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記録55『神官少女は試練を受ける事に喜ぶ』

ライアンの命にて、三人の冒険者が無法都市へとやって来た。

金髪の短髪で、そばかすのある女神官ミッセルは、真剣な面持ちで街を見つめる。

茶髪の長髪の女戦士ラザとドレッド髪の女格闘家ブロッダの二人も街を見つめながら少し顔を歪ませる。


「ここが無法都市、今は魔族が性の街へと変えているらしいな」

「ああ、臭いが酷い……腐敗臭じゃない、どこかフェロモンを感じさせるような淫らな臭いがする」

「さすがに緊張を超えて恐怖が体の中に入り込んでくるようです……でも私は逃げません、絶対に」


決意を露わに街へと足を進める。


「だが、無法都市もどうしてこうなった……寧ろ魔族すらも手に掛けそうなのに」

「しかも今回は淫魔だ、そんな低級な魔族なんて寧ろとっとと殺しそうなんだが」

「それをやり遂げてしまったという事実がある以上油断はなりません」


そして、無法都市へと入って行った三人が見た光景は神官にとってはおぞましい光景であった。


「あああん!」

「行くぞ!! ほらもっとだ!!」

「締まれ! もっと締まれええ!!」


どこもかしこも、青姦をしている住人で溢れかえっていた。


「「何だこれ!!」」

「おええええ!!」


あまりの淫らさに、神官はその場で吐いた。


「大丈夫か!」

「うう!! 臭いがキツイ! これは!!」


ブロッダは、街に漂うフェロモンによって意識が性に犯される。


「っく、私もそういう事に興味がない、剣のみで生きようと考えていた事すらも覆りそうになるぐらいだ……意識をしっかり保つぞ!」

「ええ……」


すっかりゲロくさくなったミッセルは、何とか立ち上がる。


「ここから色街に向かうぞ……」

「ああ」


そして、三人は何とか色街に着く。


「いやあ、色々とデータを取り入れれたよ」

「惑、凄いね……私はこの臭いでもう十発は出来そうなのに」

「うわ……」

「エレンちゃんは何で大丈夫なの?」

「惑さんからいっぱい走れば我慢出来るよって言われて一日中走ってますよ……勇者の復讐の鍛錬にもなっていいですよ」

「……」


イネは、惑にジト目で見るが、惑は全く気にしてもいなかった。


「そうか! 走れば!」

「運動でどうにかなるって事?」

「やってみましょう!」


三人は、全力疾走で色街に君臨している、魔族の元へと走った。


そして、目的地と思われるフェロモンが強い場所へと着いた。

しかし、三人は既にどこか虚ろな目をしていた。


「はあはあ、走ったのに……どうして」

「っやばいやばいやばい」

「ダメ……神が見てる……かみが……ああ」


モゾモゾと股を弄りながら中へと入って行く。


そして、出迎えたのは大量の娼婦と男娼であった。


『いらっしゃいませ!!』

「な! なんだ!」

「ああん! そこはあ!!」

「二人共!!」


ラザとブロッダはその場で、剥かれて行為に入った。


「そんな……はあはあ」


行為を見た瞬間、ミッセルは物欲しそうな目で二人を見る。


「したい……!! だめ!」


そして、自分自身が考えてしまった事を恥じて、何とか正気を保つ。


「そうだ、私が聖魔法で……淫魔を……討てば二人は戻る……」


ミッセルは、必死に奥の部屋へと入った。


そこには、世にも美しい少女が座っていた。

年を見るに17歳であった。


少女は、妖艶な笑みを浮かべてミッセルに近づく。


「ホーリーライト!!」


聖魔法、ホーリーライトを少女に放つが、手で払い消される。


「!! そんな……こんなことを出来るのは……淫魔じゃない……もっと上級な……」

「そうねえ、私は元々人間だから、完全魔族って事ではないのかもしれない……でもこれが条件だったのね、私は今アスモデウスへと種族進化したわ」

「!! はあ!!」


意味が分からあかったのか、ミッセルは素っ頓狂な声を出してしまう。


「分かるわ、意味が分からないわよね」

「当たり前です!」


反論するように、少女に杖を向ける。

しかし、少女は余裕そうに杖を掴み、そのまま退ける。


「ねえ、神様がどうして私達人間に子供を産むように作ったか聞いた事がある?」

「え……何を言って」

「惑さんが言うにはね、知恵のみを食べた罰として出産の苦しみを与える為に子供を産むという行為を与えたって聞いたわ……貴方は子供を産んだことがありますか?」

「そんな事ありません! 私は純潔であり続ける為にその未来を捨てたのです! もし産む事を選べば女性として男性に穢されるから! それに神は罰を与えたりしません! 試練を与えるのです!」

「なら神様は産む事を試練として与えた、それを貴方はどう思う?」

「そ! それは……」


矛盾している事に、ミッセルも気付いた。

純潔を貫かないと、神官としての力は失う。

しかし、それを選べば、神に与えられた試練は受ける事は出来ない。

試練は気付きであり、神に忠誠を誓った者として受けるべき理であるとミッセルは考える。

ミッセルの心は徐々に冒され始めた。

高潔に、純粋に性を拒んでいたのに、それを紐でも解くように、少女は体をミッセルに絡め始める。


「さあ、産みましょう」

「だめええ……いやあああ」

「大丈夫、貴方ならこの試練を乗り越えられるわ」

「いやああああああ」


そして、試練を受けた時のミッセルはそれほど嫌がっているようには見えなかった。

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