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第108話

「間に合って良かったな」

「コン!」


名前:シロ

レベル:30

種族:善狐

パーティー:ユーマ、ウル、ルリ、エメラ、シロ

スキル:聡明、成長、インベントリ、『善狐』『水魔法』

装備品:黒の足輪(魔獣)


 閉まる前に魔獣ギルドへ駆け込み、シロの装備をなんとか買うことが出来た。


「これで皆あと1つ装備品をつけられる状態だけど、ここで買ってもまたすぐ買い替えることになるだろうしな」


 出来ることなら無駄遣いしたくないし、この装備でも王都までは行けると思うので、ここでは買わないことにした。


「皆は買わなくても良かったか?」

「クゥ!」「アウ!」「……!」「コン!」


 皆俺に任せるというような返事をしてくれたので、そこまで今の装備には不満を持ってなさそうだ。


「じゃあ家に帰ろっか」

「クゥ」「アウ」「……!」「コン」




「ユーマ様お待ちしてました」

「あ、セバスさんとハセクさん」

「(ペコリ)」


 家に入りリビングへ向かうと、モニカさんとゴーさんがキッチンに居て、セバスさんとハセクさんはおそらくゴーさんが作ったであろう大量の食べ物が置いてある机の前に座っていた。


「お、ユーマ帰ってきたか。私が帰ってきた時にはもう既にこの状態だった」

「すごい量の料理とデザートですね」

「ゴゴ」

「私とハセクで少し食べさせていただきましたが、とても美味しかったです」

「(ぶんぶん)」

「そうですか。ゴーさん良かったな」

「ゴゴ!」


 とは言ったものの、さすがにこの量の食べ物は困ったな。


「ユーマ様がよろしければ、こちらに皆さんを呼んで食べてもらうことは可能ですが、どうされますか?」

「皆さんっていうのはフカさん達ですか?」

「使用人も含めて十数人になると思われます」

「ゴーさん、そう言ってくれてるけど、皆に食べてもらっても良い?」

「ゴゴ!」


 ゴーさんが良いよ、とこちらに返事をしているのは分かるが、まだ料理を作る手は止まっていない。


「もう食べ切れない量だということは私もゴーさんに言ったんだが、これだけは作るという強い意志を感じてな」

「そうなんですね。まぁ最悪皆のインベントリに入れるんで、大丈夫っちゃ大丈夫ですけど、また他のを作ろうとしたらその時は止めてもらっていいですか?」

「任せてくれ」


 と言うことでゴーさんはモニカさんに任せて、セバスさん達に話を聞く。


「ではユーマ様の家で食事をいただけると伝えてきますので、少し待っていてください」

「あ、じゃあ俺もせっかくなので知り合いを呼んできますね」

「ではその後で鶏舎の説明をさせていただきます」

「分かりました」


 と言うことで、俺はさっきまでいたキプロの店に逆戻りする。


「キプロ、今から晩ごはん俺の家で食べない?」

「良いんですか! 行きます!」


 さっきまで貴族にビビっていたキプロとは違い、いつも通り元気なキプロで良かった。


「じゃあ先に行っといて。他にも誘う人がいるから」

「分かりました」


 そして次に向かうのはベラさんのお店。


「すみません」

「いらっしゃいませ」

「あの、ベラさん居ますか?」

「ベラ様ですか? 少しお待ち下さい」


 場所は聞いていたが、初めて北の街のベラさんのお店に来た。雰囲気が良くて、美味しそうなスイーツがいっぱい並んでいる。


「ユーマ様、どうされました?」

「急に呼び出してごめんなさい。あの、料理を少し、いや、かなり作ってしまって、今からうちで晩ごはんでもどうかなとお誘いに来ました。シュガーさんにも伝えてほしいんですけど、どうですかね?」

「それは行かないといけませんね。すぐ行きます」


 そう言ってベラさんはお店の奥へと消えていった。


「呼びに行ってもらってありがとうございました」

「いえいえ、大丈夫ですよ(この人があのユーマ様ね)」

「何か買いますね」

「いえ、無理に買っていただかなくても」

「うちの魔獣達が食べたがってるので」

「クゥ!」「アウ!」「……!」「コン!」


 今家にあるあの量の料理を見たら、普通はここでは買わないでおこうかって気持ちになると思うんだけど、魔獣達には関係ないらしい。


「これは家にあるご飯とデザートを食べてからにしような」

「クゥ」「アウ」「……!」「コン」


 返事は良いが、たぶん今買ったものを今日食べることは無いのだろう。


「ユーマ様お待たせしました」

「私もお誘いいただきありがとうございます」

「他にも人を呼んでるので賑やかな感じになると思います」

「それはとても楽しそうです」

「一曲私が歌いましょうか?」

「爺や!」


 ベラさんとシュガーさんのいつものやりとりを眺めながら、家まで帰ってきた。


「ユーマおかえり。ユーマが帰ってきたら家まで呼びに来て欲しいとセバスから伝言を預かっている。ユーマが居ないと使用人は中に入れないからな」

「確かにそうか。ありがとうございますモニカさん。じゃあベラさんもシュガーさんも中へどうぞ」

「「お邪魔します」」


 俺は急いでフカさんの家へ向かう。


「すみません、今帰ってきました」

「お、皆、ユーマくんが来たから行こうか」


 フカさんの声かけで、続々と家から人が出てくる。


「ユーマさん、申し訳ないですが皆さんに立ち入り許可を出したあと、先に鶏舎の方に行ってもよろしいですか?」

「もちろんです」

「ありがとうございます」


 俺はセバスさんに言われた通り、立ち入り許可をフカさんの使用人さん達に出したあと、セバスさんとハセクさんに連れられて鶏舎へと向かう。


「これが完成した鶏舎です。おそらくカシワドリ達が中で鳴いても外にはあまり聞こえないと思います」

「これ1日で建ったんですよね」

「はい。建築は専門家の皆さんに頑張っていただきました。途中ゴーレムのゴーさん様、いえゴー様? すみません呼び方が分からず、ゴー様と呼ばせていただきますね。話を戻しまして、ゴー様から休憩の時間に料理やデザートをいただいたので、皆さんいつも以上に張り切っておられました」

「それでもあの量の食べ物が残ってるのか」

「皆さんから美味しいという言葉をもらったゴー様は、その後更に頑張って作っていたように見受けられました」

「そうですか。まぁ元気がないよりある方が良いので、それなら良かったです」

「では中を見ましょう」


 そして中にはカシワドリ達が居るのだが、もうすっかり自分達の家だというように、慣れた様子でくつろぐ姿が見られた。


「10体居ても十分な広さだな」

「ユーマ様、こちらのカシワドリのお世話をハセクがしたいと言っておりまして」

「(ぶんぶん)」

「あの、俺としてはありがたいですけど、本当に良いんですか?」

「(ぶんぶん)」

「ユーマ様がよろしいのであれば、ハセクにお任せいただければ」

「じゃあよろしくお願いします」


 ハセクさんには毎朝見つけた卵をゴーさんやウル達のインベントリか、冷蔵室に入れてもらえることになった。

 また毎日卵10個が増えていくミルクのような消費の間に合わない日々が始まるかと一瞬思ったが、俺達とモニカさんで6人なので、1日卵を2個ずつ食べると考えたらそこまで多いわけでもないことに気付いた。


「じゃあこれからもよろしくお願いします」

「(ぶんぶん)」

「セバスさんもありがとうございました」

「いえいえ、お役に立てたなら良かったです」


 こうして鶏舎の説明も終わり、家に帰ってきたのだが、人が多くて自分の家ではないみたいだった。


「お、ユーマくん! もう鶏舎は良いのかい?」

「はい、フカさんもありがとうございました。鶏舎のお金出してもらって」

「まったく問題ないよ。それよりも私はエマが元気になって「お父さんやめてってば!」」

「レイ、ちょっと酔い過ぎよ」


 確かにターニャさんが言う通り、フカさんの顔がいつもより赤い気がする。


「まだ私は少ししか飲んでな「お父さん、はいお水」エマが、私に、お水を持ってきてくれた!」

「レイ様、ここはユーマ様のお家です。それに他の方もいらっしゃいますので、もう少し静かにしてください」

「セバス! 私はセバスにも感謝してるんだ。私が1人ここに残ると「恥ずかしいのでおやめください」」


 どうやらフカさんは酔ってしまうとあんな感じになるらしい。まぁ人に迷惑をかけるような酔い方を今のところあまりしてないので放っておいて良いだろう。

 エマちゃんとセバスさんは恥ずかしそうだし、この感じだとおそらくターニャさんも恥ずかしい目にはあってそうだけど、フカさんが楽しそうだから良し。


「そうだ、宝箱から出た森の楽譜を使おうかな」


 インベントリに入っている置物もついでに飾りつつ、森の賢人の太鼓と森の楽譜1を置いて、何かを吹く犬のぬいぐるみに魔法の笛を持たせて演奏してもらう。


「じゃあ皆さん今日は楽しんでくださいね!」


 こうしてゴーさんが大量に作った料理を皆で食べ、森の楽譜1の曲に耳を傾け、終わればまた周りの人と乾杯し、楽しい時間はあっという間に過ぎていくのだった。




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