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記録57『協議』

ライアンは、色街化した無法都市の様子を見た。


「ふむ、確かに淫らな街にはなっている……そういう町へと変わってはいるが所詮は無法都市……ここは力がこの街を納める者としたのはこの俺だ、こういう力での支配も許されるわけだ」

「ええ、私も元伝説の娼婦として名を馳せましたが結局老いには勝てず奴隷へと落ちました、しかしだからと言って私の運までもが落ちたわけではなかったようです」

「というと?」

「西院円惑さん」

「!!」


その名を聞いて、ライアンは驚いた表情をする。


「知り合いですか?」

「いえ、勇者と敵対したと噂される男です……もっとも、本人にその自覚があるのか……もし自覚があるならわざわざこの無法都市を性の街へと変える必要性はない、やるべきことは勇者対策だ……」

「ふふふふ、あの人らしいわね」


アルマダは、微笑ましそうにする。


「というと?」


疑問に思ったライアンは、アルマダに質問する。


「あの人は敵対というより復讐を誓った少女に協力をしているという感じだったわ……私の改造に関しては……まあ戯れ……データ収集、研究と言ったところかしら? 云わば気分転換ね」

「き……気分転換?」


アルマダからあまりな回答を貰い、さすがにライアンは困惑する。


「いやいや、復讐を手伝うにしてもだ! 相手は勇者だぞ! 気分転換何てしている暇なんてないはずだ! それにならなぜペプリア国を襲った! 貴族達が村人を怒らせて反乱が起きたのは分かるがテロを仕掛けさせたのは西院円惑だと聞く!」

「? 違うわよ」

「え?」


自身が得た情報と明らかに違う。

アルマダは、西院円惑という錬金術師と出会った。

その上での、この会話。

明らかに西院円惑という男を計り間違えているのは議会に集まった者達であることが見て取れる。

これは最早情報を正しく取り直す必要があると考えた。


「詳しい話を聞かせてくれないか? アルマダ殿」

「ええ、あの方の事を知っているだけの事は伝えるわ」

「良いのか? 情報は宝だ、その錬金術師殿を裏切る事には……」

「それは無いです絶対に、あの方はそんなことを怒る方でもなければ興味すら持っていない、あの方が狙うのは生物全体の進化、改造、それらの事象を見る事……知る事であるって分かったのよ、この私の改造は戯れだけど気分転換だけど、それらは新しき着想を得るためのもの……あの方にとっては無駄でもない……理不尽であったとしてもきっと彼は喜びに変えてしまう……そういう人なのよ」


そして、アルマダは自身が語れるだけの惑の情報をライアンに伝えた。


「なんと……ただ改造を愉しみ進化を見る……そして、ただの村人の少女が勇者を倒せる戦士へと進化するかを見る為だけに敵対したというのか?」

「ええ、そう聞いているわ……それも必要なファクターだって言ってたわ」

「ファクターって……」

「少女が焦る、少女が高揚する、少女が怒る、少女が憎む、そして勇者も同様に高揚し、怒り、憎む、それはキット少女ではなく自分に向いている、それも分かった上で様々な感情を利用し進化させる、感情は進化の為のファクターだって私に説明してくれたわ」

「おいおいおい、人でなしかよ……人の心を材料って……俺以上の人でなしだ」

「あら……面白い事を言うわね、そういう人がいるから人の世は進化したって言うのに……」


その言葉に、ライアンは気付いた。


「ああ、君も俺も少し染まるな……惑という男の考え方に……奴は魔族に対してなんと?」

「人間と同じだって」

「ぞわぞわするな、人間だろうが魔族だろうが素体かよ」

「さあ、惑さんの話はここまで、次は私達の話をしましょう」


そして、ライアンにアルマダは、話を進める。


「そっそうだな、今日はその為に来た」


そして、会談へと入る。


「さて、アルマダ君……君はこの都市をここまで支配した、我が街までには手を出さないという事で良いのかな?」

「ええ、ここだけで良いわ、必要あればこっちに人を送っても良いわよ、何人か雇った人はそっちではあまり馴染まなかったみたいだし」

「そうだな、それと君は我が街の為に不妊問題にも着目してくれているというのは本当かい?」

「ええ、しているわ……これからも必要であればするつもりだけどそれに関しては止めた方が良いかしら?」


ライアンはフッと笑う。


「大丈夫、それは寧ろ続けてくれ、子供が増えればこちらも活気が付く」

「そう、ならそれはその方向で」

「次に、魔族を受け入れているのは本当か?」

「ええ、寧ろ魔族側も平和を望んでいるみたいなんだけど?」

「魔族が?」


その言葉に、ライアンは驚きを隠せなかった。


「魔族と言えば平和何てかけ離れた存在で人の血肉を欲する者と聞いている」

「確かに血肉を食べたい衝動はあるみたいよ、でも血肉と言うだけでそれは別に人間じゃなくても良いのよ」

「!!」


アルマダの言葉に、ライアンは少し動揺する。


「信じられないなら話してみる?」

「出来るのか?」

「ええ」


そして、ライアンはある部屋へと招かれた。

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