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記録69『厄介』

有志は、男を倒す為に自身に宿る大量の魔力を聖剣に込める。


「今だよ! 有志!」

「ホーリーエリアああああ!!」


聖剣を持った有志を円で描くように光が現れ、そこにいるもの全員を包み込む。


「んほ!」


男は、小さい喘ぎ声と共に消滅した。


「はあはあはあ……」


有志は、大量の魔力を一気に消費したことにより、多少の疲れを見せる。


「有志! 大丈夫ですか!」

「有志!」

「有志いい!!」


シャイニャスの呼び声と共に、二人も有志に駆け寄る。


「大丈夫、有志の魔力が一気に魔力を消費して少し疲れたるだけ……すぐに回復できるよ」

「ああ、もう大丈夫だ」


レティリアの言葉通り、有志は数回呼吸をしただけですぐに呼吸が整った。


「凄い、有志! 確実に成長しているよ! こんなに早くホーリーエリアを展開出来るなんて!」

「ああ……これが勇者としての力の一つか……」

「私も書物で読んだことがあります……勇者の中でも選ばれた者だけが使えるのは少ないのにそれをこんなに早く使う事が出来るなんて!」


レイシャも、有志のホーリーエリアの効果を見て驚愕していた。


「ああ、私もこんな奇跡初めてだ……有志は歴代の中でかなり優秀な方なのだな」

「あ……ありがとう」


有志は、仲間に褒めちぎられて照れ臭そうにする。


「さっさて! すぐに無法都市の支配者を倒そう! テュリアメルの仲間も心配だし!」

「ゆ……有志」


テュリアメルは、顔を赤くしながら有志の頼もしい背中を見てうっとりとした表情をする。


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「……僕の子が死んだわ……でも凄いは……下ネタで時間稼ぎをする事で有志の才能を引き出す事に成功した挙句、勇者の手札を開示させたわ……」

「?? 凄い事なんですか? 成長しているって事は寧ろエレンさんを追い詰める形になるのでは?」


アルマダの言葉に、エルフの一人が心配そうにする。

しかし、アルマダは首を振り否定する。


「それは違うわ……勇者である有志が編み出した技ならば成長と言えるでしょう……でも有志のこれは聖剣にただ魔力を込めて聖剣本来の力を求めた為に発動出来ただけの力よ……」

「でも、ほとんどの勇者がホーリーエリアを発動出来なかった……選ばれた人間でしか発動出来ないって歴史の書物にも……それにどの勇者も遅い段階でやっと発動出来たって話だけど?」

「それも違うわね……歴代勇者が発動出来なかったのはそもそもホーリーエリアを使う必要がなかったから発動出来なかったのよ……いやそもそも厄介な敵が少なかったのかもしれないわね……強いだけの敵なら自身の力と技術でどうとでもなるけど、厄介な敵は力や技術だけでは何ともならないわ……それに勇者の相手って殆どが魔物か魔族だからいわば弱点である聖なる力を振り翳すだけで倒せたけど、あの子は攻撃を捨て時間稼ぎという名目で排尿攻撃や精〇攻撃で相手に近寄らせないようにしただけだもの……一点集中のホーリーインパクトをすれば避けられるし、その上仲間にまで危害が及ぶ……だから範囲攻撃でしか倒せなかったのよ」

「それでもやりようがあると思うんですが……まあうん……見るからに頭が固そうでしたし……」


アルマダの説明に、エルフの少女は取り敢えず納得するだけの理解は出来た。


「さてと、勇者がここに来るわ……覚悟は良い?」

「はい!」

「任せて!」

「情報を引き出せばいいんだね!」

「私達も眷属だから記憶を共有出来るんだよね!」

「そうね! だからエレンちゃんの為にも出来るだけ頑張りましょ!」


そして、アルマダはエルフ達と共に武器を持ち、重いドアを閉めて立て籠った。


-----------------------------------------------------------------


「ここに居るのか!」

「間違いないよ! 有志! エルフの気配がする!」


テュリアメルは、心配そうにしながらドアを叩く。


「開けて! みんな助に来たよ! ここから逃げよう!」


しかし、全く反応がなかった。


「テュリアメル、恐らく脅されて声も上げられないのかもしれない……君はエルフ国の姫なんだ……あまりドアに近づいてはいけない……姫の死にはきっと奴隷のエルフだって悲しむ」

「!! そっそうだね……分かったよ」

「すまない、心配なんだろうけど我慢してくれ」


テュリアメルは、レイシャの言葉を聞き入れてドアから離れる。


「俺がこのドアを破る! そしたら一気に入って畳みかけるぞ!」

「はい!」

「ああ!」

「有志なら出来る!」

「お願い有志! エルフの皆を守って!」


テュリアメルの必死の御願いを聞く為に、有志は聖剣を振るう。


そして、勢いよくドアが壊れ、煙を立てると同時に中へと侵入する。

しかし、有志は殺気と風を切る様な音を感じ、反射で聖剣でガードする。


「!! 何だ! 矢!?」


そして、弾かれた矢は地面に転がる。

煙が晴れ、部屋を見るとそこには弓を構えたエルフとその間に守られるようにして立っている薄い服を着た悪魔のような女がいた。


「アルマダ様! すみません! 当たりませんでした!」

「いいのよ、ご褒美に舐めてあげるわ、来て」

「は!! はあああひいいいいいい!!」


弓を射ったであろうエルフは、すぐに立ち上がりアルマダの下で涎塗れになる。


「えへへへへ、アルマダ様の唾液でべとべと」

「狡い! 私もべとべとになりたい!」

「はいはい、皆頑張ればご褒美よ」

「わーい!!」

「み……皆……」


あまりの予想外な光景に、テュリアメルは唖然とする。

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