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第142話

「お待たせしました」

「アリスっちとみるくっちも今トイレ行ってる」

「メイりんは錬金術どうっすか?」

「楽しいです! ヒナタさんはどうですか?」

「僕はアヤりんに新しい装備を作ってもらってから、絶好調っす」

「ユーマ様、初級魔法習得本をいただきありがとうございました」

「いやいや、余ってたんで大丈夫ですよ」

「まだ初級ですので威力の低い攻撃のみですが、これから上達していきたいと思います」

「頑張ってください」


 アリスさんとみるくさんが帰ってくるまで雑談をしていると、ガイルとメイちゃんから声がかかる。


「ユーマ、勧誘の話なんだけどな」

「どうしたの?」

「ユーマに面接してもらう前に、こっちでも先に審査みたいなのしても良いか?」

「それは全然いいよ、むしろありがたいかも。ガイルとメイちゃんで俺が面接する人を減らしてくれるってことでしょ?」

「そうだ」

「私自信ないです」


 メイちゃんはそう言うが、なかなか鋭い視点を持ってたり、ズバッと言いたいことを言うタイプなのはこれまでのやり取りで分かっている。


「俺はガイルとメイちゃんにほとんど任せて、最後に決めるだけだから楽になって良かった」

「まぁその最後の決断が俺達には重いんだけどな」

「絶対に断ったりし辛いです」

「俺もそういうのが得意ってわけじゃないけど、自分でクランのメンバーを決められるのは安心かも」

「そういう考え方もあるか」


 こっちで話しているとアリスさん達が揃ったみたいなので、会議の続きをする。


「揃ったみたいだし、次に皆へ話したかったことを言います」

「なんだろうな」

「ユーマさんならクランハウスをもう買っちゃったとかありそうです」

「確かにな」


 メイちゃんもガイルも理想が高すぎる。流石にこの短期間で俺1人ではそこまで出来ない。


「俺が次に話したいのはクランハウスのことです。俺達は今現在ここの工房をクランハウスとして使ってるんですが、ちゃんとしたクランハウスを購入したいということは皆にも言ってきました。で、ちょっと俺の方で色々あって、クランハウスを買うことが出来る権利というか、優先権的なものを商人ギルドから貰ったんで、たぶんクランハウスはその優先権を行使したものを買うことになると思います。いくら必要になるか分からないですけど、お金は少しずつ貯めておいてくれると嬉しいです」

「もぐる達はどんなクランハウスなのかまだ見れないの?」

「俺も見てないし、まだそこは購入出来ない場所だと思うから、あと数時間後に流れるアナウンスが来たら見れるようになるんじゃないかな?」


 もしクランハウスとして良くなさそうな物件なら買わないが、あれだけ商人ギルドの職員さんに言われたってことは、俺達に満足してもらえる自信があるってことだ。


「まぁとにかくクランハウスのお金は皆で集めたいねっていう話でした。ちなみに誰かクランハウスとして良さそうな所を見つけたりした人は居る?」

「「「……」」」

「まぁたぶん探したりもしてないよね。皆にも見てもらって買うかどうかは判断するけど、さっきの感じでクランハウスを買うことには皆賛成してくれる?」

「俺は良いぞ。人数が増えてもこの工房で集まるって言われたらどうしようかと思ってたしな」

「うちはユーマさんが決めたクランハウスならどこでも大丈夫です!」

「私はもうクランハウスはユーマの方で進めていいと思う。皆に聞いてる時間が勿体ないし、たぶん買うことになると思うから」

「もぐるもユーマっちに任せる」


 皆ちゃんとしたクランハウスが早く欲しいのか、結構俺の判断で購入して良いという雰囲気だ。


「分かった。じゃあこっちで決めるから、決まったら皆に伝えるよ」


 これでクランハウスについては俺に一任されるという方向で決まった。


「次、今やってるクラン会議的なのについて。どれくらいの頻度でしようかなって」

「私達は配信で映していいならいつでも良いけど」

「うちはいつでも!」

「もぐるもみるくっちと同じ。配信で会議を映していいなら嬉しい」

「あたいは会議中配信の音声をミュートでも良いよ。配信を切ったりつけたりするのが面倒臭いんだ」

「皆結構配信を切らなくて良いならどんな頻度で会議しても良いんだね。希望とかはない?」

「俺は週1で良いと思うぞ。だからこっちだと21日、3週間に1回か」

「その心は?」

「まぁ適当だが、週1回が丁度良さそうじゃないか? たぶんそんなに多くやっても意味ないだろ。かといってやらないのはただ個人で遊んでるのと一緒だ。毎週その週にやること、やりたいことを言い合って、短期的な目標決めて活動するので良いんじゃねぇか?」


 ガイルが今言ったことに、全員頷いている。


「じゃあ今言ったガイルの案を採用で」


 これでクランメンバーの勧誘のこと、クランハウスのこと、クラン会議のことは話せた。


「あとは、なんか話さないといけないこととかあるかな?」

「はい!」

「あ、メイちゃんどうぞ」

「この幸福なる種族クランは、どこかのクランと同盟を結んだりしますか?」

「こっちから言うことは無いかも?」

「向こうから言われたらどうしますか?」

「それは、どうしよう? その状況になってみないと分からないけど」

「私は対等な関係なら良いと思うけど、雑用を押し付けられるような関係なら絶対に嫌」

「まぁそれはそうだ。俺も仮にそういう誘いがあっても、そこは注意するよ。基本的には同盟は組まない方針で」

「分かりました」


 確かに今のガイルとメイちゃんは装備に関して最先端を走っているから、同盟を組んで装備だけ作って欲しいとか言われるのは嫌だよな。


「いいね。クランっぽい」

「ま、まぁそうかも?(最前線攻略組の時はもっとスムーズだったからちょっと申し訳ないなぁ)」

「僕も少し良いっすか?」

「はい、ヒナタさんどうぞ」

「クラン内で出来るだけパーティーを組む方が良いとかあるっすか?」

「いや、誰と組んでも良いけど」

「じゃあノルマみたいな、クランのために何かすることとかはないっすか?」

「うーん、なんだろう」

「うちはアヤちゃんにモンスターの素材は集めてあげたいよ?」

「あたいもそれは助かる」

「まぁ確かに生産職の人のために素材はあげたいかもね。それはクランの強みかも」

「俺もメイもユーマの置いていく素材には何度も助けられたからな」


 生産職にとっては、こっちが思ってるよりも素材は結構ありがたいらしい。


「あ、それで言うとこれから生産職の人が増えたとしたら、皆で次の街へ連れてってあげたりすることも出てくるかな。いや、あれは攻略組だからやってただけか。まぁ困ってたら皆で助けてあげよう」

「それなら俺とメイもそろそろ王国領にも連合国領にも、帝国領にも行きたいな」

「私達が手伝うか、新しく入ってきたクランメンバーと行くか」

「私はガイルさんに任せます」

「ま、新しいメンバーと行くか。誰も入らなかったら誰か俺達と一緒に行ってくれ」


 流石に誰も入らないということは避けたいが、そうなる可能性もあるか。


「あ、それじゃあガイルにこれ貸すよ。王国領前のボスはこれが使えると思うし」


 そう言って天候の指輪を渡す。


「こんなもんどうやって見つけてくるんだよ」

「あ、こういう感じでクラン内で装備を共有するのはやっていこう」

「確かに」

「それをするには装備を置いておくクランハウスが必要だな」

「やっぱりクランハウスは必要っすね」

「出来るだけ早くクランハウスは買うようにするよ」


 そろそろ良い時間になってきたため、はじめの街へと移動する。


「じゃあうちらはうちらで楽しんできますけど、ユーマさん達も何かあればすぐ連絡してください!」

「アリス行くよ」

「ユーマっちまたね」

「行ってくるっす」

「新たなクランメンバーが加入されることを楽しみにしております」

「あたいらは勧誘できないが、ユーマ達なら良い人を入れてくれるって信じてるぜ」


 こうして女性配信者組は工房を出て行った。


「俺らも行くか」

「って言っても俺はガイルとメイちゃんが連れてきた人を面接するまで、街の中をブラブラしてるだけだから」

「このクランに合う人を頑張って連れてきますね!」

「メイちゃんのお姉さんと連絡がついたらそっちを優先してくれても良いよ。ね、ガイル?」

「あぁ、俺らは気にせず遊んできて良いぞ」

「いえ、クランに入りたいって本人は言ってたので、ユーマさんの面接を受けてもらいます」

「俺の面接っていうか、クランの面接だけどね」


 意外とメイちゃんのお姉さんはこのクランに入りたいらしい。


「じゃあクランメンバー勧誘もそうだけど、まずは楽しもう」

「だな」

「はい!」


 こうして幸福なる種族クランのメンバーは、第2陣のプレイヤーがこの世界へ入ってくる瞬間を見に、はじめの街へと移動するのだった。




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