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記録53『眷属』

チェリアは、アルマダとのプレイを終えて心が晴れやかな気持ちになった。


「俺は今……天国にいる」

「そう? 喜んで貰えて良かったわ」


アルマダは、微笑みながら入れた紅茶を渡す。


「あ、ありがとうございます」

「良いのよ別に」


アルマダのホッとする紅茶を飲み、チェリアは心が和みながら彼女を見つめる。


「ありがとう、そんなにまで私に夢中になってくれて」

「え! いや! その……ごめんなさい」


チェリアは、顔を真っ赤にして、アルマダから視線を逸らす。


「ふふふ、可愛い」

「!!」


照れるチェリアを、純粋な瞳でアルマダは微笑ましく見る。


「貴方は自分に自信がないのね……大丈夫? 苦しくない? 今の生活を変えるのは怖い?」

「……ハッキリ言って凄く怖いです……でも貴方との行為のお陰で少し吹っ切れた気分でもあります……今の高揚感なら例え後悔の道すらも選べそうです」


その言葉を聞いて、アルマダは少し寂しそうにする。


「ごめんなさい……私……この姿自体ある意味では嘘で塗り固めてあるの」

「どういう事ですか……?」


キョトンとしながらチェリアは、不安そうに話し始める。


「私……実は一度年を取って老いたのよ」

「え?」

「つまり私は元々老婆って事なの……惑さんが私に吸血のスキルを追加してそれで若返っただけなのよ……」

「そ! そうなんですか!」


意外そうな表情で、アルマダを見る。

しかし、それでも尚顔を赤くしたままであった。


「こんなに美しい人を見て、しかも俺としてくれた人が老婆だからって! 今の貴方を悍ましく思う事なんて出来ません!」

「!! 本当に……トンジャンと同じように私の事を引いたりしないのね」

「トンジャンだって貴方を尊敬しています! つまり貴方は悪い人ではない! 騙す為に俺としてくれたわけではないんでしょう! だって今話してくれたんですから!」


チェリアの真剣な表情を見て、アルマダは涙を流す。


「ありがとう……私の事を愛してくれて……娼婦だから私は特定の相手を決めたりはしないんだけど……それでも信用出来る人だけは傍に置いておきたいわ! 出来たらなんだけど……私の側近として護衛をしてくれると嬉しいんだけど……」

「はい! でも俺……そんなに強く」


すると、アルマダは嬉しそうにしながら、試験官に入った液体を出す。


「大丈夫よ! これを飲めば! 私と繋がりが出来て! 私の淫魔としての力が手に入るわ! 決して他の悪魔や魔族より弱いかもしれないけど……人間よりかは強くなるわ! そして私が強くなれば強くなる程! 貴方達も強さを増していくの!」

「ほ! 本当ですか! ならトンジャンがあんなに自信があったのは!」

「そう! 私との繋がりを得て眷属になったからよ! 眷属になれば私と同じように老ける事がなく、簡単に死ぬ事も無いわ! 病気もないし、体の不具合だって消えるわ!」

「か! 肩こりやぎっくり腰も!」

「なくなるわ!」

「凄い!」


嬉しそうにするチェリアを見て、アルマダは頭を撫でる。


「良い子だわ……貴方育ちが良いのね!」

「そ! そうですか……皆俺の事愚図だとかゴミだとか使いないって言うのに……」

「あら、見る目がないのね! こんなに素敵なのに!」

「へへへ、素敵……へへへへ」


アルマダの言葉に、照れるように頭を掻く。


「貴方はただ素直なのね、貴方の周りはそんな貴方の素直な所を利用して見下す事で自分の自信を保っていたのよ、素直な人はどんな悪口も自分に責任があるって思う、それは周りにとって都合が良いの、どんな悪口も真に受けるからその狼狽える姿を見て心の何処かで安心する……私なら貴方の素直な心を大切に出来るわ、素直な貴方を壊すのではなく宝石のように大切に……」


頬を撫でながら、チェリアの目を見て話す。


「はあはあはは……はい……一生仕えます」

「良い子……本当に良い子、大好き」


そして、彼女の液を口に入れて、チェリアは眷属の人生が始まった。


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惑は、ソファーに座りながら寛いでいる。


「あ、終わった」

「はい! 終わりましたわ!」

「彼は?」

「今は眠っているわ」


アルマダは、口に手を当てシーっとしながらソファーに座る。


「君は凄いよ、たった数日で勘を取り戻して、さすが元娼婦……ってだけじゃないよね? その手際」

「あらバレた?」

「で? 君はどんな娼婦だったの?」

「伝説って言われる程の娼婦よ、無法都市とシャグル国、ワンズ街の爺さんや婆さんは私の虜だったんだから!」

「婆さんも!」

「婆さんも!」


両性を愛せるアルマダは、どこかイネと似たところがあるのではと惑は考えた。


「さてと、彼は簡単かい?」

「簡単も簡単じゃないも無いわ、セッ〇スは性的コミュニケーションよ、一度繋がれば会話だって問題なく出来るものよ、一度繋がる事は心を許す事……初めてを奪われる事を怖がるのは処女だけじゃないわ、童貞も同じ……自分の大切な物を渡した時点で相手に気を許したも同然よ! それは見栄でも卒業死体でもいいの、それさえ貰えばもうこっちに気を許してくれるわ……そして今回の子もとても素直、相性はとてもいいに決まっているわ」

「そうか……性の進化も素晴らしい……データ取らなきゃ」

「やる?」

「あ、それは良いです」

「……」


惑の相変わらずな態度に、アルマダはしょんぼりする。

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