記録52『眷属スキル習得』
惑は、乱交プレイが終わった後、イネやアルマダへ話を聞いた。
「いやあ、すごいね! 君達は」
「ありがとうね」
「良かった……」
「うわあ……」
エレンは、山積になっている乱交後の男と女を見てドン引きする。
「君ずっとここに来てドン引きしてるね」
「するでしょこれは」
真っ当な意見に惑もさすがに苦笑いした。
「さてと、ちなみにどうすればこうなるの?」
「私が説明するよ」
そして、イネがわざわざ説明してくれた。
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まずアルマダちゃんが、他の娼婦のお得意様と寝たんだ。
それに怒った娼婦が文句を言ったの。
「ちょっと! 新人の癖に私のお得意様と寝ないでよ! ふざけんじゃ……ん!!」
でも、アルマダちゃんはその子の唇を奪ったんだ。
「ちょ!! うふふうんんんんん!!」
「じゅばじゅば!!」
ドンドンとその娼婦の頬は赤くなっていって、仕舞いには液体が垂れ流れた。
「はあはあはあ」
「リョリョちゃん、僕とは……」
その時、怒鳴り込む前に相手していた男が不安そうにリョリョちゃんと呼ばれた娼婦に聞いたんだするとね。
「貴方も来て!」
「ええ!」
「んん!!」
「んんんんん!!」
アルマダちゃんの方へ男と一緒に駆け寄ってそのまま三人キスをしたんだ。
それを羨ましがったお得意様が駆け寄ってね。
「わしもおおお!」
そのまま一緒にキスをしたんだ。
それが波紋を呼んだのか、見ていた娼婦やお客さん、そして隣で経営していた他店の娼婦も男娼も混ざり出したんだ。
お前はどうしたの?
私は普通に混ざってた、変わりなく。
ああ、うん。
そして、それはドンドンと広がってそのまま見せどころか色街全体を取り囲むようにアルマダちゃんの世界へと早変わりしたんだ。
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その説明を聞いて惑は、大爆笑する。
「アアハハハハハハハハ!! うひゃやあああ!!」
腹を抱えてその場をのた打ち回る。
エレンは、最早あまりの凄さに黙るしか出来なくなる。
「私、この街を性別種族魔族人間亜人関係ない性の街にしたいの、誰もが偏見も差別も慈しみも慈悲も恐怖も見下しも偽善も罪悪感も信仰も心酔も全て全てを性で結びたいの! 感情を蔑ろにする平和何て鼻で嗤えるわ、だってそうでしょ? 人も魔族も獣人も亜人も感情がある、正も負も混濁させてこそ大切な思いは守られると思うの、思いはとても大切よ、そしてそれら全てを包み込めるのが性、性欲なのよ! SEXはコミュニケーション! 悪口だってここではプレイになるし暴力も強引もそして相手を大切に思うのも全て性で繋げる事が出来るの! 私が娼婦を続けて信じた本当の平和、本当の愛だと思うの、愛は人を救うのではなく性は人を救うの! それら全てが人の欲求に合わせた大切な想いよ」
エレンは、頭を抱えるが反論出来ず。
「うん、まあそうですね……でも趣味じゃない人はどうなるの?」
「大丈夫よ、私が趣味にしてあげる、それの素晴らしさを伝える、生き物の適応力はとても優秀よ」
と何とか捻り出した意見すらも論破されてしまう。
「うんうん、確かにそれは素晴らしい」
「私も賛成だ」
「えー」
惑は、楽しそうにしながら観察する。
「惑~どう?」
「何が?」
「しない?」
「ああ、ごめん、僕にはデータがあるから」
記録スキルを開き、内容を見る。
その姿は、思いっきりそそり勃っていた。
「惑さんだけはこの平和条約には入れそうもありませんね」
「そうだねええ」
惑は、人に興味がないのではなく、人を素体として見ている、その中に自身の趣旨を入れる事に拒否するような思いはないが、だがそれでも興味があるわけではない。
惑は、いくつになってもデータに焦がれて、データを愛する。
そのデータには人の全てが更け出ていると信じている。
いわば何よりも興奮するオカズなのだ。
それを知った惑は、他の者ではもう抜くどころか、反応すらしなくなった。
より刺激のあるものに興奮した事が惑の女性への興味を極限まで消し去ったのである。
「じ! 実証実験は?」
「? 今見てるじゃないか」
食い下がろうとアルマダは、惑の裾を掴むが、すぐに言い返されてしまう。
「うーん!!」
性にも、含まれないものは確かにあった。
そして、不幸は追い打ちを掛けるように現れる。
『眷属スキルを手に入れました』
「見せてええ! 見せええてえええええ!」
「いやあああああああ!」
アルマダは、惑にある意味曝け出されてしまった。




