記録54『淫魔になるまで』
アルマダは、眠りに落ちていた。
そして、夢を見た。
朝に目が覚めて自分の姿が変わっていた時の事。
「うん? あれ?」
アルマダは、自信の耳を弄ると尖がっている事に気付いた。
「これって……吸血鬼になった?」
アルマダは、頭を抱える。
すると、ノック音がした。
「アルマダ! 起きてる? 今日気分どう?」
「ああ! はい!」
アルマダは、ドアの鍵を開けて顔を出す。
「あれ? 耳が尖がっている? 吸血鬼……でも昨日吸性のスキルに変化したよね? つまりはまた別の?」
「そうか……忘れてた、色々あり過ぎて」
少し動揺しながらアルマダはベッドに座る。
イネは、鼻を啜るようにアルマダの臭いを嗅ぐ。
「うーん、吸血鬼がどんな臭いか知らないけど……人間ではないね、でもこれ……ムラムラする」
「ムラムラ……という事は性に関わる生き物か……生き物とも分からないか……魔族だから悪魔だってあり得るか?」
惑は、アルマダを触診する。
「うう」
顔を赤くしながらアルマダは、惑の手を受け入れていく。
そして、惑はおしりを触った際に何かに気付く。
「これ……」
すると、アルマダのお尻から先っぽが尖がった尻尾が出て来た。
「あら、気付かなかった……背中がむずむずする」
その言葉を聞いて、惑は背中を触る。
「うーん、なんか生えてるな……これは……羽の形か? しかも悪魔系の」
「うーん、臭いはどんなのか知らないけど……魔族と同じ匂いはするね」
イネと一緒に、丁寧に診ていくとエレンは起きて来た。
「イネさん、稽古は……って訳にはいかなさそうね」
イネが忙しそうにする姿を見て、エレンもさすがに引いた。
「どうなんですか? 惑さん、アルマダは大丈夫ですか?」
「拒絶反応は起こしてない、だから今まで通り過ごして良い、取り敢えずは娼婦時代と同じく暮らす?」
「ええ、分かったわ」
すると、アルマダは荷物を用意する。
「何処に行くんですか?」
エレンは、アルマダ姿を見て質問する。
「私は娼婦よ、今から娼館に行くわ」
「大丈夫なんですか? 魔族として狩られたり」
「そこは僕が仲介するよ、話が出来たらそれで何とでもなる、イネもいるし」
「私?」
「そうだよ、君は娼館や男娼でいっぱい気に入られてるだろ? だからそれを利用する、何の為に小遣い渡してると思ってるの?」
「そういう意味だったの!」
イネは、唖然としながらも少し考えると嬉しそうにする。
「分かった! 行く!」
「ああ、いいよ、別に」
「……」
イネが結局そういう事をする姿を見て、エレンは呆れ返る。
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娼館の近くに来ると、沢山の娼婦達がイネの周りに集まる。
「きゃああ! イネチャアアアン!!」
「来てくれたのねええ!」
「嬉しいい! しようしようしよううう!!」
全員発情しながらイネに話し掛ける。
イネは、嬉しそうにしながら手慣れたように娼婦達と会話する。
「やああ、お姫様」
『きゃああああああああああああ!』
惑は、イネに合図をしてアルマダを紹介させる。
「今日はこの娘を娼婦として雇って上げてくれないkな?」
「魔族?」
「え! すご! やば!」
「でも無法都市だし……そういう違法もあり?」
「物珍しいし、魔族で抜くお客さんもいるからありじゃん!」
「そうだねエ! イネ様の御願いを聞かない訳にはいかないし!」
皆、イネの御願いを聞こうと色々と考えて、アルマダを受け入れる事にした。
惑は、その間にアルマダを鑑定した。
Name:アルマダ・サインバス
HP:1000、MP:1000、攻撃力:1000、防御力:2000、スピード:9000、知力:110、魔法:なし、スキル:吸性、唾液補充、快楽、マゾヒスト、サドヒスト、変化、誘惑、催淫、魅了、両性愛、妖艶、強制絶頂、職業:娼婦Lv100
「うーん、種族は見れないか……ならこのまま娼館で働いたらどうなるかを実験として見て行こう」
「惑楽しそうだね」
「うん!」
そして、アルマダの娼婦生活が再び始まった。
アルマダは、伝説の娼婦と呼ばれただけの事はあるのか、現在いる娼婦よりも素晴らしい売り上げをたった2日で達成した。
それどころか、働いていた娼婦すらも彼女の虜になっていた。
「はあはあ、アルマダちゃん、もっとおおお!」
「わたしもおお!」
「イネちゃんと一緒にしてええ!」
「はいはい、順番ね」
「ふふふ、子猫ちゃん達」
『きゃあああああ!』
エレンは、その姿を見て唖然とする。
「この状況どうするつもりですか?」
「これでいいの」
惑を睨むが、惑は嬉しそうにその様子を見ていた。




