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第45話

「一応家の中でも静かにしておこうな」

「クゥ」「アウ」「(コク)」


 キプロとの冒険が終わり家に帰ってきたが、モニカさんが寝ている可能性が高いため、静かにしておく。


「あ、ユーマ様! 良かった。先程ライドホースの赤ちゃんが生まれました」

「えっ、本当ですか! すぐ行きます」


 その報告には俺も驚いて大声を出してしまったが、モニカさんは起きてこないので大丈夫だろう。

 うるさいと思いながらそのまま寝続けている可能性もあるので何とも言えないが。


 というか、まさかセバスさん達は夜中もずっとライドホースの世話をしてくれていたのだろうか。


「ちょうど今夜生まれるかどうかというところだったので、生まれて良かったです」

「うわ、本当だ。小さいですね」


 大人のライドホース2体は子どもの近くで休んでおり、マウンテンモウ達は更に端っこで寝ている。


「ありがとうございました」

「いえ、私達がいなくても生まれていたと思います」

「でもこんな遅くまで見てもらって、もう朝ですよ」

「今日は少しお休みをいただくので大丈夫です。では失礼いたします」


 そう言ってセバスさんと白髪の人はフカさんの家に帰っていった。


「可愛いな、今は寝かせておこうか」


 ライドホースの赤ちゃんを見れたので、俺達も静かに厩舎を出る。


「どうしようか。とりあえず水やりとかしとく?」

「クゥ!」「アウ!」「……!」


 ということで朝日が昇ってくる中、皆で水やりをする。


「……!」

「お、エメラありがとうな。多分何かのスキル使ってくれたんだろ?」

「(コクッ)」

「クゥ!」「アウ!」


 先程よりも明らかに成長した畑を見てウルとルリははしゃいでいる。


「エメラの装備も後で買いに行かないとな。マウンテンモウ達が起きたらミルクももらって、ライドホース達にアポルの実でもあげに行こう」

「クゥ!」「アウ!」「……!」


 家の中に戻ってご飯をインベントリから出す。


「エメラもいただきますして食べような。俺はちょっと露天風呂の方に行くから、食べ終わったら皆来てくれ。ご馳走様でしたもエメラに教えてやってくれな?」

「クゥ!」「アウ!」「(コクッ)」


 ルリは自分に妹ができたことが嬉しいのか、エメラにかまってあげている。

 エメラも嬉しそうだし、ウルもそれを見て嬉しそうにしているから、皆の仲は良さそうだ。


「エメラも好きなものがあったらウル達に言って多めに出してもらってくれ。じゃあ行ってくる」


 そう言い残して俺は露天風呂に来た。


「俺だけだったら使うことがほぼなかっただろうけど、モニカさんがいる以上一旦全部洗うしかないよな」


 掃除道具を取り出して、露天風呂の中も外も洗う。


「俺はプレイヤーだから入っても意味ないしな。いや、今度入ってみるか」


 現実世界では風呂に入るが、ゲーム世界で入るのはそこでバフがかかったりする時だけだった。

 ここで入っても何もないだろうが、この世界の住人と同じようなことは体験してみてもいいかもしれない。


「よし、元々綺麗だったけど、更に綺麗になったか?」

「クゥ!」「アウ!」「……!」

「おう、よしよし、今度一緒に入ってみような」


 食べ終わったウル達も途中で来て、エメラは樹魔法で掃除を手伝ってくれ、ウルとルリは汚れているところを見つけて俺に知らせてくれた。

 

「じゃあそろそろ起きてるだろうし、みんなでもう一度厩舎の方に向かおうか」

「クゥ」「アウ」「(コク)」


 そして厩舎に入ると、予想通りみんな起きていた。


「おはよう。昨日はよく頑張ったな」

『ヒヒーン』


 ライドホース達に話しかけ、アポルの実とオランジの実をあげる。


「美味しそうに食べてくれてよかったよ。あと、子どものライドホースにはあげとくか」

『『『『『「「「!?」」」』』』』』


 そう言ってテイム用骨付き肉を出すと、全員が一斉にこちらを見る。


「いや、ウル達もさっきご飯は食べたはずなんだけどな。まあいいか。マウンテンモウとライドホース達は食べたことあるから1つを半分こして食べてくれ。ライドホースの子どもとウル達には1つずつでちょうど終わりだ」


 みんなそれで納得したのか大人しく渡されるのを待っている。


「よし、喧嘩しないように半分に切って渡したからな。まさかここで魔法の包丁をつかうとは思わなかったが」


 こういう小さなことから揉め事が起きるため、それを予防するためにしっかりと半分に切ったのは正解だっただろう。


「厩舎の中で食べたい? 出来ればみんなで外に出ようかなって思うんだけど」


 ライドホース達も元気そうなので、せっかくだし外に出てみんなで食べる。


「結局テイムに1つも使うことなく、骨付き肉はなくなったな。それ、1つ50万チップすること分かってるのか? 分かってないんだろうな」


 それでも美味しそうに食べている様子を見ると、そんなことはどうでも良くなってくる。


「じゃあミルクも貰うな。分かった。どっちも絞ってやるから急かさないでくれ」


 マウンテンモウからミルクを搾り、20Lのミルク保存缶1つと10Lのミルク保存缶1つがいっぱいになった。


「これはどうにかして消費しないと、勿体ないな」


 俺がゲームの世界にいない時は仕方がないが、出来るだけミルクは毎朝絞ってやりたいと思っているので、ミルクの処理方法を考えないと。


「おはようユーマ、朝が早いな」

「おはようございますモニカさん」


 家に戻ったタイミングでモニカさんが起きてきた。


「ご飯用意しますね。朝は少食ですか?」

「いや、食べる方だと思う。ありがとう。私は顔を洗ってくる」


 ギムナさんの所で焼いてもらった物をインベントリから出し、前入れた万能空き瓶にあるミルクをコップに注ぐ。


「食器も3セットくらいは家に置いとくか」


 キッチンのほうを見ると、モニカさんの物らしき食器もあるので、置いておくのは2セットにしておこうかな。


「美味しそうだ。いただくよ」


 モニカさんが食べている間、俺達もリビングでくつろぐ。


「そうだ。今日オークションが西の街であるらしくて、一緒に行きますか? 特別席の券を持ってて、自分の他に1人連れていけるんですけど」

「私で良いのなら行こうか。こういう機会を大事にしておかないといけない気がする」

「じゃあお昼前に家に帰ってくるので、その後タイミングを合わせて行きますか」

「分かった」


 こうしてモニカさんを家に残して俺達は魔獣ギルドまで行き、エメラの装備を買う。


名前:黒のチョーカー(魔獣)

効果:防御力+40、全ステータス+2


「似合ってるぞ。一応これで安心して後ろは任せられるな」

「……!(コクコク)」


 どうせ来たならエメラの装備以外にも何か買いたい。


「このまま種も買いに行くか」


 今畑にはイチゴとトマトとじゃがいもを植えているが、エメラという畑仕事の人員も増えたことだし、もう少し種を買うことにする。


「思い切っていっぱい買ってみるか。世話が大変だったら次から減らせばいいし」


 なすと玉ねぎとさつまいもと大根、レタスとキャベツと白菜、にんじんととうもろこしとメロンの種を買った。


「これ全部植えるか? 植えるか」


 とりあえず目に入った食べたいものを買った感じだな。


「店員さんに勧められたピアルの苗も買っておこう」


 多分アポルの実に形が似てるって言ってたから、ピアルは梨のことだと思う。


 そして俺は少し買いに行くつもりが、また爆買いしてしまったことに気付くのだった。




「終わった〜。エメラ、ありがとう。ウルもルリも。モニカさんも手伝ってくれてありがとうございます」

「……!」「クゥ!」「アウ!」

「同じ場所に住んでいるんだ。手伝えることがあれば手伝う」


 買ってきたものを植えないとと思い、帰ってきてすぐに植えていると、モニカさんも途中から手伝ってくれた。

 それでもなかなか量が多かったので、時間はかかってしまったが。


「私はシャワーを使わせてもらうよ」

「俺は他の街に行く用事があるので行ってきます」

「じゃあまた後でな」

「はい」


 まずははじめの街に移動し、職人ギルドでカットされた宝石を受け取る。


「お待ちしておりました。出来ていますよ、どうぞ」

「おお、確かに見たことある感じですね」

「オークションに出品されるのでしたらお早めに行かれるとよろしいかと」


 そう言われたので、少し早めに行くことにする。


「こちらでございます」

「すごい綺麗です。ありがとうございました」


 西の街でも宝石を受け取り、一足先にオークション会場に入ってみる。


「あの、出品って今からでもできますか?」

「本日はプレイヤー様に向けてのオークションでございますが、よろしいですか?」


 話を聞いてみると、宝石系はプレイヤー向けの今回のオークションではあまり高い値段で買われないことが予想されるらしい。

 もし早くお金が欲しかったり、手放したい訳ではないのなら、次回のオークションで出せばどうかと提案された。


「確かに装備のほうがよっぽど今は重要か」


 という事で、代わりにダンジョンで手に入れた装備を全て出すことにした。


「この設定ではお店で売るよりも安くなる可能性がありますがよろしいですか?」

「はい。どれも最低額から始めてください」

「かしこまりました」


「ふぅ、こういうことなら焦って宝石をカットしてもらわなくてもよかったな」


 少し宝石をオークションに出品できなかったことを残念に思いつつ、家まで戻る。


「帰ってきたか。私はもういつでも行けるが、どうする?」

「そうですね。じゃあ早いですけど西の街に向かいましょうか」

「分かった。準備しよう」


 こうして俺はモニカさんを連れて、オークション会場のある西の街へとまた戻るのだった。




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