記録59『新しい街、新しい仲間』
有志達は、西院円惑との決着をつける為、新しい街へと来ていた。
ワンズ街、ライアン・シャグルと呼ばれる男がシャグル国の王が管理している街であった。
「平和ではあるが……何か異様な感じがする」
「シャグル国の管理下のワンズ街……そこの王であるライアンはあまり私は好きではありません、この街とは対比に無法都市を運用し、反面教師のように街を作り出す事によって国を運営しています……世界は陰と光で敢えて分ける事によってバランスが保てるとのたまっています」
「他国の王のやり方にケチをつけるのは良くないのだろうが……私もどうかしていると思う……全てが健全で平和である事こそが国民の為になるというのに……」
「なるほど、下種野郎って事か……」
シャイニャスとレイシャの話を聞いて、有志の表情は険しくなる。
レティリアは、有志の肩に乗りながら微笑む。
「きっと有志ならそんな国の王も倒して革命を起こせるよ! そうすればきっとこの世界の人達ももっともっと! 幸せになれるよ!」
「ありがとう、レティリア! そうだな! 西院円惑も! 理不尽な王も! 魔王も! 全部俺が倒してこの世界をもっといい方向へと導かないとな!」
有志の言葉に、シャイニャスとレイシャは顔を見合わせて微笑みながら有志の手を握る。
「私も協力します!」
「私もだ! 協力させてくれ!」
「ありがとう! 三人共!」
そして、4人は街を散策するのであった。
有志は、レイシャの潰れた目を見て提案する。
「レイシャ、眼帯を買った方が良いんじゃないか? 必要であれば義眼だって一緒に飼ってしまおう!」
「いいのか?」
「当たり前じゃないか! 大切な仲間なんだから!」
「あ、ありがとう」
「そうですね! 義眼が何処で討っているか分からないですけど眼帯なら服屋や装備屋で売っているかもしれませんね! 行ってみましょう!」
「そうだね!」
有志達は、レイシャの為に装備屋へと向かった。
「いらっしゃい、おや? 綺麗なお嬢さんと妖精? 後見たことのない剣を装備した……冒険者?」
「何を言っているんですか店主さん! 有志さんは勇者様ですよ!」
「そうだよ店主さん! 冒険者と一緒にしちゃダメだよ!」
シャイニャスとレティリアが訂正を入れる。
だが、店主はあまり理解出来ていないのか、反応が鈍かった。
「ああ……そうですか……で? 今日はどのような御用で?」
「今日はレイシャの為に眼帯を買いに来たんだ」
「うちは装備屋だよ……買いたいなら服屋さんが近くにあるからそっちにしな」
「そっそうか……分かった」
店主の言葉に、少し顔を顰めるも有志は店を出た。
「え? 眼帯だけの為に? 装備買って行けばいいのに」
店主は、不満そうにしながらも次の客の為、準備をする。
「あまりいいお店ではありませんね」
「ああ、勇者に対してあまりにも無礼だ」
「信じない者は救われないよ! あの店主はいつか罰を受けるよ!」
「ありがとう三人共、気を取り直して服屋さんに……」
「テメエ! ふざけんじゃねえ! 何売れ残ってんだよおお! この不良商品がああああ!」
「ひい!! 痛い! 痛いよおお!!」
有志の言葉を遮るように、何処かから怒声と女の子の悲鳴の声がする。
「行ってみよう!」
「はい!」
「弱い者虐めは許せない!」
「さすがは有志! 正義感が強い!」
有志達は、声のする方へと走った。
すると、そこでは薄汚れた金髪と垢塗れになっている綺麗な顔立ちのエルフの少女が奴隷商人の男に蹴り付けられていた。
「うう!!」
「止めろおおおお!」
有志は、すぐさま奴隷商人を止めに入った。
「ああ! んだてめえ! こっちの事に首突っ込んでんじゃねえ!」
「ふざけるな! こんなか弱い少女を蹴り付けるだなんて! 許せない!」
奴隷商人の行動に、有志は怒りのまま胸ぐらを掴む。
「ああ! 何だよゴラあ! こいつは俺の商品なんだ! どうしようが俺の勝手だろうがあ!」
「ふざけるなア! そんな理不尽が許せるわけがないだろうが!」
奴隷商人は、有志の手を振り払って言い返すが、すぐさま有志が怒鳴り付ける。
すると、シャイニャスとレイシャ、そしてレティリアが援護するように奴隷商人を責める。
「そうです! 貴方は外道その者です!」
「貴様には人の心がないのか!」
「貴方の行為は神様が見ています! 必ず天罰が下ります!」
一気に文句を言われた奴隷商人は唖然とする。
しかし、それで黙る奴隷商人ではなかった。
「ああ? 文句があるならこいつを買えばいいだろ! そうすれば俺はコイツを……」
「黙れええ!」
「売って……え?」
奴隷商人は、いつの間にか顔が地面に落ちた。
「人を売り物にするだと……この屑が……」
有志は、奴隷商人を倒すと恐怖で蹲っているエルフの少女の元へと駆け寄る。
「大丈夫か……」
「ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい」
ただひたすら謝るエルフの少女に、有志は心を痛める。
「大丈夫、大丈夫だから……」
「有志さん」
「有志」
「本当、良い人過ぎるよ」
シャイニャスとレイシャとレティリアは、有志の行動に感動する。




