


 針鼻モグラという鼻の部分が鋭く尖っているモンスターが土の中から掘り出された。


「クゥ!」「アウ!」


 他にもエメラが近くに居るモンスターを拘束して目の前に持ってくるので、ウルとルリが身動きの取れないモンスターにとどめを刺していく。


「エメラは地面にいるモンスターもそうだけど、拘束できるモンスターに強いよな」


 今目の前にいる敵は完全に拘束されているが、手や足だけでも一時的に拘束できれば、それだけで助かる場面は今後絶対に出てくる。


「それにルリもまだ無いけど装備を持てるしな」

「アウ!」


 魔獣達がどんどん成長していくのは嬉しいなぁ。


「あ、そうだ、前に行ったビッグ・ビーの近くにいたフラワー・ビーにもう1回会いに行きたいな。もしかしたらエメラの能力で花を咲かせたりできれば、ハチミツを貰えるかもしれない」


 ちょうどこの近くだったはずなので少し探してみると


「ポイズンベアーだな。確かにここに居てもおかしくないか」

「クゥ!」「アウ!」「……!」

「みんなにあいつは任せるよ」


 木に登ろうとしているポイズンベアーをエメラの樹魔法で拘束し、ウルとルリが攻撃する。


「まぁ、もうあれくらいは敵じゃないよな」


 3人はすぐに倒してしまったので、俺もみんなの方へ行く。


「で、あのポイズンベアーが狙ってたのは、フラワー・ビーだよな」


 木の上にあるフラワー・ビーの巣から何体も出てくるが、先程の戦闘を見ていたのかこちらに襲いかかってくる様子はない。


「なぁ、エメラの樹魔法で花とか咲かせたり出来ないか?」

「(ふるふる)」


 どうやら駄目そうだ。


「じゃああのフラワー・ビーの巣をちょっと頑丈にしてあげるとかは?」

「(コク)」


 エメラが頷くと、フラワー・ビーの巣を守るように枝が巣を包み込む。


「なぁ、少しハチミツを分けてくれないか? 分けてくれないからってまた巣を元に戻すとかはしないから」


 するとフラワー・ビー達が一斉に巣に戻っていき、また出てきた。


「あれは貰えそうな感じだよな。よし、この万能空き瓶をルリに渡す。どうかハチミツを取ってきてくれ。あれは甘くて美味しいはずだ!」

「アウ!!」


 最後の言葉を聞いてやる気がマックスになったルリは、エメラに巣の近くまで樹魔法で押し上げてもらい、フラワー・ビーの巣からハチミツをもらっている。


「ルリ、そろそろ良いんじゃないか?」

「アウ!」


 そしてルリは渡した空き瓶6つ全てにハチミツを入れてきた。


「まぁ怒られなかったなら貰ってよかったんだろうな。ありがとう」

「アウ」


 こうして運良くポイズンベアーに襲われて危機感が高まっていたフラワー・ビー達に、巣の補強をすることでハチミツを手に入れた俺達は、さらに奥へと進む。


「ここからは行ったことがない場所だから注意していこう」

「クゥ」「アウ」「(コク)」


 フラワー・ビーがいた場所も街からは離れているが、さらにここからは離れた場所になる。


「はじめの街だったらもうそろそろボスだけど、この感じだと次の街まで半分も進んでないよな」


 正直次の街までの直線距離が2倍になるだけでも、探索範囲がとんでもない広さになるので、これは最前線攻略組がまだ次の街に行けてないのも納得だ。


「広いなぁ。上薬草はもう集まったけど、アイアンスパイダーがまだなんだよな」


 一度洞窟でアイアンスパイダーとは戦ったが、あの時は体力の多さに驚いた。正確にはあの洞窟のモンスター全員の体力にだが。


「お、やっといたか。今回もお願いしていいか?」

「クゥ!」「アウ!」「……!」


 そしてようやく見つけたアイアンスパイダーと戦ったのだが、洞窟の時よりも体力が少なかった。


「俺達のレベルが上がったからっていうのもあるかもしれないが、やっぱりあの洞窟がおかしかったんだな」


 それからは3人がモンスターの相手をし、次々と敵を倒していくのだった。




「なんかこの辺の敵はもう相手にならないんだな」


 あの後ほぼすべての敵をウル達に任せているのだが、全くと言っていいほど相手にならない。


「やっぱレベルもそうだけど、構成って大事だし、人数って偉大だな」


 これまで完全な後衛が居なかったので、みんな相手の攻撃を避けて攻撃しないといけなかったのが、エメラが来てからは相手の行動に関わらず、ずっと魔法で攻撃してくれるようになった。

 そして単純に3人だったのが4人に増えたことも、こんなにもスムーズに進めるようになった要因の1つだろう。


「人数が増えて構成が良くなると、安定感が違うな」


 ちょっとずつ敵のレベルは上がっているはずなのだが、魔獣3人だけでまだ倒せている。


「よし、そろそろ敵も良い感じの強さになってきたし、みんなの特訓をするべきか」

「クゥ!」「アウ!」「……!」


 魔獣達はまだまだ強くなりたいのか、俺の言葉に目を輝かせている。そんなに戦闘ジャンキーに育てた覚えはないけど、良いことだよね。


「あのブライトゴリラってやつをまずはルリだけで倒してもらう」

「アウ!」

 

『ウホッ、ウホォーー!』

「よし、多分あれで仲間を呼んだから、そいつはエメラ、その後にまた来たらウルが戦ってくれ」

「……!」「クゥ!」


「もっとルリは自分の立ち位置を相手の近くにしろ! 相手の全部を見ようとするなよ、ルリに攻撃が当たらなければ相手の体なんて見てなくてもいいんだから。見えない攻撃も気配と音で避ける練習だ。あと、ヤバいと思ったら引く練習でもある。まずは自分の限界値を確かめてくれ」

「アウ!」


「エメラは相手に近づかせるな! こういうシーンが来ないように俺達も頑張るが、絶対に何度かあるはずだ。出来るだけ距離を詰められないように意識してくれ。それができたら次は逆に近くで戦ってもらうからな」

「……!(コクコク)」


「ウルは俺がこれまで見せた動きを1番真似できている。だが、お前は俺じゃない! ここからは自分の強みを押し付けていけ。ウルの敏捷値は他のモンスターよりも優れている。俺の何を真似するのかもこれからは考えていってくれ」

「クゥ!」


 みんなそれぞれいい動きはしているが、言ってしまえばそれだけだ。

 それに、どうしてもみんなの戦闘における一瞬の判断力が、俺としては不安に感じてしまう。100点の答えを出す努力をせずに、すぐ90〜80点の安全な択を選んでいる。

 これは追い詰められた時に切り抜けられるかどうかに関わってくる大事な能力だと俺は思っているので、みんなにはもっと判断力を磨いてもらいたい。


 俺はみんなが倒されてほしくない。プレイヤーと同じように魔獣も生き返るが、そんなことはできるだけ避けたい。

 何よりも、みんな強くなりたいと思ってくれているなら、俺の出せる全力で教えてやりたい。


「またルリは攻撃を受けたぞ、せめて受け流してくれ。エメラも敵の近くで戦うようになってから樹魔法が使えてないぞ。ウルももっと近接攻撃をした後に氷魔法を撃ってダメージを与えないと、自分の強みが活かせてないぞ」

「クゥ!!」「アウ!!」「……!!」


 ウル達が全力で頑張っているのに、俺はただ口を出すだけで全く戦わないのはムズムズするが、これでみんなが強くなるなら受け入れよう。


 どうしてもウル達を鍛える時は、みんなの動きが良くなって言うことがほぼなくなり手持ち無沙汰になる。


「あんなことを偉そうにウル達に言ってるけど、俺もなんやかんや1つの武器を極めたことがないしなぁ」


 いつからかパーティーメンバーが使う武器以外を使うようになって、そのおかげで色々な武器を使えるようになった。

 その経験から武器選びに困ることはなくなったけど、かわりに何か1つの武器を極めるということは1度も出来なかった。

 片手剣なんて最初の頃はずっと使ってたのに、もう随分とメイン武器では使っていない。


 武器の種類関係なくその時性能の高いやつを選んで使えることも俺の強みだったし、実際にパーティーメンバーにも感謝された。

 これも決して間違いではないだろうけど、それでもやっぱり自分の得意な武器を探して、それを使い続けて極める楽しさも持つべきだったなと今は思う。


「俺にとっての得意武器はやっぱり片手剣なのかな? 使ってないからって片手剣の練度が落ちてるとは思わないけど、上がってることはないだろうし、ちょっと俺も今後は片手剣に絞って頑張ってみるか」


 やっぱりウル達が強くなろうと挑戦しているなら、俺も何かに挑戦しておかないと。一応俺は魔獣達の主だからな。


「まぁまずはウル達のことだな」


 自分のことは後で考えるとして、まずはウル達に指示を出す。


「よし、じゃあ今から連携の練習だ。最初ウルとエメラはルリに合わせてくれ。ルリは2人に合わせてもらうから好きに動いていいぞ。いいか、出来るだけ…………」


 こうして俺はウル達を鍛えながら、奥へと進んで行くのだった。




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